
もう、こういうタイトルほんと〜に!やめてほしい…笑。見た目は“シュール系”なのに、中身は本気でゾッとするという、完全なる逆ジャケット詐欺。前半はそんなギャップをネタバレなしで紹介してますが、後半ではついに…彼氏の正体、暴きました。一周回って傑作かもしれません(・ω・)※途中からネタバレ表記あり
作品データ
【製作年度】2022年
【製作国】ノルウェー
【上映時間】79分
【監督】ヴィルジャー・ベー
【キャスト】ガード・ロッケ
カトリーヌ・ロヴィーゼ・オブスタッド・フレドリクセン ほか
あらすじ
完璧なはずの恋人が、人間を“飼い犬”として飼っていることを知った女性の恐怖を緊張感たっぷりに描いたノルウェー製ホラー。(映画.comより)
年齢制限は?
R15指定なので、15歳以下の方はご覧になれません。
どこで見れる?
レビュー ( 2024・03・16の記事に加筆 )
1、「未体験ゾーン」発の異色作
『未体験ゾーンの映画たち』は、日本公開されにくいホラー・怪作を集めた映画祭。刺さる人には刺さる、愛すべきB級映画の宝庫。
大阪では近年開催が確認できませんが、最近はU-NEXTで(ほぼ)同時配信される作品も多く、配信で視聴できる場合があります。
そんな『未体験ゾーンの映画たち2024』のうちの1本だった本作。
こんなタイトルなのに、いざ公開されてみるとFilmarksでは3.4。ホラー映画で3.4なんて良作ですからね(?)
というわけで鑑賞してみたら…やっぱり私は楽しめました!笑
2、コメディにしなかったのが凄い

やはり本作が成功したのは(と思ってます)この設定でコメディ要素を一切入れなかったこと。もっとアホなテイストだと思っていたので(言いすぎ)これは完全に予想外でした。
上質な北欧感を保ちつつもやっていることは完全に狂っている、という対比とシュールさがもうたまらない。コメディは合うものが少なくほぼ見ない私ですが、本作では何度か声を出して笑いました。
オシャレで清潔そうなキッチンで、料理をする手元のシーンから物語は始まるー。
良質な肉を丁寧に焼いていき、上から何度も油をかける。添え物のアスパラやジャガイモも、慣れた手つきで調理。
その肉を、2つに切り分ける。1つは自身が食すると思われる皿へ。そしてもう1つは一口サイズにし、ペット用と思われる皿へ…。
そうして「…ご飯の時間だよ、フランク」と言って奥から出てきたのは、犬の着ぐるみを着た人間であった…。
ソファに座る男性の元へ行き、おこぼれのオヤツをもらい、寄り添う。
ハミガキをしてもらい、匂いを嗅がれ「…お風呂に入れてもらうのかな?」と思いきや(中の人が)シャワーを浴びる。
ご主人様にオヤスミのあいさつをすると、自分のベッドへと。朝も、ハッハッ♪言いながらご主人様のベッドへと起こしにくる。
紛れもなく「犬」の生活です。
なんならその辺の犬よりも良いものを食べ、大切にされている感も。
そんな「犬」のご主人様は、富豪で紳士で料理上手。さらには超イケメンのハイスペ男性。
このハイスペ男性がマッチングアプリで出会った女性こそが、主人公の「シグリッド」だった。
これがまた犬の着ぐるみが垂れ耳で可愛くて、私的にはかなり萌えてしまい。日本のモールにいそうな着ぐるみではなくて、ここにも北欧感が感じられました(ダルメシアン?)個人的にはこのまま『動物もの』で終わってくれても良かったです。
3、彼が話す「犬」の素性
もちろんこのハイスペックなので?シグリッドは出会ったその日に彼の家へ行き、一晩過ごします…。
そして翌朝、ベッドのそばまでやって来ていた「犬」を見て、呆然とする。
これがハリウッド映画なら盛大に吹き出すところでしょうが、シグリッドは冷静に振る舞い「(…彼、どうしたの?)」と小声で問う。
すると「犬のフランクだよ?」と返され(w)「…あれは犬の着ぐるみを着た人間よ!」と言い合いになり、その日はそのまま帰ることに。
しかしルームメイトにマッチング相手の話をすると、彼が有名な大富豪であることを教えられる。
”犬”のことも伝えると、「誰も傷ついていないのなら、好きなことをすればいいんじゃない?変わった友達なのよ…笑」と明るく助言をされ、再び彼と会うことに…。
今度こそ犬のことを問うと「彼はずっと”犬”で、ここで暮らしている。彼がコレを望んでいるから、飼い主になるしかなかった。君も犬として接してやってくれ…」と。
さらには、「彼」は幼なじみで、いつもひとりぼっち。最新のゲームやお菓子をあげたりしていた。犬になった訳は分からない。と説明されます…。
※ここから先はネタバレ全開で語ります。
未見の方はどちらでも視聴できます◎
4、後半は一気にスリラー展開へ!
そんなこんなで、シグリッドも彼に”犬”として接していたのですが、あるとき突然”犬”が話す…。
「(……早くここから逃げないと!助けて…アイツはヤバい!)」
ここから一気に緊迫感が出てきて、ラスト30分はシグリッドが脱出を試みようとするスリラー展開になります。
夜に寝込みを襲おうとしますが、すべてはクリスチャンにバレており、失敗!
なんとシグリッドまで「犬」にされてしまうというバッドエンド。
しかも、家の中にはハイハイする赤ちゃん犬の姿までもが…(!)
これが、クリスチャンとの子供なのか、犬人間との子供なのかが分からず。
クリスチャンの正体を知った時点でシグリッドが吐くシーンがあるのですが、このときすでに…う〜ん、やっぱりタイミング的にはまだ早いか…。
となるとやはり、犬人間との子供ということになるのでしょうか。
5、情報はほぼ与えられないが…
本作を見る誰もが知りたいと思っていた、「犬人間」の素性や、一体いつから、なぜこんなことをされているのかという明確な情報は与えられないまま、物語は終わりを迎えてしまいます…。
クリスチャンのバックボーンに関して言えば「今は特に何も(仕事は)しておらず、両親はかなり前に亡くなっていて、大邸宅をもらった」こと。正直これらの話も、どこまでが本当なのかはよく分かりません。
「何かすることで自分を組み立てたい」とも言っていましたが、彼からすると「犬人間」がこれに当たるのでしょうか…。
「犬」の素性に関しても、クリスチャンが一方的に言うことなので信用はできず。現に「彼」は助けてと言っていたことからも、間違いなく本人が望んでしたことではないわけで(これは聞かなくても分かりますが)。
また、シグリッドが「犬」と2人きりになったときにも、彼にこうなった経緯を聞かないので、結局どこの誰だったのかも分からないままなのです…。
6、推測できるクリスチャンの正体
もちろん、彼がサイコパスであることは前提で言いますがー。
なんとなく感じたのは、クリスチャンという人間は、案外単純で純粋な面も持っているのではないかということ。
人と接するのは苦手で、社交的でないというのはおそらく本当でしょう。そんな彼だからこそ、正反対のシグリッドに惹かれたのかもしれません。正装でその場に現れた彼は、ただ単にデートを楽しみにしている1人の男性でした。
しかし最大の疑問は、なぜ「犬人間」を隠そうともせずシグリッドに見せたのかー。
どう考えても、これを許容する人間がいるとは思えません。
ただ、ひとつだけ納得できそうな理由があるとしたら…。「”彼”を本当に犬だと思っていた」ということ。
飼い主と犬という観点で見れば、クリスチャンは愛情を持って育てているようでした。
となると、彼が一体なぜこんなことをしているかと考えたときに、もしかして彼自身が両親から同じことをされていた…?
ラストで犬人間に暴行するシーンも、殴る蹴るではなくおしりペンペンというのが、まるで小さな子供にでもするようなお仕置き。…クリスチャン自身が犬として飼われていたのでは。
そしてこれに耐えかねて、両親を殺めてしまったとしたら…。
犬人間とシグリッドを棒で殴ったあとに、倒れ込んでずっと泣いていたのも、精神を病んでいたのなら説明もつきます。人間を”犬”と思い込んでいたことも…。
…とはいえこれもあくまで推測の域を出ないので、あともう少しだけ情報を与えてくれれば!私的にかなりの傑作になり得たのですが…。
それでも、これ以外のところでも普通に楽しめたので、個人的には拾いものでした…笑!
7、クリスチャンがとにかくイケメン

私が本作を楽しめた理由に、やはりこれもあります…笑
ガード・ロッケという俳優さんだそうですが、モデルのような高身長(190㎝以上ありません!?)に、鍛えまくった身体…。
こんな俳優を使ったのは逆に悪意ありますよね…。このスペックなら犬人間飼ってるぐらいええやん(?)となってしまう。
シグリッドが『犬』のことさえ許容できていたらワンチャン幸せな2人でしたよね▼・ω・▼
私的には、いま1番好きなビル・スカルスガルドにも似たイケメンを発掘できたことが収穫です。まだ本作しか出演作はないようですが?(血眼で検索)Filmarksではすでにファンが18人いました。間違いなく女性でしょうw
ぜひ、今後も出てきて欲しいです!
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