そこまで期待していなかったのですが?まさに”こういうのでいいんだよ”な村スリラーで、エンタメとしてサクッと楽しめました。見やすいのではじめての村スリラーにはちょうど良いかと。村人たちは全力でキモいのですが、基本良い人たちばかりなので?村の秘密にさえ目をつむることが出来れば(犯罪です)ギリ住めそうな村でもありますw
作品データ
【製作年度】2024年
【製作国】日本
【上映時間】99分
【監督】城定秀夫
【キャスト】深川麻衣、若葉竜也 ほか
【鑑賞方法】劇場公開中
(鑑賞時にご確認ください)
解説・あらすじ
田舎でのスローライフを夢見て、都会から村へと移住してきた夫婦が、その村に存在するある「掟」に追い詰められていく姿を描いたスリラー。村民の中に田久保を畏怖する者たちがいることを知った杏奈は、次第に不信感を抱くようになっていく。(映画.comより)
年齢制限は?
PG12なので、12歳以下の方は保護者同伴が望ましいとされます。
レビュー ( 2025・01・26 )
1、まさにちょうど良い村スリラー
田舎暮らしを夢見て、都会から引っ越してきた夫婦、輝道(若葉竜也)と杏奈(深川麻衣)。子供も産まれ幸せなはずだったが、村人たちの異様さと不穏な様子に、徐々に不安を募らせていく…。
若葉竜也が出ているということでアート系なのかな?と思ったら、これが見事にエンタメでサクッと楽しめました!まさに”こういうのでいいんだよ”な、村スリラー入門編にはちょうど良い作品かと。
監督は『アルプススタンドのはしの方』こそ意外でしたが、まだまだピンク映画のイメージもある城定秀夫。しかし今回、そちらの要素は全くなし。
村ホラーのテッパンである生贄や、幽霊、モンスターなどはなし。『ガンニバル』のように人ならざるものが出てくるわけでもなければ、『ミッドサマー』のようにクマの着ぐるみハラスメントもありません(・ω・)
村の掟…と紹介されてもいますが、本作に関しては掟や風習ということにそこまでこだわらなくても良いかと。水害と過疎化により経営難に陥った村がやむなく始めたことでもあり、事情は分からないでも無い…。
犯罪ではありますが、『ミッドサマー』や『ガンニバル』などと比べると、かなり現実的な村スリラーと言えると思います。この事業にさえ目をつむることができれば、命の危険があるわけでもないので、がんばったらワンチャン住めそうな?ギリギリの村w
全体的には想定内の内容ではあるので物足りないと感じる人もいるかもしれませんが、このテの話が好きな方なら普通に楽しめるかと。また、クセありキャストの共演も見どころです笑。
2、度を越してはいるが良い村人たち
村人たちは、気持ち悪いところをのぞけば?普通にみな良い人たちw 大なり小なり、こんな人はどこに住んでもどんな職場にもいそうで、あくまで『度を越してしまった』だけ。
『子供はまだ?』なんてのもあるある。妊娠にはカボチャが良いと炊いてくれたり、ご飯を振る舞ってくれたり、やたらおかずを勧めてくるのもあるある。ご飯は普通に美味しそうで、毒が盛られているわけでもありません(・ω・)
子供が出来たら普通は『おめでとう』なのに、村人一同『ありがっさま~!(ありがとうの意)』これいいですね、ありがっさま~。なんかクセになるし、劇中何度もニヤニヤしてしまったw
てっきり子供を生贄にでもするつもりか?なんて思ったら、あくまで過疎りまくった村に新たな生命が誕生したことを素直に喜んでくれる村人たち。ただ、その喜び方がキモいだけw(多少の?裏はあるけれど)
夫婦の家の前の街灯が切れたのを、自治会長の田久保(田口トモロヲ)が直して点灯すると、村人一同拍手をして喜び『ありがっさま〜!』って、ヤダかわいい(・ω・)。私も村人なら全力で拍手するわ。
『ありがっさま』とは奄美大島の方言らしいのですが、劇中に出てきたパトカーには”愛知”県警…。設定はフル無視?のようです。
夫婦に子供が産まれると『杏奈ちゃんは育児だけをしていればいいのよ?』と、家の窓拭きまでやってくれる田久保の妻・よしこ(杉田かおる)。そこに他意はなく、ただ良かれと思ってやっている…普通にいい人やん。ただ、やりすぎなだけw
輝道が、田久保の機嫌を損ねてしまったための嫌がらせはあったものの、普通に暮らしている分には理不尽な嫌がらせなどもない。
夫婦の飼い犬のレオンがとにかく可愛くて、犬だけはやめてぇぇ!と思ったら、エサに農薬を混入されたものの?なんとか一命は取りとめたので、ギリセーフかと…▼・ω・▼(ホラーの見すぎで私もたいがい頭おかしくなってる)
3、村の秘密とは…
生贄や幽霊などではないなら何があるのかと言ったら、なんと村では大麻を栽培して違法に売り捌いていたのだった…。想像よりは、現実的な秘密ですよね?
杏奈は村人たちとは一線を引こうとしますが、輝道はそうもいかない事情が出来てしまう…。田久保に弱みを握られ、大麻栽培に加担せざるを得なくなってしまうのです。これも、実は仕組まれていたものだったのですが。
夫婦にも溝が入ってしまうが、ラストではこれまで我慢していた杏奈が立ち上がる!大麻の事実を警察に密告すると、村人たちに多量の大麻を浴びせ、決定的な事実を残して村を後にするー。
祭りの炎の中、狂ったように笑い続ける村人たちの姿は、滑稽だけど不気味でとても良かったです。
そして杏奈が運転する後部座席には、眠る輝道がレオンを抱く姿が…。…あーよかった!杏奈が輝道を見捨てずにいてくれて、(私も)救われました。杏奈の『…帰るよ』が良かったですね〜。
最近では珍しいくらいの、スッキリ後味の村スリラーでした!
4、多彩なキャストたち
若葉竜也(輝道)
映画がメインかと思いきや、昨年の『アンメット ある脳外科医の記録』のドラマ出演で、一気に知名度が上がった若葉竜也。プライベートでは『アンメット』含む数回の共演がきっかけで杉咲花と交際。なんとも応援したくなる2人です。
『街の上で』なんてまだまだ頼りない感じの雰囲気だったのに、いつの間にこんなに色気が出てきたの…(・ω・)あんな農作業みたいなブルゾンでも、髭のせいなのかなんなのか?いちいちイケメンだった。
田口トモロヲ(田久保)
田口トモロヲって一体何が代表作になるのでしょう?『鉄男』に始まりかなりクセありな作品が多いイメージですが、出演作をザッと見てみると驚異の230本!
ちなみに、私的に永遠に顔が覚えられない俳優の1人でもありますw 特徴があんまないのかな…?
本作『嗤う蟲』では、コントですか?レベルのややオーバーな演技により、怖いというより面白いが勝ってしまうw『ワシをいじめんでくれぇぇ!』はキモくてサイコー。
そのせいかあまり嫌味には感じず、作品としては彼のおかげで?いい感じのエンタメに。でもこれでも、もう少し抑えてくださいと監督に言われたらしいので、元はどれだけだったんだw
監督業もされているようで『ピース オブ ケイク』(綾野剛・多部未華子)は彼が監督だったのですね!?これ面白かったです(・ω・)
杉田かおる(田久保の妻)
久々に見ましたが、杉田かおるってまだ女優業をしていたのですね。…そして、やっぱり上手い!登場シーンは一瞬分かりませんでしたが、決してわざとらしくない、でも”おせっかいが過ぎるヤバい人”を見事に演じてました。
松浦祐也(三橋)
脇役で出ているとある種の信頼感があり、良作への出演も多い松浦祐也。私が彼を認識したのは『岬の兄妹(18)』なのですが、遡ると2004年頃から100本ほどの作品に出演!
脇役で異彩を放つ俳優ですが、私が見たことのある彼の役がたまたまなのか、ほぼ似たような役ばかりで気の毒になるほどw
片岡礼子(三橋の妻)
しんどい映画には必須女優の1人でもある片岡礼子。本作の役も見事にしんどい…でも上手い。
『空白(21)』では彼女の演技で号泣…(;ω;)内容はハッキリとは覚えていないのですが、昔彼女が出ていた『ハッシュ!(01)』という作品が良作だった気がします。
中山功太(駐在)
顔では気づかす、声で気づいた中山功太!笑 私のなかでは”怪談話の人”なので、こんなところで見れるとは思いませんでした。独特のハスキーな声が妙にマッチし、駐在役もハマってました。
⬇︎こちらも村の恐ろしさを描いた2作品
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