
「ちょっと面白そう?」なんて気軽に観たら地獄見ます。この『ハードキャンディ』、日本の“オヤジ狩り”が元ネタだそうで…スリラーとは思えないほど、ガチで痛い・怖い・キツいの三拍子。しかも、少女役のエレン・ペイジ(のちのエリオット・ペイジ)の演技がもう、恐怖そのもの。いま観ると、トランスジェンダーを公表した”彼”の存在も含めて、いろんな意味で【見る価値アリ】な一本です。
作品データ
【製作年度】2005年
【製作国】アメリカ
【上映時間】103分
【監督】デビッド・スレイド
【キャスト】エリオット・ペイジ
パトリック・ウィルソン ほか
あらすじ
斬新なアイデアと過激な描写が話題を呼んだサスペンス・スリラー。出会い系サイトで出逢った14歳の少女、ヘイリーと32歳のカメラマン、ジェフ。3週間のチャットを経てジェフはヘイリーを自宅へ誘い込むが、いつの間にかヘイリーが作り上げた罠にかかっていた…。(映画.comより)
年齢制限は?
映倫ではR15指定だそうですが、サイトによってはR18指定になっていたりもします。※なかなか過激な描写があるので、自己判断でお願いします。
どこで見れる?
見放題 | 課金 | |
---|---|---|
Amazon プライム | ー | ● |
U-NEXT | ● | ー |
Netflix | ー | ー |
hulu | ー | ー |
Disney+ | ー | ー |
ゲオ宅配 レンタル | ー | ● |
レビュー ( 2011・11・21の記事に加筆 )
1、日本の『オヤジ狩り』がモチーフ

当時話題になっていたのですが、勝手なイメージでグロいホラーだと思い込んでいたこの作品。しかしある意味ではそれ以上にキツいかもしれない、『映さずに』想像させる恐ろしいシーンがあります(!)
一応、サスペンススリラーという括りではありますが、私が借りたレンタルショップではホラーコーナーにありました。
そしていざ見てみると、R15(or R18)も納得、そのへんのホラーよりも強烈で、なかなかとんでもないお話でした…。特に、男性からしたら見るに堪えないシーンがあります(!)
2005年製作と今から20年ほど前の作品ですが、当時はまだマッチングアプリなどはなかったのでインターネットの『出会い系』と呼ばれるツールのみ。
今でもこのテの出会いには危険も多く孕んでいますが、そんな出会い系の恐怖を先取った本作。
赤ずきんをモチーフにしており、なんだか不名誉なことではありますが日本の女子高生によるオヤジ狩りから着想を得たストーリーなんだとか(wikipediaより)
監督は、私の大好きな『30デイズ・ナイト』のデヴィッド・スレイド。Netflixオリジナルの『ブラック・ミラー:バンダースナッチ(18)』も評判良かったですね。
なんだか可愛らしい響きの『ハードキャンディ』ですが、実は『◯◯した男性のアレ』を意味するスラングなんだそう!(分からなかったらググってくださいw)昔、同名の人気コスメブランドがありました笑。
2、オペコス少女の拷問劇、開催。

一見まだ子供にも見える14歳の少女ヘイリーとインテリ系のジェフが、出会い系で知り合う。そして会ったその日に、男の家へ行くと言い出す少女…。
彼女が作ったカクテルによって意識を失ったジェフが目を覚ますと、なぜかイスにくくり付けられていた-。
低予算で製作されたという本作は、ほぼ屋敷内が舞台のヘイリーによる拷問劇です。
男性が女性をというのはホラー映画でもよくあったりしますが、女性が男性を…しかもこんなに幼い少女がというのは珍しいですね。
ラストまで緊張感を保ったままダレることはないのですが、とっても不快でイヤ~な!気分になる類いの作品です。恐怖というよりも、イヤ~な…(笑)。
なぜなら、ヘイリーの拷問理由というのがなんとも不明瞭で、『いい歳して14歳の少女と出会い系だなんて、このヘンタイ!』と、こういった男性に対する嫌悪感で制裁を下しているよう。
『…絶対にヘンなモンとか隠し持ってるんでしょ!?ポルノ雑誌の1つもないなんておかしいじゃない!』と、なぜか逆ギレし、人の家を漁ってみる…(?)
完全にジェフのことを“悪”だと決めてかかったうえでの彼女の言動には、もはやこっちもイライラ…。
そして、本作最大の見せ場と言われる『去勢』シーン。
以前、韓国ドラマで宦官の作品を見てからというもの、このテのシーンが本当に!ムリで…。何より、男性からしたらこれ以上の恐怖はないでしょう(;ω;)!?
『…パパの医学書を見て勉強したから大丈夫!』とオペコスまでして手術に挑む姿に『この女、マジでキ○ガイだろ!?』と、さすがにこちらもジェフに感情移入する形に…。
大の大人が『…頼むから、それだけはやめてくれぇぇ(!!)』と、泣きながら懇願するサマはあまりにしんどすぎる…没。
3、なぜ、ここまでされるのか…

…しかしなんと、この去勢が実はフェイクだったのです!ヘイリーは、究極の脅しをかけたんですね。
ここから物語は新たな展開を見せ、行方不明になっているある少女の失踪事件にジェフが関与していたことが判明。
『オレは写真を撮っていただけで、殺したのはアーロンだ!』などと別人の名前を口にするジェフですが、ヘイリーはどうやらアーロンという人物も同じように拷問してきた模様。
となると、ヘイリーは行方不明の少女と知り合い?という推測もできるのですが、そういった説明もなく、ジェフの『君はダレなんだ…?』という問いに『あなたが欲情したすべての少女よ』とこれまた抽象的な答え。
ヘイリーにこれらの弱みを握られたジェフは、結局首に縄をかけて自害(させられる)という鬱エンディング。
ゆえに、ジェフが本当にここまでの仕打ちをされなければならないのかという肝心な部分は、分からないままなのです。
1つ分かっているのは、ヘイリーは始めからこうなることを予測し、用意周到に準備していたということ…。ジェフがどのタイミングで怒り、どう行動するのかも読んでいたのだろうと。
ヘイリーという名前も偽名だったのでしょうが、やはり素性も明確な動機も分からないまま…。
理由付けがもっとハッキリすれば、かなりの傑作になったかもしれない作品なので少し残念ではありましたが。
それでもラストまでしっかり釘付けになったことは間違いないし、なんと言ってもキャストの演技がすごかった!
4、LGBTQ+視点で見た再評価
本作が今なお注目を集めている背景には、主演のエリオット・ペイジ(エレン・ペイジ)が2020年にトランスジェンダーであることを公表したことも大きく関係しているでしょう。
現在ではLGBTQ+を取り巻く意識も変化しつつあり、かつて“少女”として演じていたヘイリーというキャラクターの持つ強さや、社会への異議申し立てのようなメッセージが、今の視点で見るとより深い意味を持って映ります。
当時はただ「衝撃的なサスペンス」と受け止められていたものが、今ではジェンダーや権力構造に関する批評的な視点をはらんだ問題作として、再評価されつつあるのかもしれません。
5、キャスト2人の魅力
エリオット・ペイジ(エレン・ペイジ)

ヘイリーを演じた、当時18歳のエレン・ペイジには圧倒されました。
『JUNO/ジュノ』では20歳でアカデミー主演女優賞にノミネート。『インセプション』で有名俳優の仲間入りを果たしましたが、『ハード キャンディ』当時はまだ新人。
あどけない表情を見せる冒頭から一転、まるで人が変わったようなふてぶてしい態度と言動には腹立たしくなること必至。
そして先述したように、2020年にトランスジェンダーであることを公表。エレン・ペイジからエリオット・ペイジに改名しました。
こう言ってはなんですが、女性だった頃もとても可愛かったです…。
9歳のころの性自認はすでに男の子だったそうなので、それでいて妊娠する役を見事に演じ切った『JUNO/ジュノ』は、改めて凄いと言わざるを得ません。
パトリック・ウィルソン

そして、我らが!パトリック・ウィルソンですよ(・ω・)
この人って普通に二枚目だと思うのですが、いわゆる二枚目を封印したキャタクターを演じることも多く…。
まさに本作のような『ハード キャンディ』や『ザ・レッジ 12時の死刑台』(個人的にマジでひどかったですw)数年前にもNetflixオリジナルである『イン・ザ・トール・グラスー狂気の迷路ー』(これは作品も役もひどかったw)など。
売れてもなおこんなに変な作品にも出演してくれるって、すごくいい人なんだと思ってます(?)
死霊館ユニバースに出演するようになってからは、ジェームズ・ワンファミリーの一員ともなりました。
しかもワン監督は『主演スターの容姿を持った驚くべき性格俳優だという印象を受ける。彼は演じる役の中に自分を消して入り込むところが素晴らしい(wikipediaより)』
と、彼を評しているようで、…カーッ!監督分かってますね〜!(誰)『アクアマン』に出演したのも、監督がパトリックのことを買っていたからだったのですね!
『死霊館』と『インシディアス』はホラー映画で最も好きなシリーズなので、今後も応援していきたいです。
鬱なスリラー映画やドラマ映画などのまとめもおすすめです!


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