これが長編初監督作ならば、次回作にも期待できる!
今年の劇場初めに鑑賞した大作が自分のなかではハズれてしまったということもあり、ここはやはりなんと言われても?自分が見たいやつを見なければ!ということで、大本命であった本作に突撃。なんと総合プロデュースは清水崇。シャマランの『ヴィジット』のような、じいさんばあさんがヤバいネタは大好物なので、本作は邦画ということもあってさぞかし生々しくてキモいのだろうと期待していたのですが♡…あ~こっちか~、こっちにいったか~w
作品データ
【製作年度】2023年
【製作国】日本
【上映時間】89分
【監督】下津優太
【キャスト】古川琴音、松大航也 ほか
【鑑賞方法】Amazonプライム、U-NEXT など
(鑑賞時にご確認ください)
あらすじ
祖父母が暮らす田舎へやって来た看護学生の“孫”は、祖父母との久々の再会を喜びながらも、祖父母や近隣住民の言動にどこか違和感を覚える。祖父母の家には“何か”がいるようだ。やがて、人間の存在自体を揺るがすような根源的な恐怖が彼女に迫り……。(映画.comより)
年齢制限は?
R15指定なので、15歳以下の方はご覧になれません。
レビュー ( 2024・01・30 )
1、…そっちへいくんですね!?な、驚き
祖父母が暮らす田舎へとやって来た『孫(古川琴音)』は、祖父母や家の様子にどこか異変を感じ、次第にその疑念が実体のある恐怖へと変わっていく…。
冒頭から30分くらいはホントに大好きな展開で、これは久々に邦画ホラーの傑作か!?などと思っていたのですが、じいさんが床を這ってきたあたりから『……!?…こんなにあからさまに、こういうのが出てくる話なんだ…!?』と。
てっきり、じいさんばあさんだけがヤバい話なのだと思っていたので、まさか第三者が出てくるとは思わずここはめちゃくちゃビビりましたw しかも、恐怖の対象物をこんなに堂々と見せるテイストだとも思っていなかったので、ちょっと拍子抜け…。
こういった世にも奇妙みたいな設定や世界観はとても好きなので、全体的に楽しめたは楽しめたのですが……この設定で私が見たかったストーリーと展開ではちょっとなかったかなぁという意味では、少し残念でもありました(;ω;)
主人公である『孫』を演じた古川琴音はベビーフェイスが可愛らしい女優さんなんですが、自然な演技が素晴らしくて好感が持てました。
2、『生贄』の新たな解釈
この村では一家に1人『生贄』がおり、生贄がいるがために家族が幸せに暮らせているのだと。村ホラーなんかで村のために生贄を捧げるというのはよくありますが、家族に1人…まるでペットのように飼っているという概念は新しかったです。
しかもそれが迷信などの信仰だけではなく、生贄から『味噌』も作れる?という物理的にも重宝されている存在。(味噌という絶妙な生々しさ)
しかし、この行為を犯罪だとしか思えない『孫』は『生贄』を逃がし、死なせてしまう。すると生贄がいなくなった家族は身体に異常をきたし始め、次の生贄を見つけないと、最終的には亡くなってしまうのだと…。
3、中盤でのネタバレが、やや早かったような気も…
ただ、物語の中盤で生贄のネタバレを食らってしまうと、その後にさほど怖いエピソードや隠し玉がなく、興味が少し削がれてしまったのは事実…。これならば、生贄のネタバレはもっと後半で明かして、そこまでは祖父母や村人たちの秘密や奇行などで引っ張って欲しかった気もしました。
中盤以降は、自分と同じ考えを持っておりまともなハズの叔母を訪ねる主人公ですが、なんのことはない、叔母もやはりソッチ側の人間だったことが分かります。叔母によるセルフ頭割りは、映画史でも見たことがないほどキモ怖で良かったですw
最終的には、村で唯一の理解者であった主人公の幼なじみが犠牲になってくれて、彼を新たな生贄として迎える一家…。『人の幸せというのは誰かの不幸の上に成り立っている』ということを主人公も身をもって知ったということなんでしょうか。
そして実は主人公の家だけでなく他の家にも生贄はおり、なんなら世の中すべてがそうだった…(!?)世の中を知らなかったのは主人公だけだった…というような描き方は良かったと思うし、この設定ならばもっと違った方向にも話を膨らませることが出来そうではありますよね。
4、祖父母らの奇行は、なんだった…
そもそも生贄云々ではなく、祖父母は元からちょっとアレな人だったんですか…(・ω・)?廊下で口を開けて突っ立っていたり、夜中に突進して来たり、ばあさんがじいさんの指を舐めまわしていたのは何!?…あれは通常モードなのw?これらの奇行に対する理由付けはなくない?という。
私的には家族の奇行エピソードがかなり面白かったので、ここをもう少し生贄と絡ませてくれたらなぁという気はしました。
おばあちゃん役の女優さんがあからさまな棒読みなのですが、これが逆に異様さを掻き立て、恐怖度を増していましたw 途中からはもはやクセになってくる中毒っぷりです。
5、予告を見ずに劇場へ行って良かった…
私は、絶対に劇場で見ると決めた作品は予告をあえて見ずに行くことも多いのですが、本作に関しては事前情報を一切入れずに劇場へ行ってよかったです!これ、かなりネタバレてません…(・ω・)?重要なところがほぼ予告で出てしまっているし、まっさらな気持ちで映画を楽しみたい私からしたらちょっとNGすぎました笑。
でも最近はネタバレを知っても関係なく作品を楽しめるという方もいるようですし、なんなら何が起きるか知ってから見たいという方もいるらしく、私からしたら到底信じられませんw
あるYouTubeの映画チャンネルに本作の監督さんが出ていたのですが、まだ若い方で驚きました!私的にはもう少しココがこうだったらなぁ…はありましたが、Jホラーや村ホラーが好きな方にはぜひ見て頂きたいです。初の長編監督作品がこれならばすごいと思うし、監督の次回作も見たいです!
ホラー映画の予告を、どこまで見せるか問題…
「ホラー映画ってこんなに疲れるんだと実感しました」「分からないことを楽しんでもらえたら」古川琴音、下津優太監督『みなに幸あれ』【インタビュー】(OVOより)
本作、なんと予告も監督が作ったらしいですね!私のように劇場に行くと決めている人からしたらネタバレになるかもしれませんが、本作に興味がなかった人がこの予告を見れば、気になるのは間違いないです。確かにまだ無名の監督ともなると、とにかく予告で客を引っ張らねばならないので、そういう意味ではこの予告で正解なんでしょうね。
ホラー映画の場合、怖いシーンをあまりに見せてしまうと『次にあのシーンだな…』と分かってしまうしで、予告でどこまで見せるのかってとても難しい問題ですよね。
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