【回転 (’61)】ゴシックホラー【ネタバレあり】

今見ても十分怖い、60年も前の屋敷系ホラー

これまでに何度も映像化されている、小説『ねじの回転』の初めての映画化作品。1961年製作と今からおよそ60年も前のモノクロ作品ですが、今見ても十分怖いです。『異常状況下における登場人物たちの心理的な駆け引きをテーマとした、心理小説の名作(wikipediaより)』なんだそう。

作品データ

【製作年度】1961年
【製作国】イギリス
【上映時間】100分
【監督】ジャック・クレイトン
【キャスト】デボラ・カー、マイケル・レッドグレーヴ ほか
【鑑賞方法】ゲオ宅配、DVDレンタル など
(鑑賞時にご確認ください)

解説・あらすじ

郊外の屋敷で暮らす幼い兄妹の元に家庭教師として訪れた女性は、そこで男女の幽霊を目撃する。やがて彼女は幽霊と子供たちの恐ろしい関係に気がつくが……。ヘンリー・ジェームズの原作『ねじの回転』をウィリアム・アーチボルドとトルーマン・カポーティが脚色し、撮影は怪奇映画の御大フレディ・フランシスが担当。モノクロ画面によるムード醸造と、幽霊を描いたさりげない恐怖演出は一見の価値有り。(allcinemaより)

年齢制限は?

かなり昔の作品なので調べてもよく分からなかったのですが(そもそもR指定などない時代?)現代の感覚でいったら、PG12くらいに相当するかも?しれないシーンがあります。(レビューに記載)

レビュー ( 2015・02・28の記事に加筆 )

1、Jホラーのようなテイストは、今見ても怖い…!

田舎町のとある屋敷に住み込みの家庭教師としてやって来るミス・ギデンス。まだ幼いマイルスとフロラ兄妹ともすぐに打ち解けます。

しかし、自分にしか聞こえない謎の声。塔の上からこちらを見ている男性。夜中うろつく女性の影…。今でこそ定番ともいえる屋敷ホラーですが『元祖』屋敷ホラーとも言われているらしいです。

恐怖演出も決して古くなく、ジャパニーズホラーのようなテイストは本当にゾクっとします。モノクロ映画なので、それこそ古い洋館の中をろうそくを持って歩くシーンだけでも雰囲気ありまくり。窓1枚隔てたすぐそこに、男性の顔が近づいてきてスーッと消えるシーンは本気でビビりましたw!そこにいる…!?じゃなく、フツーに『存在』しているという(・ω・)

映像で見るともっとヤバいですw
邦題『回転』の意味は…

邦題である『回転』は、ミス・ギデンスが夜中ウロチョロする様子が上から撮影されているシーンが、クルクル回転しているように見えたことから?それともオルゴールを指してる?ともあれインパクトもあるし怖そうな響きなので、私は好きな邦題だったりします。

2、幽霊の正体は、わりとすぐに明かされる

ただ残念なのは、これら幽霊の男女の正体がわりとすぐに明かされること…。以前屋敷の庭師だった男性と、彼と恋仲になった家庭教師の女性だったのです。

しかも昼間から子供が見ている前でいかがわしいことをしたり、ドSな男性に女性がひれ伏していたりと何かと問題だった2人。どうやら子供たちは彼らに悪い影響を受けたらしいのですが、家政婦にもハッキリしたことは分からないという…。

幽霊の男女が『まだ生きている頃』が描かれた、前日譚

71年に作られた前日譚『妖精たちの森』の主演は、なんとマーロン・ブランド。これまたなかなかの問題作なのですが、75年に木曜洋画劇場で放送されていたと知りビックリw まさか、ノーカットじゃないよね…(・ω・)

3、少し性的な要素を含んでいるようにも…

数々の恐怖体験をするミス・ギデンスですが、次第に彼女が何かに憑りつかれたようにゆっくりと壊れ始めていきます…。

未婚で、おそらく今まであまり恋愛経験がなかったと思われる彼女。真面目な彼女が男女の幽霊の話になると異様な食いつきを見せ、それは嫉妬のように映ったりもするのです。そして何とか兄妹から2人の話を聞き出そうと幼い2人に対しありえない詰め寄りっぷり。

フロラ『…なんなの、このオバハン…』

物語には少し性的な要素も含んでおり、幼いマイルスがオヤスミのキスをミス・ギデンスの口に(結構長めにしっとり)するんですよね(!)普通なら『こら、やめなさい』とたしなめるのが大人だと思うのですが、これがうっとり応えていたりするんです(このあたりがPG12になるかどうか…

一見、何このシーン笑?となるのですが、男女の幽霊が兄妹に乗り移ってアレコレ言わせていたところをみると、このときマイルスに男性の霊が乗り移っていたとも考えられるのですが…かと言って、それに応じたミス・ギデンスの対応がよく分からずw

これって、欲求不満の表れでもあったんでしょうか…。

4、オカルトから、主人公の心の闇を見る話へとシフト

なんだか危うかった2人の関係…

ミス・ギデンスの詰め寄りっぷりに怯えたフロラは、翌日家政婦と共に家を出て行き、屋敷に残ったマイルスとミス・ギデンスの2人。

ここでここぞとばかりに男女のことを問い詰めようとするミス・ギデンスですが、マイルスが男性の名を叫ぶと、なんとそのまま亡くなって(?)しまうのです。そしてやはりマイルスの唇にキスをし(PG12疑惑再び)『…嗚呼、なんということでしょう!?』と言わんばかりの、何とも後味が悪い、また唐突なエンディング

報われない男女の霊を弔って鎮めるとか、そういった解決策を得るような作風ではないんですね。後半の展開を見ると、オカルトサスペンスではなく、彼女の壊れっぷりを見るような展開にシフトしています。現に幽霊の存在は、家政婦やその他の大人には見えていない様子。彼女の嫉妬心と好奇心が見せた『幻』であるとも言えます。

一見幽霊系のオカルトホラーと思わせておいて、実はミス・ギデンスの心の闇を見るサイコロジカルスリラーという、なかなか深いお話なのでした。

5、これまでに、5度も映画化!

『ザ・ターニング』はなんと、スピルバーグ製作総指揮

1898年に発表された小説『ねじの回転』はこれまでに、前日譚、リメイクなども含めると5度も映画化されているようです。しかしやはり61年度版が最も評価が高く、他はなかなかひどかったです(・ω・)(Filmarks調べ)それでも5度も映画化されるということは、それだけ映像化にトライしたいと思わせる作品なんでしょうね。

92年にはリメイクである『ホワイト・ナイトメア』が製作されています。こちらはパッツィ・ケンジット(懐かしい)とジュリアン・サンズ共演なのですが、ジュリアン・サンズといえば2023年に亡くなられました。ハイキングに行ったきり帰ってこず、およそ半年後に遺体が発見されるも死因が特定されない、という謎の死を遂げています…。

♦︎ 英俳優ジュリアン・サンズさん、死亡確認 米カリフォルニアで発見の遺体は本人(BBC NEWS JAPANより)

また直近の映画化では『ストレンジャー・シングス』のフィン・ウルフハード主演の『ザ・ターニング(20)』という作品がありました。こちらはなんと、スピルバーグが製作総指揮…。

6度アカデミー賞にノミネートされるも無冠で終わった女優
カラーだとちょっと若い印象です

ミス・ギデンスを演じたデボラ・カーは、清楚でまさに貴婦人と言った感じでとてもキレイでした。6度アカデミー賞にノミネートされるものの、無冠でこの世を去ってしまったらしいです。

ちなみにピーター・オトゥールは、8度のノミネートで無冠のままこの世を去り、グレン・クローズも同じく8度ノミネートされているものの現在まで無冠という(逆にやめたげて…)結構そういう俳優さんっているんですね…。



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