
ジャケットから正統派ガチホラーだと思い込んでいたので、中盤でまさかのジャンルシフトにビックリ(ジャケット右側が老婆の霊だと思い込んでいたのは内緒)。前半は衝撃的なシーンも多いですが、家族愛、青春、ユーモア、ミステリーなど、柱となる要素がいくつもあるのでラストまで一気に見れます。ゼロの状態で驚きたい人は、正直あらすじも予告も見ずに鑑賞してほしいです…。
作品データ
【製作年度】2024年
【製作国】日本
【上映時間】108分
【監督】白石晃士
【キャスト】南出凌嘉、梶原善
根岸季衣、近藤華 ほか
あらすじ
念願の一戸建てに引っ越してきた神木家。夢のマイホームでの生活がスタートしたのもつかの間、どこからか聞こえる奇怪な笑い声とともに、家族が一人ずつ死んでいくという異常事態が発生。神木家を襲う恐怖の原因は、この家に棲みつく少女の霊「サユリ」だった。(映画.comより)
対象年齢は?
R15指定なので、15歳以下の方はご覧になれません。
どこで見れる?
見放題 | 課金 | |
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Amazon プライム | ー | ● |
U-NEXT | ー | ● |
Netflix | ー | ー |
hulu | ー | ● |
Disney+ | ー | ー |
ゲオ宅配 レンタル | ー | ● |
レビュー ( 2024・08・30 )
1、前半は正統派ホラーの流れ

((C)2024「サユリ」製作委員会/
押切蓮介/幻冬舎コミックス)
引きこもりで暴力的な娘に脅かされている、ある一家。何か良からぬ事が起こったらしいその家に、10年後、仲の良い家族が引っ越してくる-。
まず最初に、異変が起こるのは長女。
体調に異常をきたし始めると自我が保てなくなり、暴力性を帯びてくる。
そしてなんと、一家の父親を筆頭に、祖父、次男、長女、母親が次々と非業の死を遂げる。
家族が家族を手に掛けたり、自害していく様子はかなりしんどく、特に可愛らしい弟くんがお姉ちゃんに突き落とされる描写や、お母さんの自死シーンはかなりキツかったです…(;ω;)
仲の良かった家族だからこそ、こんな残酷な死に方をするギャップはかなり応えました…。元々7人もの大家族であったのに、なんと残ったのは認知症が進んでいる祖母と、長男の2人きり!
かなりの鬱展開に、ここから一体どうなるの!?と思っていたら…
家の中で電気が消えたと同時に人物が消える消失演出は、電気が点いたときに一体どこから何が出てくるのかが分からず、かなり身構えました(!)
2、こんなジャンルシフト見たことない

((C)2024「サユリ」製作委員会/
押切蓮介/幻冬舎コミックス)
認知症気味のおばあちゃんが、家族を亡くしたことにより、まさかの”覚醒”!
自身の息子が亡くなったときに1度覚醒しかけましたが、あまりの惨劇に完全に開花したんでしょうね!笑 しかも人間性だけでなく、素行やファッションまでもが完全なる別人格になるのがスゴい。
元々は太極拳の師範であったというおばあちゃん。精神力の強さと、ユーモア溢れる暴力性とのバランスが絶妙なキャラクターに。
『命を濃くしろ!それがサユリに立ち向かう源となるんじゃ!』と孫に教えを説く、スポ根マンガのような祖母と孫のバディものが爆誕w
ジャンルは、ホラーから復讐コメディアクションへ、おばあちゃんが脇役からメインへと躍り出ます。
突如のジャンルシフトには、一瞬『…へ?』となりました(・ω・)
しかし『元気ハツラツ!…』のあとは、どうしてもあの台詞でないとダメだったのでしょうかw ここは人によってちょっと感じ方が分かれそうな…私はまぁまぁギリでしたw
※ここから先はネタバレありで語ります。
未見の方はこちらから視聴できます◎
3、サユリの正体

((C)2024「サユリ」製作委員会/
押切蓮介/幻冬舎コミックス)
「2人の霊」ではなかった…
家族を次々と死に追いやった『サユリ』。
冒頭では、大きな女性と少女――“2人の霊”がいるように見えて「まさか共犯?」と疑っていたのですが…。あの異様な大女が”成長したサユリ本人”だったとわかったときの衝撃といったら。
絶対的“悪”のように見えていた存在が、あんな過去を背負っていたなんて…。
「…うわぁ、そっちだったか…」という、思わず声が漏れるような真相でした。
サユリが霊になっても“あの空間”に留まり続けたのは、断ち切れなかった恐怖と裏切られた記憶が、そこに染みついていたから――。
なぜ父は? なぜ母は助けなかった?
ごく普通の父親であった彼が、説明もなく“加害者”となることで、観る側にも強烈なショックが。
あまりに唐突で、あまりに理不尽…。
けれどそれはもしかすると、実際の家庭内被害も、“外から見たら唐突にしか映らない”という現実を意識した演出だったのかもしれません。
さらに驚くのは、母親に助けを求めても、あの態度。
無表情で、まるで“何も見えていないかのような”…。家庭を壊したくなくて目をそらしたのかもしれませんが、 結果的には夫に従う形となり、共犯ともいえます。
それでもサユリは、母親だけは殺さなかった…。殺せなかった…。あの沈黙の裏にある“感情”は、たぶん怒りだけではなかったと思います。
あんなことがあったら、そりゃこうもなってしまうよね…。
最後に涙を流した“少女”としてのサユリ
ラスト、大きなサユリのドス黒い何かが剥がれ落ち、小さな少女の姿で泣きじゃくる場面は、こちらもなんだか泣けてしまいました…。
大きな傷を”精一杯”背負っていた、小さな子ども…。
正直、このテの真相も珍しくないかもしれませんが、本作の描写にはリアリティがあって、それが妙に説得力を持っていたように思います。
実際、場内でも泣いている人がいました。
「大きなサユリ」は特殊メイクで作り出していた!

4、2つの家族の対比を描いた物語

((C)2024「サユリ」製作委員会/
押切蓮介/幻冬舎コミックス)
愛を失った家族 vs 愛で結ばれた家族
本作の核心はやはり、「2つの家族の対比」にあります。
愛を掴むことができなかった“サユリ一家”と、愛によって立ち上がり、最終的に“打ち勝った”祖母と孫――。
サユリの家族は、父からの虐待、母の無関心という形で、完全に“崩壊”していました。その断絶がサユリの強い怨念となり、やがて新しい住人たちを襲う存在となってしまったのです。
一方で神木家は、次々と家族を失いながらも、祖母と孫の間に“絆”が生まれていく。
特にラスト、祖母が自らの命を賭けてサユリに向き合う場面には、これまで描かれてきた悲しみがすべて浄化されるような力がありました。
「家族とは何か?」「本当に守るべきものは?」という問いかけが、物語の中で静かに鳴り響いていたように思います。
コアなファン以外にも届く、白石ワールド
本作は『コワすぎ!シリーズ』のようなコアなファン向け作品とは違い、白石晃士監督の映画が初めてでも楽しめる、かなり“開かれたホラー”だと思いました。
ホラーにコメディ要素を求めていない私にとって、これまでの白石作品にはハマれない部分もあったのですが、今回は違いました(笑)。
家族愛や青春、そして“愛の描き方”がとても丁寧で、そこが楽しめた最大の理由です。
正直、“元気ハツラツ〜”のくだりさえなければ、家族みんなで観られるホラー映画としても成立していたかもしれません(笑)。
それくらい、残虐描写よりも“感情のうねり”に重点を置いた構成になっている印象です。
ホラーとしての怖さはもちろん、“乗り越える力”や“救い”までも描き切ったことで、ジャンルそのものを一歩進めたように感じます。
前半には重たくてしんどい描写もありますが、テンポよく進む展開や、時折差し込まれるユーモアも相まって、観ていてまったく飽きさせない。「Jホラーに、まだこんな可能性があったのか」と感動すら覚えました。
この作品をきっかけに、白石監督は今後さらに“Jホラーの未来”を切り開いていく存在になるかもしれませんね。
5、サユリを取り巻く”クセ強キャラ”

((C)2024「サユリ」製作委員会/
押切蓮介/幻冬舎コミックス)
本作を語る上で欠かせないのはやはり多彩なキャラクターたち。家族も皆いい人たちで、前半は彼らのホームドラマとしても楽しめました。
ある意味主人公だった、おばあちゃんを演じた根岸季衣さんのオン⇔オフの演技はとにかく素晴らしく、間違いなく彼女の代表作になりましたね。
昔からよく見る女優さんで、チャキチャキとしたおばちゃんのイメージだったんですが、いつの間にかこんなおばあさんの役も演じるようになったんだなぁと感慨深いものがありました。
そしてたくさんの家族の犠牲と引き換えに、神木家の新たなメンバーとして加わりそうな、則雄の同級生である”住田”。
青春ものにありがちな不自然な脚色をせず、等身大の中学生として描かれている2人に好感が持てました。
車椅子に乗るおばあちゃん、それを押す則雄、横には住田の3ショットって、こんなに微笑ましいエンディングのホラー映画見たことない!笑
覚醒後のおばあちゃんのファッションは、ミュージシャンのジャニス・ジョプリンという方をイメージしたんだそう。
想定外の怖さに驚き…長澤まさみ主演・2025年を代表するJホラー!
『サユリ』長女役の森田想出演。密かに話題のJホラー!
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