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当初劇場に行く予定はなかったのですが、巷での高評価に急きょ劇場へと足を運んだ本作。もう終わってしまったのかと思われていたJホラー界に再び勢いを与えることとなった、清水崇おかえりなさい的な1本!『あのコはだぁれ?』の前作にあたる作品。突然GENERATIONSの歌が歌詞付きで流れ始めたときは、カラオケが始まったのかと(・ω・)
実際に新聞広告として使われたものなんでしょうか…!?雰囲気があってめちゃくちゃ怖いです…笑
作品データ
【製作年度】2023年
【製作国】日本
【上映時間】102分
【監督】清水崇
【キャスト】GENERATIONS、早見あかり、マキタスポーツ ほか
【鑑賞方法】Amazonプライムビデオ、U-NEXT、Hulu など
(鑑賞時にご確認ください)
あらすじ
人気ラジオ番組のパーソナリティを務める「GENERATIONS」の小森隼は、ラジオ局の倉庫で「ミンナノウタ」と書かれた古いカセットテープを発見する。その後、小森は収録中に不気味なノイズと少女の声を聞き、行方不明となってしまう。(映画.comより)
年齢制限は?
年齢制限はないのでどなたでもご覧になれます。ただし『あのコはだぁれ?』同様、少しショッキングなシーンがあるので小学校低学年くらいのお子さんは怖がるかもしれません…。
レビュー ( 2023・08・30の記事に加筆 )
1、GENERATIONSだからと侮るなかれ
実在のアイドル(とか言ったらファンに怒られそうですが)が出演しているとタカをくくっていたら、これが全員演技が上手くて驚きました!
メンバーが本人役で出演しているのいうのも珍しいですが、本作に関してはこれが功を奏したように思います。
役を演じる俳優たちが次々襲われるよりも、実在するアイドルグループのメンバーが消えていく方がリアリティを感じました。特別彼らのファンではない私でも、しっかりとこの世界観に入り込むことが出来たのはやはりこの設定のおかげかと。私的には、唯一幽霊の存在が見えた中務裕太の不思議な雰囲気が良かったです。
探偵を演じるマキタスポーツがGENERATIONSを知らない層のために、間接的にメンバー紹介をしてくれる役どころを担っています。
今回、清水崇監督とGENERATIONSの間で、どういう経緯があって出演する運びになったのでしょう…?メンバーによると、映画の出演が決まった後にホラー映画であることと、監督が清水崇だということを聞いて驚いたようです(笑)。
ちなみに唯一、本作には出演していないメンバーの数原龍友さんは『歌をやりたいので演技はしない』というご本人の意向だそう。
2、原点回帰で正統派な王道ホラー
『あのコはだぁれ?』とほぼ同じ感想になってしまいますが、原点回帰と言われていたように、変に奇をてらわないこれぞ正統派王道ホラーで、とても好きなテイストでした。ホラー好きからしたら、まさにこういうのでいいんだよ笑!という。
行方不明になったGENERATIONSのメンバーの真相を突き止めるため、彼の行動や言動などを探っていくと、1本のカセットテープの持ち主である『高谷さな』という人物が関係していることが判明します。
『あのコはだぁれ?』ではすでに高谷さなという人物像がほぼ分かっているので、ホラー描写でかなり遊んでいる印象を受けました。
しかし本作ではまず、高谷さなという人物を紐解いていくところから始まるので、サスペンスミステリーの側面もある内容となっています。
前半のメンバー紹介のパートなどは、若干テンポが悪いと感じる人がいるかもしれません。
しかしミステリー好きの私からすると、前半の下積み描写も好きでしたし、ここで登場人物たちにしっかりと感情移入させたことは正解だったと思います。
また、まんべんなく恐怖演出が散りばめられている『あのコはだぁれ?』に対し、本作で怒涛の恐怖演出を見せるのは中盤以降。
特にラストの高谷さなの家で起こる出来事は、新たなJホラーの名シーンとして語られていくかもしれないほどの衝撃。笑
3、タイムスリップ風演出と伏線回収
登場人物たちの何気ない生理現象や行動の数々が、実は高谷さなのそれとリンクしているのも面白かったです。これらの現象が現れた時には、すでに彼女に呪われています。
自動販売機の下で、腕を傷だらけにしてノートを探す高谷さなの行動が、恐怖演出の伏線になっているのも不気味で良かったですね。
本シリーズ?名物である、高谷さなの家に入ると、彼女がまだ生きていた世界線へとタイムスリップしたかのような演出になるのも面白い。
ラストシーンでは、玄関の鏡を覗くと当時の光景が映し出されるようになっていました。
そして現在と過去の出来事が同時進行で起きているかのような見せ方がされ、高谷さなを助けようとすると、彼女の目から涙が流れているのが印象的でした。
かといって、彼女がこれで救われて成仏したということではなかったようですが…(・ω・)
玄関に入るとすぐ2階へと上がる階段がある、という間取りが『呪怨』と同じで妙に怖いんですよね…もう絶対にここから来るやんw みたいな。
4、とにかく多彩な恐怖演出の数々
最も恐ろしいのは、これら一連の出来事の元凶となっている高谷さなという人物はすでに亡くなっているにも関わらず、まるでこの世に存在しているかのような息吹を感じるということ。
あらゆる命あるものの『最期の音』をテープにしたためるのも十分狂っているのですが、何より『自分の最期の声』までをも録音するってのがヤバい(!)自分では聞けないのに…(;ω;)
メンバーやマネージャー、そして事件を追う探偵までもが彼女の呪いにかかり、さらには1人1人が遭遇する恐怖体験がバリエーション豊かで、皆違うのも飽きさせません。
個人的にはやっぱり中務裕太が体験する、どこまでも憑いてくるさなママの呪い。
ママが2階にいるさなに呼びかけるときに、一瞬間を置いて目を見開きながら話すのが、これまた気持ち悪くて最高(笑)。『…私の赤ちゃんどこやったのよぉぉおお!!』はマジで死ぬかと思いましたw
関口メンディーが遭遇する、としお君のダッシュ演出で、近づくとさなだったというのは『死霊館』シリーズで似たシーンを見たことはあったものの、さなの表情が怖すぎて本作に軍配がw
そして、本作の目玉であるラストシーンのさなの階段せり出し浮遊演出!じっくり、じっくり、じーっくりと近づいてくる、そのなんとも言えない動きと表情に、劇場で見たときは鳥肌が止まらず逆に無表情に…(・ω・)
5、役者たちの魅力
私の中での主役は、GENERATIONSというよりマキタスポーツだと思っています(笑)。
その辺にいるリアルな中年男性像がそのままって感じで、ただラーメン食べてるところでもいいからずっと見てたい。権田という苗字があまりにハマりすぎていて…めっちゃ権田顔ですよね(・ω・)
権田と高谷さなの担任教師を演じた女優さんも味があってすごく良かったです。若い頃も現在も両方良かったですし、彼女が歳を取ったらああなりそうだなというリアリティも感じられました。
そしてさなママを演じた山川真里果という女優さんのインパクトがこれまたスゴい!彼女のインタビューを見たら、腰が低くてめちゃくちゃ良い人でした。今後もホラー女優として出てきて欲しいですね。
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