【ヒックとドラゴン】”争わない勇気”を描く異色の感動アドベンチャー【ネタバレ】実写版

ヒックとドラゴン

傑作アニメ『ヒックとドラゴン』が実写アップデートされ帰ってきました!物語はほぼ同じなのに、トゥースのイヌネコ的な可愛さに再び悶絶…。魚の”おすそ分けリバース”でも涙。“争わない勇気”を描く和解のカタルシスは、現代にも通ずる深いテーマです。実写ならではの生命感と深みを、ネタバレありで徹底レビュー。

作品データ

【製作国】アメリカ
【製作年度】2025年
【上映時間】125分
【監督】ディーン・デュボア
【キャスト】メイソン・テムズ
ニコ・パーカー ほか

年齢制限は?

年齢制限はないので、どなたもご覧になれます。

どこで見れる?

実写版は9月5日(金)より、劇場公開中
(鑑賞時にご確認ください)

⬇︎アニメ版は3作品ともこちらで見れます。

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※配信・レンタル状況は 記事作成時 のものになります。鑑賞時にご確認ください。
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レビュー( 2025.09.08 )

1、実写版が描く“新たな生命感”

アニメ版とほぼ同じでも、感動する理由

『ヒックとドラゴン』シリーズは同名の児童文学作品であり「ひ弱な少年ヒックが、最強ドラゴンのトゥースと出会い、やがて人間とドラゴンをつなぐ存在になっていく」物語。

アニメ3部作はすでに世界中で大人気で、私も通しで3回は見ているほど大好きなシリーズです。

ただ、今回の実写版に関してはアニメとほぼストーリーが同じだと聞いていたので「そこまで新鮮さはないかも…?」なんて思っていました。

……が!実際にスクリーンに向き合った瞬間、そんな懸念は吹き飛びました。

知っている物語なのに…初めて観るようなワクワク感!平面のアニメが立体の世界に変わると、キャラクターやドラゴンたちの“命”の深みがさらに増し、もう1度心を掴まれるのです。

実際、ストーリーはアニメとほぼ同じでした。
実写版はアニメより30分ほど長いのですが、「どこが増えている」と一言で言えるような派手な追加シーンはありません。

むしろ、キャラクター同士のやりとりや、トゥースの仕草といった“ちょっとした間合い”の部分に時間が割かれていて、それが全体の厚みになっている印象。

アニメ版の監督自ら実写化した思い

しかもこの実写版、アニメ3部作と同じディーン・デュボア監督が自らメガホンを取っています。アニメ版の監督が映画実写化ってあまり聞かないですよね?

元々、デュブロア監督は、アニメ映画の実写化リメイクに対して懐疑的なスタンスを持っていたようです。

しかし、ユニバーサルから実写化の話が来たとき「リメイクで作品の魂が失われるのは嫌だ」と考えていたからこそ「他の誰でもなく自分がやらなきゃ」と立候補したんだそう。

そしてそれが見事に功を奏し、アニメの良さはそっくりそのまま、実写のアップデート化に成功しました。物語の先を知っていても、感情が揺さぶられる。それが実写化の持つ説得力なのだと思います。

2作目は日本で未公開。監督自らが署名も!

ヒックとドラゴン2

人気作であったのにも関わらず、アニメ版の2作目は日本で劇場未公開でした。

その理由について公式発表はないようですが、1作目の日本での成績が伸び悩んだことや、配給体制の移行などが推察されているようです。

ファンの間では「ぜひ劇場で観たい!」という声がSNSを中心に高まり、署名運動なども話題になりました。しかもなんと、デュブロア監督本人も署名&メッセージを投稿という異例の事態に。

2、トゥースのイヌネコ的な可愛さ

犬と猫の魅力を併せ持つ、最強の生き物

ヒックとドラゴン

正直、私は特別ドラゴンや恐竜映画が好きなわけではありません。どちらかというと、案件ではないです…苦笑。
ただ、そんな私でも夢中になってしまう”トゥース”という生き物の可愛さ。

トゥースは一見、“誰がどう見ても可愛い”タイプのビジュアルではありません。
怒れば歯をむき出しにして威嚇もするし、ふとした瞬間にちょいブサな表情を見せたりもする(・ω・)

しかし、たまに見せる猫のようなまんまるな瞳の開き方と、犬の「おすわり」みたいな従順さに射抜かれます。

…そう。今回気づいたんですが、トゥースって「犬も猫も入ってる」んですよね。

首をかしげる角度、耳(ひれ?)や尻尾に相当する部位の細かな動き、呼ばれた時に距離を詰める歩幅などは、私たちが日常で知っている犬猫のコミュニケーションそのもの。

…作品を見ていない方は何のことか分からないかもしれませんが『…キャッチした?』と聞いたときの、首を身体の下に折り込むようにして「ニパッ」と笑う表情は、もう白目モノ…。

表情がクルクル変わる感じが人間の子どもみたいで、すごく愛嬌があるんです!

愛情表現も独特…魚リバースの衝撃と涙

ヒックとドラゴン

本作でも象徴的なのが、ヒックとトゥースが初めて心を通わせるシーン。

最初は、ヒックがあげた魚をトゥースがすべて食べるのかと思いきや、口に入れてからリバースしてヒックに“おすそ分け”w

猫が獲物を持ち帰る習性や、犬が大切なものを差し出す忠誠心のような“贈り物の行動”。
一見、笑っちゃうんですが、直後には可愛いやら感動やらで、もう涙が…(;ω;)

トゥースの「生態としての自然さと、愛情表現が同時に立ち上がる」名シーンです。

”ナイトフューリー”としてのトゥース

そして忘れてはいけないのは、トゥースが”ナイトフューリー”という、恐れられてきたドラゴンだという事実。

畏怖の対象が、実はネコ的気まぐれとイヌ的忠誠を併せ持つ存在だったというギャップの快感が、可愛さを倍増させます▼・ω・▼

凛々しく飛ぶ一方で、合図ひとつでちょこんと座る。その両極を行き来する振れ幅が、トゥースの唯一無二の魅力でもあるのです。

ひとつ言うなら、個人的にはもっと「…これが、”あの”ナイトフューリーだったのか!!」くらいの演出があっても良かった気もしますが、そこはわりとサラッといきます笑。


ここから先はネタバレします。
アニメ版の3作品はどちらでも視聴できます◎

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3、ヒックの優しさがもたらす革命

島の常識を覆した“ドラゴンとの共存”の発想

ヒックはこれまで、ひ弱とバカにされてきましたが、彼の凄さは腕っぷしの強さでなく“これまでの島民たちの概念をひっくり返す発想力”にありました。

島の人たちにとってドラゴンは「敵=退治するもの」という揺るぎない常識だった。

特に、ヒックの父親であるバイキングのリーダー”ストイック”。
ストイックとは名ばかりの?まさに“武力パパ”。妻(ヒックの母親)をドラゴンに殺されたので当然といえば当然かもしれませんが、力で解決してこそバイキングというガチガチの価値観の塊。

そんななか、真逆の“知性ヒック”が現れ「本当にドラゴンは敵なのか?」と問い直したのです。

実際、ドラゴンが襲ってくるのは生き残るための応戦にすぎなかった。そこに気づいた瞬間、ヒックはただの「弱い少年」から「島の未来を変える大きな存在」へと変わっていきます。

ヒックの優しさは”革命”そのもの

この発想、実はすごく人間的でリアルです。

私たちも日常で「これは敵」と決めつけてしまえば、それ以上理解しようとしなくなる…。けれど、相手の事情にまで目を向けることが出来れば、対立が“共存”に変わる可能性がある

ヒックは、それを子どものまっすぐな感性で体現してくれたのだと思います。だからこそ彼の優しさは、ただの性格の良さではなく、“革命”そのものだったのではないでしょうか。

トゥースとの出会いが示す“似た者同士”の絆

ヒックが島の常識を覆す“革命”を起こせたのは、トゥースとの出会いがあったからこそ。

ヒックは「人間を襲わないドラゴンもいる」と知り、同時にトゥースも「ドラゴンを襲わない人間もいる」ことを知りますー。

それはお互い(の種族)にとって、初めての発見。

周囲からは「弱い少年」「恐怖のナイトフューリー」と決めつけられていた2人ですが、実際にはどちらも“はみ出し者”であり、似た者同士。だからこそ心が通じ合い、島を変えるほどの奇跡が生まれたのだと思います。

そしてこの出会いは、”単なる友情”に留まりません。人とドラゴンという種族を越えた関係でありながら、「理解してくれる存在が1人いるだけで、世界の見え方は変わる」という普遍的なメッセージが込められています。

4、仲間と家族に認められる瞬間

アスティが見抜いたヒックの才能と信念

ドラゴン退治に失敗ばかりで「頼りない少年」と見られていたヒック。そんな彼の才能をいち早く見抜いたのは、少女”アスティ”でした。

ヒックがトゥースと過ごすうちに、ドラゴンの弱点や習性を冷静に観察し、無理にねじ伏せることなく共存の道を探している姿を知ったのです。

ドラゴンの巣を発見した彼らは、父親にすぐに報告すべき状況なのに、ヒックは「今伝えたらトゥースが殺されてしまう」とアスティに強く訴えました。

ここでアスティは、単なる思いつきや気まぐれではなく、ヒックの中に確かな信念があることを理解します。

自分の恐れよりも、相手の命を優先する――その選択に心を動かされたからこそ、アスティはヒックの側に立つ決意をしたのだと。

この関係性はとても象徴的です。大人たちが頑なに拒んでいた価値観を、最初に認めたのは同世代の仲間だった。しかもアスティは、ヒックがドラゴンたちを意のままに操ることに猜疑心さえ抱いていた人物。

また2人の恋愛を予感させる展開も、観客にとっても爽やかな共感を呼ぶ瞬間です。

父をも納得させたドラゴンライドの説得力

ヒックとドラゴン

ヒックがドラゴンに乗って現れる、本作屈指のカタルシスである名シーン。

大空を切り裂くスピード感、風を受けて自由に舞う解放感――観客も一緒に空を飛んでいるような、物理的な爽快!

…それだけでも十分に心を揺さぶるのに、もう一段上の気持ちよさが重なるんです。

それは、頑固な大人たちの目の前で「ほら、ドラゴンは敵じゃない」と一瞬にして証明してみせるという、精神的なドヤ感…笑。

これまで弱虫と笑われ、相手にされていなかった少年が、ドラゴンと心を通わせて颯爽と登場する。まさに“鼻を明かしてやった”瞬間で、観ている側もめちゃくちゃスカッとします。

父親にとっては、力だけが正義という世界観を崩される衝撃でしたが、それでも目の前の光景には抗えません。

ヒックの勇気と信念が現実になった瞬間、父は息子を「誇りに思う」と認めざるを得なかった。

飛翔の爽快感と、価値観をひっくり返す説得力。この2つが合わさった時、物語はクライマックスへと一気に加速していきます。

5、ヒックとトゥースの“代償と絆”

このテのアニメでは見たことのないラスト

ラストで1番衝撃だったのは、ヒックがまさかの片足を失ってしまう展開。

普通ならハッピーエンドで収めるタイプのアニメで、こんな代償を描くのは意外でかなり驚きました…。

でもこれは単なるショック演出でなく、“勝利には代償がある”というリアルさを物語に刻みつけるためだったのだと思います。

そして傷を背負ったヒックを、今度はトゥースが支えるという…(;ω;)

だからこそ、究極のパートナーシップへと

トゥースも翼を欠いていて、自力では飛べなくなったー。
ヒックの義足と、トゥースの補助具。2人そろって“不完全コンビ”になったわけです。

でも不完全だからこそ「お互いがいなければ前に進めない」という究極のパートナーシップを、身体ごと象徴しているんですよね。

ラストに驚かされつつ、同時に“これでこそ2人の物語だ”と納得させられる。

悲劇で終わらせずに、“ちょっとビターなハッピーエンド”へ変えてみせたのは、記憶に残すための監督の狙いだったのだと思います。

6、”争わない勇気”が描く幸せな世界

ヒックの柔軟な精神が現代にも響くメッセージ

力を誇示することが正義とされてきた社会の中で、弱く見えていたヒックが実は最も強かった――その逆転こそが、この物語の核心

そしてこの柔軟な精神は、現代を生きる私たちにもまっすぐ届くメッセージです。異なる文化や価値観を持つ人々がぶつかり合う世界で、武力や排除ではなく「理解しようとする勇気」を持てるかどうか。

ヒックはそれをドラゴンとの関係で体現してみせました。
争わずに共に生きることこそが、本当の意味での強さなのだと。

ヒックの柔らかさはおとぎ話の理想ではなく、現実に必要な知恵として観客の心に刻まれる。そこに本作が“幸せな物語”で終わりながらも、単なる娯楽以上の余韻を残す理由があるのだと思います。

悪役不在で描かれる“争いなきハッピーエンド”

『ヒックとドラゴン』の特異さは、最後まで“悪役らしい悪役”が登場しないところにあります。

多くの物語では、倒すべき敵や憎まれる存在が用意されますが、この作品ではそれすら不要でした。

ドラゴンたちは人間を憎んでいたのではなく、生き延びるために戦っていただけ。つまり、最初から「共存の余地」があったのです。

だからこそラストは、敵を打ち倒すカタルシスではなく、「争いをやめて共に暮らす道を選ぶ“和解のカタルシス”」で幕を閉じます。

悪役を排除することで得られる勝利よりも、相手を理解することで得られる幸せの方がずっと大きい。そのシンプルだけれど力強いメッセージが、観客に心地よい余韻を残してくれるのです。

とは言え、実写版も3部作として続いていく予定で、次作以降はアニメ2作目のように“強大な敵役”が登場することが予想されます。

だからこそ、この1作目の「悪役不在のハッピーエンド」はシリーズ全体の中でもとても特別で、際立っていると感じました。

実写版・2作目は2026年公開予定!

ディーン・デュボア監督。
ヒックパパっぽい?笑

そんな実写版の2作目は、2026年の6月に全米公開が決定しているそう!

♦︎ 実写版『ヒックとドラゴン2』制作決定!2027年6月全米公開

3作目についての公式発表はまだないようですが、おそらくあると思って?よいでしょう!

実写の1作目は時間の都合でIMAXで観れかったので、2・3作目は必ずIMAXで観ようと思います(;ω;)

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