
なんとも切ない雪の降る理由を描いたラブファンタジーの名作。“手がハサミの人造人間”という奇抜な設定でありながら、とことん切ない恋の物語。おとぎ話のように見えて、実は人の残酷さや“違い”への無理解が深く突き刺さる1本でもあります。バートン&デップの初タッグにして、最大のヒット作かと(小声)。SNSでは「キムはクズ」とも言われる彼女の行動や、雪が降る本当の理由。さらに「博士の死因」や「彼の手がハサミの理由」 を徹底深掘り!
作品データ
【製作年度】1990年
【製作国】アメリカ
【上映時間】98分
【監督】ティム・バートン
【キャスト】ジョニー・デップ
ウィノナ・ライダー ほか
あらすじ
丘の上の屋敷に住む発明家に作られた、人造人間のエドワード。未完成のまま主人に先立たれたエドワードは、ハサミの手を持っていた。セールスでやってきたペグに連れられ、町に出ることになったエドワードだが…(映画.comより)
年齢制限は?
今回初めて知ったのですが、なんと本作PG12指定でした。どうやら未成年の飲酒の描写が引っかかるようです。12歳以下のお子さんが見る場合は、保護者同伴が望ましいとされます。
どこで見れる?
見放題 | 課金 | |
---|---|---|
Amazon プライム | ー | ● |
U-NEXT | ー | ー |
Netflix | ー | ー |
hulu | ー | ー |
Disney+ | ● | ー |
ゲオ宅配 レンタル | ー | ● |
レビュー ( 2015・04・07の記事に加筆 )
1、現代劇×ファンタジーの完成度!

(スターチャンネルより)
手がハサミで出来ている人造人間『エドワード』を迎える、家族のヒューマンコメディでありながら、家族の一員である少女との恋模様を描いたラブストーリー。
おおよそホラーでしか聞いたことのなかった人造人間というモチーフを、こんなにも面白おかしく愛らしいキャラクターに仕立てたのはさすがのティム・バートン。この発想がもはやスゴいです。
現代劇にファンタジー要素をこれだけ巧いこと融合させた作品って、未だにないのではないでしょうか…。
たった1人で大きな城で暮らしていたエドワードが、母親ペグに連れられて家族の一員になる過程はとても微笑ましいです。初めて外の世界を知ったエドワードはとてもピュアで、まるで少年のような心を持っているんですよね。
本作で重要な役割を果たしているダニー・エルフマンの音楽がイメージぴったりで、オープニングからテンションが上がります。
実在の街が舞台って知ってた?

(5PMより)
エドワードのお城の庭やキム一家が暮らす町はポップでとても可愛らしいのに、現実感も残した絶妙なバランスは見事。
舞台になっている街はフロリダ州にある実在の街で、実際に建っている家を許可を得てペイントして撮影したんだそう!ティム・バートン監督の強いこだわりを感じますね。
劇中キム一家が住んでいた家は『シザーランド』と名付けられ、2021年にミュージアムとして開館したんだとか(入場は無料ですが、事前予約が必要)。
♦︎エドワード・シザーハンドの家がミュージアムに/
2、とにかく温かい!風変わりな夫婦
住人が誰ひとり近づかないお城に化粧品の営業にやって来たペグは、異様な様相のエドワードを見て最初は驚きます。
しかし2言目には『…まぁ、それがあなたの手なの?ご両親は?1人なの?可哀想に…』とすぐに状況を受け入れます。ペグもエドワードと同様、とても純粋な心の持ち主なんですよね。
また、キャラクターは濃くないのですがサラッと当たり前のことが出来るペグの夫もとても良い人です。いきなりあんな見ず知らずの不審な人物を連れてこようとも反対しないのは笑、この妻にこの夫ありということなのでしょう。
近所からは変わり者として映っているペグ夫婦ですが、モノの本質が分かっているのは彼らのほうなんですよね。
そして彼らは、エドワードを家に置いていることに関してもおそらく、良いことをしてあげているという意識はなさそうです。
※ここから先はネタバレありで語ります。
未見の方はこちらからすぐに視聴できます◎
記事の最後にまとめてあります
3、キムはなぜ“クズ”に?理由を検証!

(The Hollywood Reporterより)
ネットで『シザーハンズ』と検索すると『キム クズ』という検索候補が出てくるのをご存知でしょうか笑?
劇中、キムの彼氏にそそのかされて空き巣に入るキムとエドワードたちですが、エドワードだけを現場に残してキムたちは罪を逃れるのです。
一応キムは彼氏に『エドワードの元に戻って!』とは言うのですが、警察には真実を言わないまま。そこが引っかかる方が多いようです。私も今回見返してみて、なるほどなぁと思いました笑。
ただ、エドワードのほうはキムに対してほぼ一目惚れだったと思われますが、キムは空き巣に入る時点ではエドワードに恋愛感情はありません。しかしこの一件により
- エドワードがキムたちのことを警察に話さなかったこと
- 空き巣に入ったのがキムの彼氏の自宅だと知っていたこと
- それでも仲間に加わった理由は『キムに頼まれたから』
だということを知ります。
ここで胸を打たれ、キムの感情が大きく動くのです。なのでここでキムがクズキャラになっているのは、キムの気持ちを動かすために必要な設定だったのではと思います笑。
普通の人なら『私はこんなにヒドいことをしてしまったのに…!』ってなりますものね。
そしてこの一件により、キムと彼氏の破局も決定的なものになります。
4、“美女と野獣”?切ない恋の結末

((C)Disney)
そうして想いが通じ合うエドワードとキムですが、エドワードの一件は誤解ながらも、やはりこの町で彼が暮らすのは難しいということになります。
キムとのことは残念ですが、キムに『…愛してる』と言われた時のエドワードの表情がこれまた、なんとも言えず。
一瞬驚きますが、その後に目を閉じて『もう、これが聞けたから十分…』と思っているようにも。
しかし、美女、悪者、城で悪者と対決、というと『美女と野獣』を連想させます。エドワードも、姿形は人間に近いですが不完全です。
『美女と野獣』がハッピーエンドだったのに対し、本作ではエドワードとキム2人だけの思い出として取っておくという、結ばれないけれど美しい形で幕を閉じます。
それまで雪が降らなかった町では、彼が来てから雪が降るようになったという事実が、エドワードが元気に暮らしているという『便り』となり、キムは以来、彼と2度と会うことはないのです。
5、博士の死因は?なぜ手がハサミ…?
エドワードといえば“手がハサミ”というインパクト大なビジュアルですが、そもそも、なぜ人間の手ではなくハサミだったのか――そして、なぜそのまま完成しなかったのか?
これについて作中ではっきり語られることはありません。ただ、物語を追っていくと、いくつかのヒントが見えてきます。
①博士の死因と“未完成”の意味
人間の手をエドワードに取り付けようとしたその瞬間、博士は突然倒れてしまいます。
明確な死因は描かれていませんが、年齢や演出から見て心臓発作や老衰のような描写と考えられます。
あの瞬間、彼は完成直前で置き去りにされた存在になったわけで、ハサミの手は「まだ途中」「仮の姿」=不完全な象徴として描かれています。
何より重要なのは、“あと少し”で人間になれたはずのエドワードが、そのチャンスを永遠に失ったということ。
博士の死は、ただの肉体的な別れではなく、エドワードの“人間になる夢”が絶たれる瞬間だったのです。
② 優しいのに、傷つけてしまう存在
ハサミの手にはもうひとつの意味も。
それは、優しさと危うさが共存してしまう存在であるということ。
本人に悪気はないのに、触れるたびに誰かを傷つけてしまう――キムを抱きしめたいのに、抱きしめられない…。
エドワードの“悲しい宿命”を、物理的な形で表現しているように思えてなりません。
③ バートンが描く“見た目で語る悲しみ”
そしてやっぱりティム・バートン。見た目から逆算して物語を作るタイプの人ですよね(いい意味でw)。
黒ずくめの服に逆立った髪、白い肌、そしてハサミの手…。どうやったらこんなビジュアルを思いつくのでしょう(・ω・)
一見すると不気味なのに、どこか物哀しい…。
この見た目だけで「この人、きっと傷ついてきたんだろうな」と思わせるエドワードのデザインは、バートン作品の中でも群を抜いて切ないです。
正直、博士の部屋にやたらハサミがあったのは「近くにあったから」説も否定できませんが(笑)。でも、そこに込められた意味を読み取ってみると、ハサミの手=悲しき存在そのものに見えてくるのです。
6、エドワード役にオファーされた俳優

ゲイリーはイケそうw
トム・クルーズ
実はエドワード役に、あのトム・クルーズが候補として挙がっていたのはご存知でしょうか?私も初めて知ったときは驚きました!
『彼が要求したハッピーエンドをティム・バートンが却下したため降板した(wikiより)』だそう。
ハッピーエンドだったら、本作の持つ切なさや儚さはなくなってしまい、だいぶカラーが変わりそうです。逆にトムのエドワードも見てみたかったけどw ヘンに几帳面で説教とかする人造人間に
ゲイリー・オールドマン
さらに今年、ゲイリー・オールドマンもこんな告白をしていました!
♦︎ ゲイリー・オールドマン、「シザーハンズ」を断っていたと告白(映画.comより)
まさかのゲイリー・オールドマンにもオファーがされていたんですね!
しかも彼のコメントが『脚本にピンとこなかったからだ。丘の上に城があって男は手がハサミで、エイボン化粧品の女性がいてって……意味がわからなかった』って、吹きましたw
文章だけを読んだらそうなりますよね。完成された作品を見てコンセプトを理解したらしいですが、やはりティム・バートン監督は、当時から斬新なアイディアを持っていたことが窺えます。
でも画像を見ると、ゲイリー・オールドマンはかなりエドワードにハマりそうじゃないです…!?そもそも、彼のここまで若い頃を知らなかったw
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