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アカデミー賞で脚本賞を受賞、その他数々のタイトルを受賞した本作。法廷劇ながらもミステリーには焦点を当てていないということだったので正直見たい度は下がったものの(笑)アカデミー賞に備えて見ておこうと劇場へ行ったら、想像よりも全然面白かったです(・ω・)
作品データ
【製作年度】2023年
【製作国】フランス
【上映時間】152分
【監督】ジュスティーヌ・トリエ
【キャスト】ザンドラ・ヒュラー、スワン・アルロー ほか
【鑑賞方法】Amazonプライムビデオ、U-NEXT など
(鑑賞時にご確認ください)
あらすじ
視覚障がいをもつ少年以外は誰も居合わせていなかった雪山の山荘で起きた転落事故を引き金に、死亡した夫と夫殺しの疑惑をかけられた妻のあいだの秘密や嘘が暴かれていき、登場人物の数だけ真実が表れていく様を描く。(映画.comより)
年齢制限は?
年齢制限はないので、どなたでもご覧になれます。
レビュー ( 2024・02・27 )
1、最近多い『じゃないほう映画』
家の窓から落ちて亡くなった夫は、自殺か、他殺か、はたまた事故なのか-。
山の上の一軒家なので目撃者はなく、在宅していたのは妻と、視力に障害を持つ息子。
あらゆる検証をするが、死因を含め、決定的なことが分からない。分かっているのは、妻は犯行を否定している、ただそれだけ。
物語は、裁判で明かされる夫婦の回想、息子の回想、周囲の人物の証言が主に描かれます。
なんといってもフランス映画ですし、私は事前にミステリーではないと知っていたのでアレですが、白黒つくタイプだと思っていた方は楽しめなかった方もいるようで…。
実際に監督はインタビューで『この作品はスリラー映画のような体裁をとっていますが、実はこのカップルがこれからどうやって一緒に暮らしていくのか?と問いかける作品です(映画.comより)』と言っています。
『じゃないほう映画』について思うこと
最近って『ある事件』を題材にはしていてもそれを直球で描くのではなく、外堀から徐々に攻めていって、結局ほぼ触れないんかい!みたいな『じゃないほう映画』が多くないです笑?
それこそ本作のようなヨーロッパ映画や意識高い系、アート映画に多い印象ですが、これがまた巷では評判が良かったりするので厄介…あ、こっち?となることもあります(・ω・)
2、ザンドラ・ヒュラーはあざとい…笑
夫が亡くなる前日に録音された激しい夫婦喧嘩の内容は、正直かなり怪しかったです…。
バイセクシャルである妻は過去に女性と浮気をしており、夫の小説の盗作疑惑もあったりと、不信感はモリモリ…。
そして狙ってなのかなんなのか、妻役のザンドラ・ヒュラーがこれまたいい感じの悪人顔というのも不信感に輪をかけてしまうんですよね(・ω・)レニー・ゼルウィガーとジェラール・ドパルデュー(男性ですよ)を足して2で割ったような…。
この女性に、イケメンである夫とこれまたイケメンな弁護士(兼友人)の2人が惹かれるって、どう考えても(やめろ)。
とは言え、いわゆる美人女優には出せない独特の空気感と存在感がある、唯一無二なタイプ。現に本作でも主演女優賞にノミネートされました。
今年のアカデミー受賞作・2作品に出演したザンドラ・ヒュラー
こちらも2024年に話題となった『関心領域』でも主要な役どころを演じた彼女。何を考えているのか表情に出ない掴みどころのなさが、物語に恐ろしさと深みを出していました。
3、息子が主人公でも良かった?
妻が夫を殺害したのか…ということが物語の争点でもあるのですが、妻が殺害していたとしても物語的にはあまり意外性がないんですよね。なので私は、真実に関してはそこまで注目していませんでした。
それよりも、彼女と息子の関係性や、息子が感じていた心の繊細な描き方から目が離せなかったです。これならば逆に、息子目線での物語でも面白くなったような気もします。
結局、裁判の判決は無罪であったが、真相は分からない…。
あくまで、裁判の判決よりもこの事件により明るみになった夫婦の関係性と、それに対する息子の思いを描いた作品なんですよね。息子にあんなテープ聞かせないで…とは思いましたが(;ω;)
しかし先日見た裁判映画でも思ったのですが、裁判というのは被告の冤罪を防ぐということが最も重要なのだと改めて思い知らされました。
無罪であるという証拠もないが、有罪である証拠もない…となると有罪にはできない。結論はただただこれに尽きるのかと。
白黒つかない物語が苦手な人は楽しめないかもしれませんが、ドラマとしては重厚でとても見応えがありました。
周囲の人物の様々な証言や、過去を遡って真実が明るみになっていく骨太なプロットなどは、イランの巨匠アスガー・ファルハディっぽいとも思いました。
4、最も驚いた飼い犬のシーン
本作を見た方は驚いた方も多いかと思うのですが、なんと言っても『飼い犬のスヌープ』です。
鑑賞後、真っ先に調べたのが犬のことでした。実際ネットでは『落下の解剖学』に続き『犬 無事』という検索ワードもw
まさかCGじゃないだろうし、一体あんなシーンをどうやって撮ったのだろう!?と不思議でしかたなかったんですよね。
どうやら、死んだふりが出来る俳優犬を探していたところ、メッシ(スヌープ)に白羽の矢が立ち、2ヶ月かけてあの演技を習得したんだそう!
いや、その前に言葉の通じない相手に一体どうやって教えたのかがめちゃくちゃ気になるんですがw
もちろんその名演技でパルム・ドッグ賞を受賞▼・ω・▼アカデミー賞にも出席していて、とても可愛かったです!
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