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公開時からとても評判が良く、気になっていた本作。少しセンシティブな題材なだけにしんどい話なのかと思いきや、想像よりもサラッとしていてとても見やすかったです。ゆるーく、ほっこり、なんだかいいなぁ…が続く、噂に違わぬ良作でした。
作品データ
【製作年度】2024年
【製作国】日本
【上映時間】119分
【監督】三宅唱
【キャスト】松村北斗、上白石萌音 ほか
【鑑賞方法】Netflix、Amazonプライム、U-NEXT など
(鑑賞時にご確認ください)
あらすじ
PMS(月経前症候群)のせいで月に1度イライラを抑えられなくなる藤沢さんは、会社の同僚・山添くんのある行動がきっかけで怒りを爆発させてしまう。転職してきたばかりなのにやる気がなさそうに見える山添くんだったが、そんな彼もまた、パニック障害を抱え生きがいも気力も失っていた。(映画.comより)
年齢制限は?
年齢制限はないので、どなたもご覧になれます。
レビュー ( 2024・08・19 )
1、初めて耳にした『PMS』という病
月経前にだけイライラしてしまう『PMS(月経前症候群)』という病を扱った、現代らしい題材の作品。正直本作を見るまでは、同じ女性でもPMSというのを聞いたことがなかったのでかなり興味がありました。しかし今って本当、色んな症状に病名がついていたりするんですね…。
見始めてしばらくするも、藤沢(上白石萌音)のイライラに、見ているこちらもイライラ笑。普通に『イライラしているわがままな人』と症状の区別がつかないため、何ともややこしく、誤解を招きやすい病なのです…。しかし見る前からこれは私も想定内でしたし、これは病気なんだから…と自分に言い聞かせながら見進めていくと。
同じ職場で働く山添(松村北斗)がパニック障害を抱えていることに、藤沢が気づき始めます。そのあたりから物語に動きが出てきて、面白くなってきます。
2、恋愛映画にしなかったのが良かった
山添がプライベートではなかなか外出できないことから、藤沢が山添の自宅で髪を切ってあげるシーンは見どころの1つ。普通は、異性の髪を切るなんてよほどの関係でないとありえないことなのですが『そういうの』を意識させない関係性が、心地良いんです。本作を恋愛映画にしなかったことが、ヒットの要因の1つになったと思います。
あくまで、メンタル的な疾患を抱える者同士が、お互いのために『出来ることをやる』だけのこと。でも現実は、それがなかなか出来なかったりもするんですけどね…。
また最初は尖っていた山添が、藤沢に気をかけてもらえたことを機に自身に余裕が生まれ、職場の仲間たちに差し入れをするシーンは完全に彼女の良い影響…。やはり、人に優しくされると自分も同じことをしてあげたいって、人間の真理ですよね。山添にみるみる変化が生まれていきます。
3、出てくるのは良い人たちばかり
職場の人たちがとても温かく、良い距離感で藤沢と山添のことを見守ってくれています。職場の人というより、家族に近い温度感…。職場の話だけのスピンオフがあっても良いくらいです笑
また山添の以前の職場の女性が、たびたび彼のことを心配して家を訪ねてくるのですが、てっきり藤沢に嫉妬するフラグなのかと思ったら『職場にあなたのような人がいて良かった…』って、ただの良い人じゃありませんか…(;ω;)山添は周りの人には恵まれましたね。
4、夜中に、1人でボーっと見たい作品
そして、転職を機に実家の近くに引っ越すこととなった藤沢と、あれほど辞めたがっていた職場に残る選択をした山添。おそらく、2度と会うことはないかもしれない2人ですが、そんなエモさを感じさせないのもサラッとしていて良いところ。彼らに約束など必要なさそうです…笑
特別何か大きな出来事が起きるわけではないのに、気づけば119分があっという間。うん、映画ってこういうのでいいんだよね…こういう気持ちになることが大切なんだと改めて気づかせてくれる。様々なマイノリティで溢れかえっている現代に、刺さる人がとても多そうな心地の良い作品でした。
松村北斗の上手さに驚いた…
今回、山添を演じた松村北斗の演技には驚きました。イケメンを上手い具合に隠し?『ちょっとズレた人』というのを、あまりにも自然に演じていました…。『すずめの戸締まり』での声優の上手さにも驚いたのですが、また新たな才能を発揮しましたね。
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