※本サイトのリンクには広告が含まれる場合があります

映画【正体】ハートウォーミング逃亡劇とイケメンハラスメント【ネタバレ】

正体

『正体』というタイトルから緻密なミステリー劇なのかと思いきや、ミステリー要素はほぼないです。とにもかくにも、子犬のようなピュアさを持つ鏑木かぶらぎの人柄につきます。そして『5人』もの違ったキャラクターを味わえる、おなかいっぱいな横浜流星のイケメンハラスメント。作品全体としては、良いところとツッコミどころ、相容れない2つの感情が行き来する情緒が忙しい作品でもありました…。

作品データ

【製作年度】2024年
【製作国】日本
【上映時間】120分
【監督】藤井道人
【キャスト】横浜流星、吉岡里帆、山田孝之 ほか
【鑑賞方法】Netflix
(鑑賞時にご確認ください)

あらすじ

日本中を震撼させた凶悪な殺人事件を起こして逮捕され、死刑判決を受けた鏑木かぶらぎ慶一が脱走した。さまざまな場所で潜伏生活を送り、姿や顔を変えながら、間一髪の逃走を繰り返す鏑木。やがて彼が必死に逃亡を続ける真の目的が明らかになり……。(映画.comより)

年齢制限は?

PG12指定なので、12歳以下の方は保護者同伴が望ましいとされます。

レビュー ( 2025・02・01 )

1、概ね楽しめましたが…

正体
この逃亡シーンの躍動感がすごいです
(C)2024 映画「正体」製作委員会

藤井道人監督作品はこれまでに4作品ほど見ていて、どれも好きなテイストなのですが、なかでも『ヤクザと家族 The Family』『余命10年』に関しては、その年のトップ3に入るほど大好きな作品。

本作『正体』も公開時からとんでもない評判の良さに、もちろん気にはなっていました。ただ、この内容で商業映画ということで何かを察知し?配信まで待ち、このたびNetflixで鑑賞。

…楽しめたは楽しめたのですが…本作に関してはやはり巷の評判ほどではなかった(・ω・)笑

ただし泣くポイントもしっかりあって、ティッシュ5枚分ほどは泣いたのですが(まぁまぁだろ)ツッコミどころもあるというなかなか複雑な作品でした…。

凶悪殺人事件で死刑判決を受けた鏑木かぶらぎ慶一が、逃走。まるで実際に日本で起きた某逃亡者のように、顔を変え、ひっそり(だったり、わりと堂々と)働きながら各地を転々とするー。

予告から見る本作のイメージ

予告では『5つの顔に隠された真相とは。その真相に涙するー』という触れ込み。また『やらなきゃいけないことがある』と言っている主人公。

この予告から、主人公が冤罪であり、事件の真相を探ろうとしていることも分かります。またその真相は、おそらくとても理不尽で同情を買いそうなことも…。

私は、内容が内容なだけに、それはもうえげつないほどの真実と、しんどい描写が待っていると思っていたんですよね…。

このテの逃亡者ものは結構ある

それこそハリウッド映画では、ハリソン・フォード主演の『逃亡者』。また、濡れ衣を着せられた主人公が事件を暴き犯人に復讐するというと、韓国映画・韓国ドラマにかなり多い印象。ただ『正体』では、事件の真相は主人公が分かっている状態なので、ミステリー要素はなし。

2、ハートウォーミング逃亡劇

正体
(C)2024 映画「正体」製作委員会

しかしいざ見てみると、初めての就職、初めての恋愛、友達作りなどを経験し、さまざまな人たちと交流を深めていくハートウォーミング逃亡劇といった感じ(・ω・)いや、これはこれで悪いとは言いません(後述します)。

ただ私は、『正体』というタイトルからも、鏑木自身がもっとミステリアスなキャラクター像なのだと思っていました。しかし想像以上のものは特になく『良い人そう』→『実際もとても良い人だった』と、それ以上も以下もなくw

『5つの顔に隠された真相』というのも気になっていたのですが、これに関してはただ5か所で横浜流星のイケメン五変化ごへんげが拝めるというもので、直接的にこれが真相と何か結びつくようなことはありませんでした。

横浜流星のイケメンが過ぎる

冒頭こそ汚らしい風貌だったものの、そこからは『ロング茶髪の脱力系男子』→『黒髪+知的メガネの清潔男子』→逮捕後は逮捕後で『彼らしさを活かした最上級の爽やかイケメン』と、これでもかというほどのイケメンハラスメント。彼のファンは間違いなく、今後こすり倒す作品となるでしょう(・ω・)

3、ミステリー要素はほぼない

正体
(C)2024 映画「正体」製作委員会

私が本作に何を最も期待していたのかというと、ミステリー要素だったのです…。緻密なミステリー劇を想像していたら、ほぼ彼の成長記だったのですね…。

事件の真相

たまたま鏑木の冤罪事件の『模倣事件』とも思える殺人事件が起きる。しかし捕まった犯人は『…模倣じゃ、ありませんよ』と高笑い。…え、と思ったらコイツがまさに事件の真犯人だったのです。

え、真犯人は鏑木が追い詰めるんじゃないの…??こんな、棚からぼたもち的に真犯人が見つかるの!?

…この時点で、事件に関するミステリー要素がないことが分かると、徐々に私のゲージは減り始めました…(・ω・)

やらなきゃいけない事

では、鏑木が言っていた『やらなきゃいけないこと』とは??

事件の唯一の目撃者に真実を話してもらい、自身の冤罪を晴らすことだったのです。なぜそれが出来なかったのかというと、目撃者は事件のPTSDにより記憶がなかったから。

…ほぉ、そう言うことだったのか…でも、ここまで来て、それはちょっと弱くね(・ω・)?

で、記憶のない目撃者に思い出してもらう方法はというと、ひたすら『…お願いです、思い出してください(涙)!!』と涙ながらに何度も訴えるという、極めてアナログな方法…(えええ)

なぜ彼が事件現場に居合わせたのか

こちらも気になっていた、一体なぜ彼が殺人事件現場に居合わせたのかー。

たまたま下校途中に悲鳴が聞こえたから、事件現場の家をのぞいただけって…え?…被害者とはなんの関係もなかったの…!?

いや〜、ただの通りすがりって、この真相には激萎えしましたね…(;ω;)居合わせた理由を100個考えたとして最もひどいやついくらなんでも、他にも〜う少し!マシな理由があっただろうと…。

しかも、ドアが開いていたとはいえ悲鳴があった家に上がり込み、床には大量の血痕があるというのに警察を呼ばずに、まだ奥へと…。

さらに驚愕なのは、被害者の背中に刺さったカマを抜いてあげるとか…ねーよ!絶対ねーよw!!!

そして抜いたことにより返り血を浴び、カマを手にしているところへ警察が到着って、不運とか災難ではなく、ここはもはやコントかと思いました…。

4、ならば私がどこで泣いたのか…

正体
(C)2024 映画「正体」製作委員会

ここまでの時点でかなりボロカス言ってますがw これらを差し引いてもティッシュ5枚分は泣いたし、概ねは楽しめたので(?)決して悪い作品だとは思いません。

と言うのも、物語の前半、建設現場で徐々に心を通わせる”ジャンプ”や、吉岡里帆演じる安藤とのシーンは良かったからです。安藤は、鏑木がフリーでライターをしていた時の担当編集者。

なので私の本作の評価は、ほぼ前半部分です。特に安藤との居酒屋のシーンがクライマックスでした。

鏑木が『…こんなに美味しいものを生まれて初めて食べたので…』と焼き鳥をむさぼり。ネカフェに寝泊まりする鏑木の事情を詮索せず『…那須くん(鏑木)のこと、私は信じます』と安藤。

すると、涙を流し『信じるって言われたことが嬉しくて…ありがとうございます…』と鏑木。

なんだなんだ新人類か?とあまりにピュアすぎて、もはや子犬を見るみたいな目で見てました。ビジュアル的にも、このパートの横浜流星は中性的でとても美しいです。

正体
(C)2024 映画「正体」製作委員会

ここでこんなに泣いてたら、いやもうこれ、ラストは大号泣するやつだと確信(ここがピークとは思いもよらず)

それでもここはおかしい

付き合っておらず、ましてやそこまで親しくはない鏑木を、安藤がひとり暮らししている家に住まわせるって、これはないなぁ…w ただ安藤は、自身の父親も冤罪事件で苦しんでいるという背景が。こちらの事件に関しては解決していませんが…汗

そして、これは単なる私の勘違いなのですが、鏑木の現在の年齢がこんなに若いとは思わず(よく考えたら逮捕時は高校生で、逃亡から○○日を照らし合わせたら年齢は分かるのですが)お酒を飲んだことがないというのも、嘘だと思い込んでたんですよね…笑!?

この歳まで?お酒を飲まずに居酒屋メニューにここまで感動するって、これはもうとんでもなく!過酷な境遇で育ってきたのだと思い込んでしまいw このせいでおかしな詮索をして混乱しました…。

鏑木の”正体”が分かった後も、安藤の上司が鏑木のことを心配して”職場”を訪れていたのも良かったです。宇野翔平、やっぱり良いですね〜。

5、ラストシーンはちょっと疑問も…

ただ、ラストで山田孝之演じる刑事が、鏑木に対して言う『…どうして、逃げたんだ?』『……?』と思いましたが。そりゃ冤罪なんだし、逃げたいだろうとw

これに対し『…信じたかったんです。この世界を…。正しいことを正しいと主張すれば、信じてくれる人がいるって…』という鏑木の言い分はまぁ分かるし、感動するところなんでしょうが(?)これを言わせたいがための『どうして逃げたんだ?』にも思え、ここはちょっとキレイすぎるかなぁと…。

正体
(C)2024 映画「正体」製作委員会

また『好きな人ができました』はともかく、普通に高校に通っていたはずの鏑木の『友達ができて…』には、ん?と…。

事件に巻き込まれたときは、二宮金次郎ばりに読書をしながら歩く、絵に描いたような真面目少年。普通にコミュ力もありそうだったけれど、友達はまったくいなかったの…?

とは言え、ラストカットの横浜流星の表情ではしっかりと泣きましたし、私的には情緒が色々と忙しい映画でもありました(・ω・)でも人に聞かれたら『感動したし、良い話だったよ』と言うレベルです。

原作やドラマ版との違い

ラスト、いよいよ追い詰められた鏑木が刑事に撃たれるが、一命を取り留める。その後、事件の再審パートが始まるのですが、ここはちょっと蛇足かなぁとも。

正直、ここで鏑木が亡くなるほうが、冤罪としての重みや考えさせる余地も生まれて良作になった気もするのですが…亡くなった後に無罪でも良かったのは?と。あの時点で目撃者は記憶を取り戻してましたよね…?

…と、思ったら、どうやら原作ではラストで鏑木が撃たれて亡くなるらしいですね…(!?)亡くなった後にやはり無罪となるようです。それでも本作はエンタメ映画なので、やはりこのラストは採用されないでしょうね…。

また現在、U-NEXT、Netflix、Huluなどで配信されている、亀梨和也主演のドラマ版『正体』
映画版がイマイチだと言っている方々がドラマ版を推奨しており、こちらは全4話なので映画では描かれなかった部分もじっくりと描かれていそうです。機会があったら見たいと思います!



【ランキングに参加しています。クリックしていただけたらはげみになります】

ブログランキング・にほんブログ村へ 映画ランキング
タイトルとURLをコピーしました