2024年上半期の作品の中では相当期待値が高かった本作。収容所の内部は映らないということは分かった上で劇場へ足を運んだのですが、そもそもの話の趣旨を勘違いしていたようで?想像とかなり違っていました…笑。
作品データ
【製作年度】2023年
【製作国】イギリス/ポーランド/アメリカ
【上映時間】105分
【監督】ジョナサン・グレイザー
【キャスト】クリスティアン・フリーデル、ザンドラ・ヒュラー ほか
【鑑賞方法】U-NEXT、Amazonプライム など(鑑賞時にご確認ください)
あらすじ
ホロコーストや強制労働によりユダヤ人を中心に多くの人びとを死に至らしめたアウシュビッツ強制収容所の隣で平和な生活を送る一家の日々の営みを描く。(映画.comより)
年齢制限は?
年齢制限はないので、どなたもご覧になれます。
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※配信情報は記事作成時のものです。
鑑賞時にU-NEXTサイトでご確認ください。
レビュー ( 2024・05・24 )
1、斬新なのは設定のみで出オチに
アウシュビッツ収容所の真横で暮らす一家の日常を描いた本作。アカデミー賞では音響賞と国際長編映画賞を受賞。
物語に収容所内は出てこないということは知って劇場へ行ったのですが。そもそも、面白いとか面白くない以前に…こんなにも何も起こらない話だとは思いませんでした…。
いつ物語が動き始めるのだろうと思いながら見ていたのですが、物語の半分を過ぎたあたりで、もしかしてこれ…何も起こらないタイプ?ということに気づきました(・ω・)言うなら起承転結の『起』のみを見た感。
あくまで目新しいのはアウシュビッツの横で暮らしているという設定のみで、もはや出オチなんですよね…。この趣旨の話ならば、ショートムービーで良かったのでは(小声)。
収容所の責任者であるルドルフ・ヘスは、任務だから仕方ないと言わんばかりに毎日をこなしていた。収容所の隣の理想とする家でガーデニングに勤しみ、子どもたちに囲まれ幸せな妻。ソレに気づいていない子どもたち…。
物語は、そんな家族の日常を映し出していきます。
妻を演じたザンドラ・ヒュラーは、この年のアカデミー関連である『関心領域』と『落下の解剖学』の2作品に出演。『落下の解剖学』では主演女優賞にノミネートされました。
2、この演出に恐怖は感じなかった…
とにかく『こわい』映画だということを耳にしていたのですが、確かに、一家が暮らす隣からは怒号、悲鳴、銃声などが毎日聞こえてきます。
『無関心』を恐ろしいこととして描いた本作ですが、ただやはり、本作の設定は分かった上で見ているので、設定以上の何かを見せてくれると思ったんですよね(!?)
でも、そりゃ真横に平然と住んでいるくらいだし、彼からしたら生活音の一部なのだろうから意に介することもないよね。と…。
妻が『これ、似合うかしら?』と試着する毛皮も、彼らのもの。
でもこれも、そりゃ真横に平然と住んでいる彼らからしたら〜(以下略)で、そもそも一家の行動すべてにおいてこれが言えるので、ここに驚きや恐怖などは感じませんでした。
これらの事実は怖いが、この演出方法では怖くなかった、と言うのが正しいかもしれません。
アウシュビッツの横で暮らしているということを伏せて彼らのホームドラマを見せ、ラストでカメラが引いていったら、そこはアウシュビッツの横だった!なら『…怖っ!』となったでしょうが(笑)。
シャマラン先生ならこちらのほうが良いと言ってくれそう(シャマラン突然のもらい事故)。でもやはり本作は、そういう趣旨の話ではないですしね…。
音響はさすがオスカーを受賞しただけあって、なんとも形容し難く不気味で、とても気持ちが悪かったです。特にエンドロールの、まるでユダヤ人たちの断末魔のようなBGMがゾワッと…。
3、一家は窮地に!立たされない…
先ほど、何も起こらないと言いましたが…こう言うと語弊があるので、この一家に起こることを幾つか話すとー。
- 休みの日には家族で川で泳ぐ。
- ホームパーティーに招いた妻の母親は、収容所の存在に耐えられなくなったのか?突如家を出て行ってしまう(母親はまともだったのですね)
- 夫の転属が決定。しかし理想の家(内観や外観など)を手に入れこの家を離れたくない妻は、夫に単身赴任を要望するといういざこざ。
- ユダヤ人を毛嫌いしながらも、自身の性処理のためにユダヤ人との行為に及ぶ夫…。などなど。
私はてっきり、一家がアウシュビッツに関心がないことにより何らかの窮地に立たされたり、ざまぁ展開になるのだと期待思っていたので、あ、そういうんじゃないんだ…と(笑)。静かにとんでもないことでも起きるのかと思いきや、ほぼ予告がすべて。
ずっと家に取り付けられた監視カメラの映像を見ているようで、しかもこのホームドラマを単体で見たときに面白いのかと言えば、それも厳しく…。
そういえば、2度ほど白黒の暗視カメラのような映像になり、少女が夜中にリンゴをもいだり?しているようなシーンが。ここはかなり変わった演出で、一瞬ファンタジー?なんて思ったりもしましたが、実際に少女のモデルがいるようで。収容所の中の人たちのためにリンゴを置いたりしていたらしいですね。
4、ホロコーストに関する知識量
ただ本作、巷での評価は圧倒的に高く、私のような人は極めて少数派かと。おそらくこれには、ホロコーストに関する知識量も関係してくるように思います。
ホロコーストに関する知識があればあるほど、細かな部分も理解が出来る作品、というのは間違いないかと。もちろんそれに比例して、作品の重みと面白さも増しそうです。
そしてこれはホロコースト作品だけでなく、他のジャンルの作品にも言えることなんですよね。作品に関する知識がないばかりに、情報を読み取れずあまり楽しめないという…。
現に私も、本作に関するとんでもないことを見落としているかもしれません(そして何がわからないのかも分からない…)逆にもう少し歳をとったら本作の凄みとやらが分かるかもしれませんが、今の自分にはまだ早かったです…。
『アンダー・ザ・スキン 種の捕食』の監督だった!
実は私が、本作とは直接関係のないところでかなり驚いたのが、本作の監督ジョナサン・グレイザーが『アンダー・ザ・スキン 種の捕食(13)』の監督だったということ!
主演はスカーレット・ヨハンソン。美女エイリアンが男たちを誘惑し餌食にするという『スピーシーズ』を思わせるストーリーなのですが、あまりにカルトな作風でイマイチヒットせずw
すでに売れていたスカヨハがサラッと脱いでいるにも関わらず、特に騒がれなかったのがその証拠かと(・ω・)変わった作品が好きな私でも、あまり面白いとは思いませんでした。笑
そしてこの10年後に沈黙を破って『関心領域』とは、かなりの路線変更をしたと思われ…。
ちなみに同じくジョナサン・グレイザーの『記憶の棘(04)』はかなり好きな作品です。
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