※当サイトはアフィリエイト広告を利用しています
スポンサーリンク

【28年後…】哲学・尊厳…感染者は脇役!?カオスの集大成【ネタバレ考察】

28年後

シリーズ最新作『28年後…』、まさかの“感染者が脇役”です(・ω・)序盤から爆速クライマックス、ジーザス案件な教会シーン、親子の亀裂、僧侶のような医師、重くのしかかる別れ──もはや「感染者映画」ではなく、“人生の選択を描くカオスな寓話”。今回のレビューでは、子ども×終末世界×人間の尊厳という異色すぎる世界観を、自分なりに深掘りしていきます!

作品データ

【製作年度】2025年
【製作国】イギリス/アメリカ
【上映時間】115分
【監督】ダニー・ボイル
【キャスト】ジョディ・カマー
アーロン・テイラー=ジョンソン ほか
【鑑賞方法】
6月20日(金)より全国公開中

あらすじ

人間を凶暴化させるウイルスが蔓延した世界を舞台に繰り広げられる死闘を描いたサバイバルホラー。第1作「28日後…」、その続編である第2作「28週後…」に続くシリーズ第3作。人間を凶暴化させるウイルスが大都会ロンドンで流出し、多くの死者を出した恐怖のパンデミックから28年後。生き延びるために海を隔てた小さな孤島に逃れた人々は、見張り台を建て、武器を備え、身を潜めて暮らしていた。ある日、島で暮らすジェイミーと、島を一度も出たことのない12歳の息子スパイクは、ある目的のために島の外へと向かい、本土に渡る。彼らはそこで、人間が人間でなくなった感染者だらけの恐怖の世界を目の当たりにする。(映画.comより)

年齢制限は?

R15指定なので、15歳以下の方はご覧になれません。

レビュー ( 2025・06・20 )

1、いい意味で「これ一体なんの話?」

別のステージに進化した新たな”感染もの”

というわけで、待ちに待った『28年後…』を早速鑑賞してきました!

シリーズ第1作『28日後…』、第2作『28週後…』、そして本作『28年後…』(もはやパッと見では区別がつきにくい…笑)。

ちなみに、3作とも物語が完全に地続きというわけではなく、それぞれ単体でも問題なく鑑賞できます。

私が大絶賛した前作『28週後…』では、監督と脚本が交代し、ダニー・ボイルは製作総指揮に回っていました。

しかし今回は、ダニー・ボイル&アレックス・ガーランドの黄金コンビが、監督・脚本として本格復帰!

とはいえ、さすがにシリーズ3作目ともなると「ネタも出尽くすんじゃ…?」「さすがに2作目は超えられないだろう…笑」なんて言っていたのです……

……が!前作に負けず劣らず、むしろ“別のステージ”に進化したパワフルな1作でした!

題材こそ感染者ものながら、後半になると一気に“深さ”が増し、「…コレ一体なんの話…?」といい意味で混乱させられる、人間の尊厳を巡る物語へと変貌していきます(・ω・)

冒頭からクライマックス!

冒頭から、もはや「これクライマックスじゃね!?」ってくらいの激アツ展開で幕を開けます。

一室に集まった子供たちは、無言で「テレタビーズ」を観賞中。……なのですが、外からは不穏な物音とサイレンが鳴り響き、子どもたちはその異変に気づいているのに、怖くて声も出せない。

キョロキョロしながら、涙目でおとなしく子ども番組を観るという、異様すぎるシチュエーションにすでに釘付け。こういうの、コメ3杯どころか無限ループで食えるやつ(・ω・)

やがて“脅威”がなだれ込み、部屋の中は血の惨劇に。

……ただし、直接的な場面は一切映さず、血しぶきだけを静かに映すというダニー・ボイルらしい抑制された演出も見事。

唯一その場を生き延びた少年・ジミーが、死を振り切るように走り出し──その先で待っていたのは、神父である父親のいる教会。

……そして、その教会にも感染者が突入。
十字を切ろうとした父親が、もはや“ジーザス!”って感じで喰われまくる中、映像と音楽が一体になった圧倒的スタイルで、スタイリッシュなオープニングが始まる──!

そう、ここでまだ上映開始10分ほどですよ…!?(息切れ…)。

映像・テンポ・BGMどれを取ってもダニー・ボイル節全開の、美しくも地獄なオープニング。この時点で「ありがとう」という感謝でいっぱい(;ω;)

なんと3部作になるらしい

『28年後…』は3部作になるらしく、”スパイク”少年は3作すべてに続投だとか。2作目の『28 Years Later: The Bone Temple(原題)』の公開は、全米2026年1月16日を予定。日本の公開も楽しみです!

アレックス・ガーランドについてゆきます…

実はダニー・ボイルよりも好きなアレックス・ガーランド。彼が関わっている作品はほぼすべて見ているのですが、最近話題となったのは、監督・脚本を務めた『シビル・ウォー アメリカ最後の日』。しかし、私的にはこの作品はイマイチハマらず…笑

やはりファンとして、最も好きな作品は『MEN 同じ顔の男たち』。やっぱりガーちゃんにはこういうキモい作品を撮ってもらわなければなりません(・ω・)

女性にとっては、ある意味でサイアクとも言えるシーンがあるのですがw もう、本作の放つ絶妙な気持ちの悪さと恐怖のバランスがたまらない。こちらの作品もいずれレビューしたいと思います。

2、文明崩壊後の“原始的”サバイバル

文明が滅んだら、人類は弓矢にもどる

”28年後”とは思えぬ雰囲気…

『28年後…』の世界は、いわゆる“未来”の物語ではありますが、そこにSFっぽいハイテク感は皆無。登場人物たちが手にしているのは、銃でもAIでもなく、弓矢とナイフ。

ウイルスで文明が崩壊し、インフラも武器も失った人類は、まるで中世のような暮らしへと逆戻りしていました。

サバイバル映画=マシンガンぶっぱなす系…というイメージで見ると、「あれ?」と戸惑うかもしれませんが、だからこそ、この作品の世界観には独特のリアリティと“静けさ”があるのです。

潮でつながる島…設定が最高

本作の舞台となる孤島は、なんと本土と“潮の満ち引き”でつながっているという、ちょっと神話っぽい設定。

干潮のときだけ、細い道が現れて本土に渡れるのですが、潮が満ちればその道は水没し、感染者うようよの本土に取り残されてしまう危険性が…。

この仕掛けがまた絶妙で、観ていて「今行くしかない!でも戻れない!」というゲーム的な緊張感を生み出しています。

どこか詩的でありながら、ちゃんとスリルもある──個人的には、この舞台設定も“ありがとう”(涙)。

“狩りゲー”っぽさを感じる理由

このテの映画といえば、感染者から逃げるとか、閉じ込められるとか、「どうサバイバルするか」が基本の構図。

でも本作の前半戦、特に父ジェイミーとスパイクのやり取りを見ていると、どこか“狩りゲー”感があるんです。

感染者=敵キャラではなく、あくまで“仕留める対象”。
どの角度から刺すのがいいのか、どう動けば気づかれないか…と、教える父も、学ぶ息子も、まるでミッションのチュートリアル中。

「サバイバルホラーというより、“人狩り訓練ゲーム”やないかい」という。

それでいて、ゲームみたいに何度もやり直せない緊張感があるからこそ、ひとつひとつの“討伐”にヒリヒリするようなリアリティがある。

この映画が放つ空気は、「怖い」よりも「しくじれない」の方が近いのです(・ω・)

感染者図鑑
  • スローロー
    走るでもなく、歩くでもなく、その名の通りゆっくりと”這ってくる”という新感覚。巨漢の体を引きずって這い進むその姿は、ミミズを食べるスローな”感染者”。キモくてサイコー(すごくアレックス・ガーランドっぽい)
  • アルファ
    巨人で俊足・頭がキレる。矢を複数命中させても耐え、脊髄を武器代わりに振り回す恐怖の進化系。見た目はジェイソン・モモア風。
  • 初期に感染した“オリジナル世代”
    骨と皮だけになりながらも針のような血管が浮き出し、食べるものがないんだなという悲壮感を漂わせる…。

衣服を身につけていない感染者多数。いかにも”狙いました”なタイプ感染者ではなく、”様々な経緯を経て生まれたんだろうな感”があるバリエーションが良い。

3、裏切りとナイフと決別と

“感染者”よりも、親子の関係がエグい件

感染者の恐怖やステルスミッション感よりも、本作の前半でより刺さってくるのは、スパイクと父ジェイミーの“関係の濃さ”と“重さ”。

本来なら、大人になるための通過儀礼として本土へ行くのは14〜15歳。しかしスパイクは、まだ12歳だというのに父に連れられて感染者の巣へと足を踏み入れます。

しかも、動けないように吊られている状態の感染者に対し、至近距離で「やれ」と父に命じられる。逃げ場もなければ、選択肢もない。

“命のやりとり”を、親子で静かに実行する──それがこの映画の最初の大きな山場です。

感染者映画というより、“父と子の試練の旅”という側面が強く、なんならこっちのほうが怖いまであるんですよね…。

オーロラの下で感染者に追われる映画、他にある?

本土から島へ戻るための唯一の道──
それは、完全な干潮ではなく、まだ水がわずかに残る、幻想的な“海の上の道”でした。

父とスパイクがその道を急いで渡る夜、頭上にはオーロラが揺れ、あたりは不気味なほど静か…。

ところがその静寂をぶち壊すように突如現れたのが、”アルファ”と呼ばれる、巨人で超・俊足の感染者。

水しぶきを上げながら追ってくるその姿に、スパイクたちは全力疾走。夜の海を走っているような美しさと、襲われる寸前の恐怖が同時に押し寄せる。

このシーン、映像の美しさと緊張感のコントラストが尋常じゃなくて、もはや“芸術的パニック”と言ってもいいレベルでした(美しすぎて泣きそうに)

このとき、スパイクのそばにいたのは父。…だからこそ、その後の関係の崩壊が、余計に胸にくるんですよね…。

「ママを診せたくないの?」が火種に

本作の前半で、スパイクと父ジェイミーの関係が突然崩れ去る重要なシーンが。

狩りの最中にスパイクが見た「遠くの灯り」。父に聞いても「知らない」と言われたその正体が、後に“いないはずの医者”だったことが判明。

実はスパイクの母親イスラは、激しい頭痛とパニック障害を患っているのですが、その原因は不明なのです…。

しかも、島に戻ったスパイクは父の不貞現場を目撃。

怒りと混乱の中で、「…ママを医者に診せたくないの?不倫相手がいるから?」と詰め寄ったスパイクに、父は思わず手を上げてしまいます。

するとスパイクはナイフを構え、「僕たちに近づかないで」と突き放す──。この一連の出来事によって、スパイクの中で“父という支え”は崩壊。

頼れる大人が消え、代わりに芽生えるのは、自分の意志で母を救いたいという覚悟。少年が“旅立つ動機”として、ここは本作でもっとも繊細で重いシーンのひとつです。

まさかの”父”離脱…構成の裏切りにやられた

ゾンビ映画やサバイバルものでは、序盤から行動を共にしてきた「頼れる大人」が、物語を引っ張るのが定番。でも『28年後…』は、それをあっさり裏切ってきます。

しかも、不倫判明→暴力→ナイフ突きつけという流れが急すぎて、予想外の展開にちょっとビックリ…。

本作では「父を超える=父を捨てる」ことで、少年が一歩成長していく。それがまた切ないんですよね…。長旅の途中で“パーティーメンバー”が突然いなくなったような喪失感も…。

でもその不安定さこそが、スパイクの”今後の旅路”にリアルな危うさを与えていくこととなるのです。

4、感染ではない“死”が1番重い…

白衣じゃなくて坊主。現れたのは医師か僧か

…これが、レイフ・ファインズ?

父を拒絶し、病気の母とともに島を出たスパイクが出会ったのは──白衣を着た医者…ではなく、異様な姿&丸坊主の、僧侶のような男・ケルソンでした。

医師というより「悟り系ヒーラー」(・ω・)

感染者の進化を語る姿も、どこか超然としていて、人間や死を超越しているような存在感を放っていました。

そんな彼がスパイクに静かに語りかけたのが、「メメント・モリ──死を想え」。淡々とした口調の中に、生と死を見つめ続けてきた者だけが持つ“重み”があり、スパイクの心にも深く刻みつけられたように感じます。

さらに、医者としてのケルソンが母・イスラに下した診断は、すでに“手遅れ”であること。感染ではなく、転移した脳腫瘍。

スパイクにとってはあまりに残酷な現実です。

それを突きつけるケルソンの姿に、感染者映画であるはずの本作が、一気に人間の尊厳を問うドラマに変わる瞬間。

レイフ・ファインズ、新境地

いやビックリしました、まさか彼がこんな役で登場するとは…。少し前ならベン・キングズレーが演るやつですよね(・ω・)

感染ではない「死」の重み

さっきまで”お母さん”だったのに…(;ω;)

治療は不可能で、もはや“どうやって死ぬか”しか選べない──母は、”死”を受け入れることを即座に決断します。

感染者に噛まれて発症──そんな死が当たり前の世界で、イスラが迎えるのは、静かで、しかし重い「現実的な死」でした。

そしてスパイクは、ただ“見届ける”しかできなかった。…しかし、ケルソンが骸骨で作った大きな塔のてっぺんに、”母”をそっと供えるスパイク。とても幻想的で、本作を象徴するシーンのひとつ。

この経験が、彼の中に「生きるってなんだろう」という問いと「もう誰にも頼らない」という決意を植えつけていく…。

感染者との闘いよりも、ここが彼の本当の分岐点だったのかもしれません。

5、この世界、まともな大人って…誰?

12歳にして”人生の不条理フルコース”

『28年後…』が他のサバイバル映画と決定的に違うのは、感染者の怖さではなく、“人間の中の怖さ”にフォーカスしているところ。

初めて感染者の脅威に触れた直後、スパイクは父の裏切りを知り、母の死に直面します。

まだ12歳という年齢で、わずか数日のあいだに「人生の不条理フルコース」を味わうこととなる展開は、もはやホラーというより人生の縮図。

まさかのジミー少年、再登場

そしてラストには、“思いがけない人物”が登場します。

物語の冒頭、かつて怯えながら感染者から逃げ延びた、あのジミー少年。彼が28年の時を経て再登場──

しかし、どこかの戦隊モノのような集団率いる、謎のカリスマ指導者風になっていたんです(・ω・)

出会いこそスパイクを助けてくれたものの、髪型、服装、発言など…ツッコミどころ満載。悪い人ではなさそうだけれど、ジャンルの違った”最大級にヤバい”のが出てきた感。

かつてはスパイクと似たような立場だったジミーが、まったく異なる“生き延び方”をしてきたことが、ここで明かされるんですよね。

3部作の序章として描かれているのは、ただの感染ではなく、「どんな世界で、どんな大人に出会うかで、人間はこうも変わってしまう」という現実。

人生という名の“選択肢RPG”

この3部作の本質は、「誰を信じるか」「どう生きるか」を問われ続ける、壮大な“選択ゲーム”のようになるのでは…と。

ケルソンのような“死を悟る人”にすがるのか、ジミーのように“信念で世界を塗り替える人(たぶん)”に惹かれるのか。
あるいは、誰も選ばず、自分の足で立つのか。

そして忘れてはいけないのが、スパイクの母・イスラが感染者から取り上げた、新たな命。お産の瞬間、母が手を貸した光景は、感染者とか関係なく完全に”母親同士のそれ”でした(赤ちゃんは感染しておらず)

きっとこの赤ちゃんも、この世界の「次の選択肢」として、どこかで再び登場することとなるのでしょう。

サバイバル映画らしからぬ哲学と、選択の連続。『28年後…』は、シリーズの中で最も知的で、最も考えさせられる“レイジのその先”を描いた1作でした。

ゲームオーバーなんてない。選び続ける限り、物語は続いていく──2作目も楽しみにしてます!

\前作『28週後…』はDisney+で視聴できます◎/

▶︎本作を観るならこの方法!

🎬 Disney+ 公式
ディズニーもマーベルも! (PR)
🎬 Disney+とHuluのセットがおトク!

月額1,690円で両方観られる神プラン!
ディズニープラス×Huluで映画ライフが充実!

※PR/リンク先:Disney+ 公式サイト

▶︎ 映画レビューのタイトル一覧はこちら

ホラーや変わり種もそろってます

ジャンル別にサクッと探せます◎

▶︎ ランキングに参加しています
気に入ってもらえたら
ポチッと応援していただけると嬉しいです◎

タイトルとURLをコピーしました