
本作おそらく、面白いか面白くないかに関わらず、見た人の全員がこう思うはず…『ここまでとは思わなかった』と。その衝撃たるや、ストーリー含め、演出や描写などのすべてが、想像だにしない方向から、全力で!上回ってきます。このジャケットのイメージで鑑賞すると大事故に。そして、鑑賞した全女子が思うはずです。『今のままの自分(の姿)で十分(・ω・)』と。
作品データ
【製作年度】2024年
【製作国】イギリス/フランス
【上映時間】142分
【監督】コラリー・ファルジャ
【キャスト】デミ・ムーア
マーガレット・クアリー ほか
あらすじ
デミ・ムーアを主演に迎え、若さと美しさに執着した元人気女優の姿を描いた異色のホラーエンタテインメント(映画.comより)
年齢制限は?
R15指定なので、15歳以下の方はご覧になれません。
どこで見れる?
レビュー ( 2025・04・24 )
1、嫌悪と中毒!衝撃のボディホラー

(C)The Match Factory
アカデミー賞では、作品賞・主演女優賞を含む5部門にノミネートされ、ボディホラーとして話題の『サブスタンス』。
本作は、面白い・面白くないに関わらず、見た人のほぼ全員がまずこう思うはずです。
「…ここまでとは思わなかった…」と。
鑑賞後は、まるで絶叫アトラクションに30分乗りっぱなしだったような感覚。強烈な嫌悪感を覚えるのに、なぜか目を離せない。
実は本作「途中で退出された方もいたらしい」との情報も…。※グロ描写や精神的ショックに弱い方は、少し注意が必要かもしれません。
女性監督だから描ける”出産”のメタファー
『サブスタンス』における”分裂”は、おそらく出産のメタファーですよね。
命をかけて、激しい痛みに耐えて“新しい生命”を生み出す。まさに、女性の身体がもつ力であり、女性監督だからこそ描ける痛みなのだと思います。
そして、そんな女性の身体性をベースに「永遠の若さと美」を追い求めることの恐怖が描かれました。
年齢を重ねた女優が若さを求める――その設定は、主演であるデミ・ムーア自身のキャリアとも重なります。
90年代にトップ女優として活躍し、近年はスクリーンから遠ざかっていたからこそ、本作は単なるボディホラーではなく、デミ・ムーアの“再起”そのものを象徴する作品とも言えるでしょう。
2026年の”ボディホラー”と言えばコレ!
2、”サブスタンス”の意味とルール

主人公エリザベス(デミ・ムーア)は、かつて一世を風靡したものの今は表舞台から消えかけた女優。彼女は再び脚光を浴びるため、若い肉体を手に入れることを決意する。
本作『サブスタンス』で、最新技術により生まれた“若返り薬”は、老いに悩む女性たちにとって夢のような存在。
そして、その薬には…恐ろしく精密な“ルール”があった。(サブスタンスとは”物質”の意味)
① 薬の効果を保つには“安定剤”が必要で、利用者は一人ひとりに“母体”と“分身”という役割を持たされる。
② 7日間以内に、“母体”と“分身”は必ず入れ替わらなければならない。
若さを得る代わりに、“他人の身体”で生き続けなければならない。その姿は自分ではない。けれど、中身は確かに自分――。
これは、美と若さにすがった一人の女優が、「理想の姿」と「本当の自分」の間で揺れ動く物語なのです。
どこか現実味のない、不思議な世界観

また、物語の冒頭からどこか現実離れした空気が流れており、舞台設定こそ現代的ですが、描かれる世界には“リアル”が意図的に排除されているようにも。
象徴的なのが、冒頭の自動車事故。エリザベスは、車ごとグルングルン何回転もするようなかなりの衝撃事故を起こすのですが、怪我はなんと「奥歯の損傷のみ」。
そしてその日のうちに帰宅するという、ツッコミどころ満載のナゾ展開。
この、現実感をふわっとすり抜けていくような不思議な感覚が、やがて物語のラスト20分─衝撃の展開へとつながっていきます。
※ここから先はネタバレします。
未見の方はどちらでも鑑賞できます◎
3、衝撃の”分裂”シーン
本作の目玉の一つでもある、驚愕の映像体験。
先ほども言ったように、相当なグロ描写・暴力描写があり、このテの作品を“まぁまぁ見てきた”私でも、何度か「(…きっつ…)」となるシーンが。
というのも、この映画はいわゆる『ホラー』として売られていないんです。オシャレなポスターに『可愛いが暴走して阿鼻叫喚』なんてコピーが添えられていたら…。
『イタい女性の暴走ドラマかな?』なんて軽い気持ちで鑑賞してしまうと”とんでもない大事故”に巻き込まれることとなります。笑

とくに序盤、観客の度肝を抜く“分裂”シーンは圧巻。
バスルームで(なぜか)全裸になり、“サブスタンス”をキメる気満々なエリザベス。
意を決して薬を服用すると―彼女の黒目が分裂し、そのうちの一つが目頭へと吸い込まれていく!グロいというより、生理的な嫌悪感がぞわっとくる演出です(こういうの多いです)。
次の瞬間、彼女は気を失い、床に倒れこむ。
すると、背中に縦長の切れ目が入り、中からもう一人の人間が物理的に“出てくる”―まさに超・新感覚。
言うなれば、リ◯ックマの背中のファスナーが開いて、もう一体のリ◯ックマが出てくるような衝撃(・ω・)
若々しく生まれ変わるとは、自分自身が変化するのではなく、“新たな分身”を生み出すことだったのです。
“分身”が誕生するあの瞬間もそう。切れ目から血液などは出ませんし、さらに驚くべきことに、その切れ目を素人が雑に縫い合わせるという…!ここでもやはり『いや、ないからw』とツッコミたくなるような”リアルさの排除”が徹底されています。
4、スーはなぜ”暴走”したのか?
”若女” vs ”老女”

若々しくそして美しく、完璧な器を手に入れた“エリザベス”もとい“スー”。お払い箱となった自身の番組のオーディションでも見事に選ばれ、再び“スー”として返り咲くことになります。
スーが華やかに生活している間、母体であるエリザベスは、抜け殻のような状態で浴室に放置される。そして7日が経つごとに、エリザベスとスーは交代しながら入れ替わる…はずでした。
・身体的な同期(体液の注入など)が必要
・母体と分身は同時に存在できない
つまり、どちらか一方が“生きる側”として選ばれた瞬間、もう一方は“消える側”に回るのです。それが『サブスタンス』という薬の根本的なルール。
はじめこそルールを守っていたスーですが、名声と若さを取り戻すにつれ、その日々に酔いしれ、次第に7日のルールが曖昧に。
その結果、エリザベスには明らかな“歪み”が現れ始めます。局部的な老化が進行し、その代償はあまりに過酷なものでした…。
ついに、2人のバランスは崩れ、“スー vs エリザベス”という同一人物の対立へと発展。
放置され続けたエリザベスは、再び目覚めたとき、髪は抜け落ち、骨は崩れ、まるで老婆のような姿に(!!)
少し身体を動かすたびに『…バキバキぃ!!』と、耳を塞ぎたくなるような音が…。まさに“再起不能”の状態。
しかしスーは、自分がこうなる原因を作ったにも関わらず、エリザベスを襲いにかかるのです。
自分自身に敵意を向ける、自我の分裂と対決。
特にスーの暴走は異常でした。超人的なキックでエリザベスを蹴り飛ばし、顔を何度も鏡に打ち付ける…。あまりに暴力的なシーンは“老女 vs 若女”という絵面も相まって、ただの老人虐待にしか見えず…(;ω;)
スーがエリザベスを消そうとした理由

同期の概念が結構複雑で、私もしっかりと理解できていない部分もあるのですが…。考えられる要因はいくつかあり。
- 若い身体の持つ本能や快楽に、エリザベスの意識が負けて、飲み込まれていった。
- 『老いた自己』への嫌悪が育ち、やがて憎しみへと変わった。
- 意識の同期が不完全で、“別の自我”が芽生え、スーの中で暴走した。
クライマックスの対決は、若い自分が老いた自分を否定し、殺そうとする構図。これはまさに、過去の自分・弱い自分の完全なる否認ともいえます。
しかし、そんな若さの勝利も虚しいものでした。スーが生き残ったように見えて、実は何も得ていなかった。
エリザベスは、『…若いあなたが生きなきゃ』と歩み寄ろうとしていたのに…(;ω;)
若さだけを追い求めた結果、人生そのものを否定してしまったスー。
そしてその代償として、いよいよ本作の最大の見せ場&カオスな『衝撃的な結末』が訪れるのです。
5、”新たなモンスター”の誕生
一見、若さを手にしたスーが勝ったようにも見えたクライマックス。しかし、母体を消したことで彼女にも確実に“ほころび”が出始めていました。
大晦日の特番という大舞台を目前に控えたスーの身体は、歯が抜け、爪が剥がれ、明らかな異常をきたしていきます。
追い詰められた彼女が選んだのは、絶対にやってはいけない“再投与”。
その結果、スーの身体から誕生したのは、人間とは思えない、顔面が崩壊したおぞましいモンスター…。しかも、その背中にはエリザベスの顔が埋め込まれているという衝撃的な”最終形態”でした…。
このデザインは、まるで『若さだけを追い求めた欲望と、その裏に沈んだ自我』のビジュアル化とも取れます。
血と肉のパニックショー
そして恐るべきは、そんな状態でスーが撮影会場に登場してしまうという最恐展開!
登場直後は観客も一瞬呆然としますが、すぐさま叫び声とパニックに包まれ、スーの身体からは血液や体液が観客めがけて噴射!!
もはや映像は阿鼻叫喚のホラーというよりも、“スプラッターコメディ”に限りなく近いカオス。
スーはそのまま暴走、やがて体は破裂し、ズルズルと動く肉塊の中から現れるのは…エリザベスの顔。そして、その肉塊が静かに、彼女がかつて刻んだ“ハリウッドの星”の上で止まり、溶けていく―。
ラストのこの描写は『若さと名声にすがった人生の終焉』を皮肉たっぷりに突きつけていて。冒頭の”ハリウッドの星”が誕生するシーンを思い起こすと、あまりに切なくなるのでした…。
6、オマージュ映画と撮影秘話
本作には、往年のボディホラー作品へのオマージュを感じる場面も多くあります。
特にクローネンバーグ作品を思わせる身体変容の描写や、『ザ・フライ』『遊星からの物体X』のような不気味な肉体表現を連想した方も多いのではないでしょうか。
さらに、観客を巻き込むクライマックスの異様な熱狂は、近年のホラー作品とも共通する現代的な演出ともいえそうです。
また、撮影は非常に過酷だったそうで、デミ・ムーアは9時間にも及ぶ特殊メイクの装着をしたんだそう!!気が遠くなる…。
今の時代にCGを使わずに特殊メイクというのがなんともアナログで、そこが本作の魅力でもありますよね。
ラストでスーが観客たちに浴びせた血糊の量は、2万リットルだそう!(言われても想像つかんw)
”分身”を演じたマーガレット・クアリーって?

正直、本作に関してはデミ・ムーアの話題ばかりが先行してましたが、彼女の”分身”を演じたマーガレット・クアリー!
彼女は『フォー・ウェディング』などで有名な女優アンディ・マクダウェルの娘。口元のあたりとか、確かにお母さんに似てる部分がありますよね。

バービー人形のようなスタイルにすべてがキュートで…若さと美しさを象徴するようなキャラクター。
ダンスの訓練も受けていたそうで、あの“分身”としての動きの不気味さや美しさ、さすがだなと思わされました。
そして、スクリーンに有名女優の全裸が2つ転がっている絵ヂカラの破壊力ww 正直、本作がよくR18でなく?R15にとどめられたなぁ!?と。
撮影するに当たり、マーガレットはデミと事前に交流を深めていたようですが、信頼関係がないとこんなシーンはなかなかできないでしょうね…(;ω;)
彼女に関しては完全スルーだったアカデミー賞でしたが、彼女のノミネートだってあって良かったと思いました(!)これに関しても色々あったようですが…もはや書ききれないw
こんなア◯デミー賞やめちまえ…

いやもう、エンドロールが流れ始めると(私が)悔しくて悔しくて…。
今年のアカデミー賞は、ホラー映画で…しかもデミ・ムーアが初ノミネートされたということで、個人的にとても注目していました。
ホラー映画がアカデミー賞では冷遇されることも知っているけれど…それでも!彼女がオスカーをとれないようなアカデミー賞なんてやめちまえ(小声)くらい思いましたね(・ω・)
単なる一個人がこんなふうに思うのだから、デミ・ムーア本人からしたら、どれだけ悔しかったことでしょう…!?自分の名前が呼ばれなかった時の『(…あ、そうなんだ…)』みたいな一瞬の表情が忘れられません…(;ω;)
しかし私のように、個人的に称賛の声を贈ることで、オスカー受賞と返させて(?)いただきます。
オスカーを逃したことへの彼女の反応は?
デミ・ムーア自身は、受賞を逃したことについて、『人間らしい部分として失望はある』としつつも、『人生には抗わずに流れに任せることが大切』と前向きな姿勢を見せていました。
『デミ・ムーアが負けたのは『サブスタンス』のテーマそのものを体現している』との意見も多く見られましたね(これが本当に皮肉)。特に、年齢やジャンルに対するアカデミーの偏見を指摘する声も上がっていたようです…。
かといって『アノーラ』を批判しているわけではないので…。マイキー・マディソンもとても良かったです。
アカデミー賞をリアルタイムでご覧になっていた方は分かるかと思いますが、司会者の登場シーンがなんと、『サブスタンス』の超重要シーン!!
予告すら見ていなかった私からしても『…ぎゃー!!絶対ネタバレしてるだろコレ!!?』と相当取り乱しました…。
本編を実際に見てみると、序盤のシーンだったのでまだ多少は?救われましたが。ネタバレ撲滅委員会の私からしたら微バレも許さないので、この演出はもう少し考えてくれよ…とは思いましたね(;ω;)
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