
本作おそらく、面白いか面白くないかに関わらず、見た人の全員がこう思うはず…『ここまでとは思わなかった』と。その衝撃たるや、ストーリー含め、演出や描写などのすべてが、想像だにしない方向から、全力で!上回ってきます。このジャケットのイメージで鑑賞すると大事故に。そして、鑑賞した全女子が思うはずです。『今のままの自分(の姿)で十分(・ω・)』と。(※途中からネタバレ表記あり)
作品データ
【製作年度】2024年
【製作国】イギリス/フランス
【上映時間】142分
【監督】コラリー・ファルジャ
【キャスト】デミ・ムーア
マーガレット・クアリー ほか
あらすじ
デミ・ムーアを主演に迎え、若さと美しさに執着した元人気女優の姿を描いた異色のホラーエンタテインメント(映画.comより)
年齢制限は?
R15指定なので、15歳以下の方はご覧になれません。
どこで見れる?
5月16日(金)より全国公開
レビュー ( 2025・04・24 )
1、嫌悪と中毒!衝撃のボディホラー
2日前に先行上映を知る
アカデミー賞では、作品賞・主演女優賞を含む5部門にノミネートされ、ボディホラーとして話題の『サブスタンス』。
もはや噂通り!デミ・ムーアの再起作でありながら、“嫌悪感と中毒性”が共存する圧巻の衝撃作でした。
そんな本作の先行上映があることを知ったのは、なんと2日前。
予約時点ですでに最前列と2列目しか空いておらず、「皆さん、情報はやっ!」と思いながらも、どうしてもいち早く観たかった私は、迷わず予約…!
ベストポジションとは言い難い環境下での鑑賞だったのですが…
………見て、良かった--笑!!!!
本作、面白い面白くないに関わらず、見た人のほぼ全員が”まずは”こう思うはずですー。
『…”ここまでとは”思わなかった…(・ω・)』と。
”覚悟”は早々に打ち砕かれる
私は事前にボディホラーということは知っていたので、『チタン(21)』(身体改造や肉体変容をテーマにしたボディホラー)みたいな感じなのだろうと、それなりの覚悟はして鑑賞に挑んのですが…。
そんな”覚悟”は早々にぶち壊されるほど、ストーリー含め、演出や描写などすべての要素が!想像をはるかに!上回ってきます。
鑑賞後は、絶叫アトラクションに30分乗りっぱなしでフラフラ…みたいな情緒。
今後は『サブスタンス系』や『サブスタンスもどき』などという表現も生まれそうな、ある種のジャンルを確立したのではないかと。このテの作品が好きなマニアからは今後も語り継がれることとなりそうです。
実は本作「途中で退出された方もいたらしい」との情報も…。※グロ描写や精神的ショックに弱い方は、少し注意が必要かもしれません。 ただし、これはただのスプラッターではなく、 “自分自身を巡る壮絶なドラマ”です。 最後には、思わず息を呑むようなラストが待っています。

2、若返りの薬とデミ・ムーアの逆襲

(C)The Match Factory
本作、ホラー好きでなくても、映画好きでデミ・ムーアをリアルタイムで知っている世代の方なら、ちょっと気になるのではないでしょうか?
90年代には『ゴースト ニューヨークの幻』で大ブレイクした彼女ですが、最近はあまり映画で見かけません。
またプライベートでは、アシュトン・カッチャーとの離婚により、世間から“不憫”と感じられることも多かった彼女。
映画に登場する若返り薬という設定は、まさにデミ・ムーアのキャリアと重なる部分が多く、若い女優がもてはやされ、年齢を重ねた女優が引退に追いやられるという現実を反映しています。
そんな彼女自身が過去の栄光を取り戻し、再起を図ったのが『サブスタンス』なのです。
“物質”という意味で、映画の中ではデミ・ムーア演じるエリザベスがこれを使って若返ろうとします。
若返りと再起の象徴として、彼女自身が本作でどんな役割を果たすのかが注目ポイント。
また本作と似たような設定で、演じる俳優が落ち目になった現状をあえて作品でも皮肉った『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』という作品もありました。
3、中身は『空』でも若けりゃ勝ち?
『サブスタンス』の恐ろしいルールとは…

”ナチュラルこそ美”、という風潮もあったりしますが、やっぱり若々しくキレイでいたい。それって、女性にとっては普遍的なテーマですよね。私だってお金さえあればいじりたいところは無限に…(割愛)。
主人公エリザベス(デミ・ムーア)は、かつて一世を風靡したものの今は表舞台から消えかけた女優。彼女は再び脚光を浴びるため、若い肉体を手に入れることを決意する。
本作『サブスタンス』で、最新技術により生まれた“若返り薬”は、老いに悩む女性たちにとって夢のような存在。
若返り薬は、謎の地下施設でひっそりと提供されている。スタッフとの接触はなく、あらかじめ自宅に届いたカードキーを使い、金属製ロッカーから自身で取り出す。そこには、言葉にできないような不穏な空気が漂っており…。
そして、その薬には…恐ろしく精密な“ルール”が存在していた。
①薬の効果を保つには“安定剤”が必要で、利用者は一人ひとりに“母体”と“分身”という役割を持たされる。
②7日間以内に、“母体”と“分身”は必ず入れ替わらなければならない。
若さを得る代わりに、“他人の身体”で“自分として”生き続けなければならない。
その姿は自分ではない。でも中身は、確かに自分―。
美しさと引き換えに、彼女が手放したものとは?
その“見た目”は、本当に“自分自身”なのか?
そして、若返った彼女の“中身”は―?
これは、美と若さにすがった一人の女優が、“理想の姿”の中でどう生きるかを問われる物語なのです。
どこか現実味のない、不思議な世界観

また、物語の冒頭からどこか現実離れした空気が流れており、舞台設定こそ現代的ですが、描かれる世界には“リアル”が意図的に排除されているようにも思えます。
象徴的なのが、冒頭の自動車事故。エリザベスは、車ごとグルングルン何回転もするようなかなりの衝撃事故を起こすのですが、怪我はなんと「奥歯の損傷のみ」。
そしてその日のうちに帰宅するという、ツッコミどころ満載のナゾ展開。てっきりこの事故が今後のストーリーに関係してくるのかと思いきや……ないんかい!
この、現実感をふわっとすり抜けていくような不思議な感覚が、やがて物語のラスト20分─衝撃の展開へとつながっていきます。
※ここから先は完全ネタバレで語ります。
まずは映画を見たい!という方は先に作品を見てから、また戻ってきてください…笑
4、大事故確定!オシャレ詐欺映画
ホラーとして売っていない本作
本作の目玉の一つでもある、その驚愕の映像体験。
先ほども言ったように、相当なグロ描写・暴力描写があり、このテの作品を“まぁまぁ見てきた”私ですら、何度か「(……きっつ……!)」となるシーンが。
実際、私の隣の女性は、そういったシーンでは目を覆い、ほとんどスクリーンを見ていませんでした。
というのも、この映画はいわゆる『ホラー』として売られていないんです。
オシャレなポスターに『可愛いが暴走して阿鼻叫喚』なんてコピーが添えられていたら―『イタい女性の暴走ドラマかな?』なんて軽い気持ちで鑑賞してしまう。
その結果、”とんでもない大事故”に巻き込まれることとなります。笑
衝撃の”分裂”シーン

とくに序盤、観客の度肝を抜く“分裂”シーンは圧巻。
バスルームで(なぜか)全裸になり、“サブスタンス”をキメる気満々なエリザベス。
意を決して薬を服用すると―彼女の黒目が分裂し、そのうちの一つが目頭へと吸い込まれていく!グロいというより、生理的な嫌悪感がぞわっとくる演出です(こういう演出多いです)。
次の瞬間、彼女は気を失い、床に倒れこむ。
すると、背中に縦長の切れ目が入り、中からもう一人の人間が物理的に“出てくる”―まさに超・新感覚。
言うなれば、リ◯ックマの背中のファスナーが開いて、もう一体のリ◯ックマが出てくるような衝撃(・ω・)
若々しく生まれ変わるとは、自分自身が変化するのではなく、“新たな分身”を生み出すことだったのです。
この空気感でやるのが凄い
この描写だけを聞くと、ホラー映画によくある演出のようにも思えるかもしれません。
しかし、本作の凄さはそこではありません。この時点で、映画にはまだホラー的な雰囲気が一切ないということ。
ごく普通の“ドラマ”としてのトーンの中に、突然ぶち込まれるこの異常シーンに、観客はただただ唖然とするのです。
『…え、なにこれ!?……夢オチ(・ω・)?…(錯乱)』と戸惑いながらも、残念ながら夢ではない。
どんな作品かよく知らずに見た人も、知っていた人も、ここで本作の“想像以上のヤバさ”を知ることとなります。
ちなみに私は、劇場で数年に一度あるかないかという、身体の下から鳥肌が這い上がる感覚を味わいました。
しかもこの類の“衝撃(+笑撃)”は、物語のラストにかけて何度かやってきます。
“分身”が誕生するあの瞬間もそう。切れ目から血液などは出ませんし、さらに驚くべきことに、その切れ目を素人が雑に縫い合わせるという…!ここでもやはり『いや、ないからw』とツッコミたくなるような”リアルさの排除”が徹底されています。
5、若さの代償は深く…
支配される”もう1人の私”

若々しくそして美しく、完璧な器を手に入れた“エリザベス”もとい“スー”。お払い箱となった自身の番組のオーディションでも見事に選ばれ、再び“スー”として返り咲くことになります。
スーが華やかに生活している間、母体であるエリザベスは、抜け殻のような状態で浴室に放置される。そして7日が経つごとに、エリザベスとスーは交代しながら入れ替わる…はずでした。
・身体的な同期(体液の注入など)が必要
・母体と分身は同時に存在できない
つまり、どちらか一方が“生きる側”として選ばれた瞬間、もう一方は“消える側”に回るのです。それが『サブスタンス』という薬の根本的なルールであり、物語全体の核でもあります。
はじめこそルールを守っていたスーですが、名声と若さを取り戻すにつれ、その日々に酔いしれ、次第に7日のルールが曖昧に。
その結果、エリザベスには明らかな“歪み”が現れ始めます。局部的な老化が進行し、その代償はあまりに過酷なものでした…。
ついに、2人のバランスは崩れ、“スー vs エリザベス”という同一人物の対立へと発展してしまうのです。
”老い”を拒絶する若さの怪物
放置され続けたエリザベスは、再び目覚めたとき、髪は抜け落ち、骨は崩れ、まるで老婆のような姿に(!!)
少し身体を動かすたびに『…バキバキぃ!!』と、耳を塞ぎたくなるような音が…。まさに“再起不能”の状態。
しかしスーは、自分がこうなる原因を作ったにも関わらず、エリザベスを襲いにかかるのです。
自分自身に敵意を向ける、自我の分裂と対決。
特にスーの暴走は異常でした。超人的なキックでエリザベスを蹴り飛ばし、顔を何度も鏡に打ち付ける…。あまりに暴力的なシーンは“老女 vs 若女”という絵面も相まって、ただの老人虐待にしか見えず…(;ω;)
スーはなぜ”怪物”になったのか?

同期の概念が結構複雑で、私もしっかりと理解できていない部分もあるのですが…。考えられる要因はいくつかあり。
- 若い身体の持つ本能や快楽に、エリザベスの意識が負けて、飲み込まれていった。
- 『老いた自己』への嫌悪が育ち、やがて憎しみへと変わった。
- 意識の同期が不完全で、“別の自我”が芽生え、スーの中で暴走した。
クライマックスの対決は、若い自分が老いた自分を否定し、殺そうとする構図。これはまさに、過去の自分・弱い自分の完全なる否認ともいえます。
しかし、そんな若さの勝利も虚しいものでした。スーが生き残ったように見えて、実は何も得ていなかった。
エリザベスは、『…若いあなたが生きなきゃ』と歩み寄ろうとしていたのに…(;ω;)
若さだけを追い求めた結果、人生そのものを否定してしまったスー。
そしてその代償として、いよいよ本作の最大の見せ場&カオスな『衝撃的な結末』が訪れるのです。
6、映画史に残る怪作ラスト
”新たな怪物”の誕生
一見、若さを手にしたスーが勝ったようにも見えたクライマックス。しかし、母体を消したことで彼女にも確実に“ほころび”が出始めていました。
大晦日の特番という大舞台を目前に控えたスーの身体は、歯が抜け、爪が剥がれ、明らかな異常をきたしていきます。
追い詰められた彼女が選んだのは、絶対にやってはいけない“再投与”。
その結果、スーの身体から誕生したのは、人間とは思えない、顔面が崩壊したおぞましいモンスター…。しかも、その背中にはエリザベスの顔が埋め込まれているという衝撃的な姿でした…。
このデザインは、まるで『若さだけを追い求めた欲望と、その裏に沈んだ自我』のビジュアル化とも取れます。“老いを否定し続けた結果、自己の尊厳も美もすべてを失ってしまった”という、まさに物語の最終到達点。
血と肉のパニックショー
そして恐るべきは、そんな状態でスーが撮影会場に登場してしまうという最恐展開!!
登場直後は観客も一瞬呆然としますが、すぐさま叫び声とパニックに包まれ、スーの身体からは血液や体液が観客めがけて噴射!!
もはや映像は阿鼻叫喚のホラーというよりも、“スプラッターコメディ”に限りなく近いカオス状態。ここまでくると、笑うしかないほどのぶっ飛び演出で、完全に観客の理性すら破壊しにかかってきます。
スーはそのまま暴走、やがて体は破裂し、ズルズルと動く肉塊の中から現れるのは…エリザベスの顔。そして、その肉塊が静かに、彼女がかつて刻んだ“ハリウッドの星”の上で止まり、溶けていく―。
ラストのこの描写、『若さと名声にすがった人生の終焉』を皮肉たっぷりに突きつけていて。冒頭の”ハリウッドの星”が誕生するシーンを思い起こすと、あまりに切なくなるのでした…。
私としては大興奮でめちゃくちゃに楽しめましたし、おそらく今年のナンバーワン作品になることはほぼ確定なのですが。
ひとつ言うなら、ラストの展開はちょっと食傷気味に…。見てるこっちももう、おなかいっぱい&錯乱状態で、…これは一体、何(・ω・)?という。
もちろんこれが監督の狙いでもあったのでしょうし、何ならここを最もやりたかったのかもしれませんが、さすがにこっちの身体も暴発しそうでしたw
7、『サブスタンス』オマージュ映画
本作を見ていると『◯◯っぽいな…』が結構ありましたよね。ホラー映画をよく見る方ならば、かなり多くの作品が浮かんだのではないでしょうか。
とりあえず私が思いついたのは…
- 遊星からの物体X
- ブレインデッド
- ザ・フライ
- シャイニング
- マリグナント(背中のアレとか)
- バスケットケース(ラストのスーの姿は完全”アレ”だよねw)
- ラストシーンの観客巻き込んで阿鼻叫喚は『スマイル2』(これは最近の作品なので、オマージュというよりは似ているだけですが)
デヴィッド・クローネンバーク作品のどれかもありそうですが、かなり昔に見たのであんま覚えてなくて…。思い出したら追記します笑。
・撮影は非常に過酷だったそうで、デミ・ムーアは9時間にも及ぶ特殊メイクの装着をしたんだそうで!!気が遠くなる…。
今の時代にCGを使わずに特殊メイクというのがなんともアナログで、そこが本作の魅力でもありますよね。
・ラストでスーが観客たちに浴びせた血糊の量は、2万リットルだそう!(言われても想像つかんw)
8、こんなア◯デミー賞やめちまえ…

いやもう、エンドロールが流れ始めると(私が)悔しくて悔しくて…。
今年のアカデミー賞は、ホラー映画で…しかもデミ・ムーアが初ノミネートされたということで、個人的にとても注目していました。
主演女優賞に関してはおそらく彼女が受賞するだろうと思っていたので、発表の瞬間、拍手の準備をしていた私からしても、もう呆然…。
なので、実際に映画を鑑賞し、彼女の演技を目の当たりにしてみて、本当~に!悔しくて…。
デミ・ムーアがここまでしたのに!とれないなんて…。
ホラー映画がアカデミー賞では冷遇されることも知っているけれど…それでも!彼女がオスカーをとれないようなアカデミー賞なんてやめちまえ(小声)くらい思いましたね(・ω・)
単なる一個人がこんなふうに思うのだから、デミ・ムーア本人からしたら、どれだけ悔しかったことだろう…!?自分の名前が呼ばれなかった時の『(…あ、そうなんだ…)』みたいな一瞬の表情が忘れられません…(;ω;)
顔と体と感情が全部バラバラになりそうな役を、あの美しさと狂気のバランスでやっちゃうって…。
アカデミー賞をリアルタイムでご覧になっていた方は分かるかと思いますが、司会者の登場シーンがなんと、『サブスタンス』の超重要シーン!!本編を見ていない私からしても『…ぎゃー!!絶対ネタバレてるだろ、これ!!?』と相当取り乱しました…。本編を実際に見てみると、序盤のシーンだったのでまだ多少は?救われましたが。ネタバレ撲滅委員会の私からしたら微バレも許さないので、この演出はもう少し考えてくれよ…とは思いましたね(;ω;)
カンヌでは絶賛だった!
ちなみに本作『サブスタンス』は、世界三大映画祭のひとつ『カンヌ国際映画祭』でプレミア上映され、上映後には約13分間のスタンディングオベーションがあったそうです。
それくらい、国際的には“アートとしてのホラー”として高く評価されていたわけで…。にもかかわらず、アカデミーでは主演女優賞ノミネート止まり…って、そりゃないぜ(;ω;)(しつこい)
また、アカデミー賞のホラー冷遇に関しては『ヘレディタリー』『ミッドサマー』などの扱いも議論の的でしたが、特に女性主導のホラーは長年“ジャンルの壁”に阻まれがち。
さらに『ババドック 暗闇の魔物』のように、海外では高く評価されながらも、日本では“B級ホラー枠”と誤解されてしまった作品もあるほどです。
これらをデミ・ムーアが打ち破ってくれるのでは(!)と期待していただけに、なおさら悔しさ倍増でした…。
オスカーを逃したことへの彼女の反応は?
デミ・ムーア自身は、オスカー受賞を逃したことについて、『人間らしい部分として失望はある』としつつも、『人生には抗わずに流れに任せることが大切』と前向きな姿勢を見せていました。
『デミ・ムーアが負けたのは『サブスタンス』のテーマそのものを体現している』との意見も多く見られましたね(これが本当に皮肉)。特に、年齢やジャンルに対するアカデミーの偏見を指摘する声も上がっていたようです…。
かといって『アノーラ』を批判しているわけではないので。『アノーラ』も素晴らしい作品です(まだ見てないけど)。
オスカーは逃してしまったデミ・ムーアですが、私のように個人的に称賛の声を贈ることで、オスカー受賞と返させて(?)いただきます。
…というか、彼女自身が語った『流れに身を任せる』という姿勢そのものが、まさに『サブスタンス』のメッセージそのものでしたね。作品と俳優の人生が重なって見える瞬間でした。
『分身』を演じたマーガレット・クアリーって?

正直、本作に関してはデミ・ムーアの話題ばかりが先行してましたが、デミ・ムーアの『分身』を演じたマーガレット・クアリーですよ!!
マーガレット・クアリーは、名女優アンディ・マクダウェルの娘。確かにお母さんに似てる部分がありますよね!
バービー人形のようなスタイルにすべてがキュートで…若さと美しさを象徴するようなキャラクターでした。
最近ではヨルゴス・ランティモス作品などにも出演している彼女ですが、ここまで身体を張った体当たり演技をしていたとは!
ダンスの訓練も受けていたそうで、身体表現のしなやかさとコントロール力が強み。あの“分身”としての動きの不気味さや美しさ、さすがだなと思わされました…。
そして、スクリーンに有名女優の全裸が2つ転がっている絵ヂカラの破壊力よww 正直、本作がよくR18でなく?R15にとどめられたなぁとw
撮影するに当たり、マーガレットはデミ・ムーアと事前に交流を深めていたようですが、信頼関係がないとこんなシーンはなかなかできないでしょうね…(;ω;)
彼女に関しては完全スルーだったアカデミー賞でしたが、彼女のノミネートだってあって良かったと思いました(!)これに関しても色々あったようですが…もはや書ききれないw
最近のホラー映画は女性監督が熱い
『レリック―遺物―』『チタン』『ハッチング/孵化』、そして先ほど挙げた『ババドック』など、ここ最近のホラー界では女性監督の活躍が目立ちます!
さらに注目したいのは、これらの作品の多くがオーストラリア、フランス、フィンランドなどのヨーロッパ圏から生まれているという点。ハリウッドとはまた違う、独自の感性や映像美がありますよね。
『チタン』にも言えますが、女性監督が描く”痛み”って、どこか生理的で生々しいリアリティがあるのが特徴です。男性監督のグロ描写とは質が異なり、”想像しやすい痛み”とでも言いましょうか。
たとえば『チタン』では、女性だからこそ分かる(?)“〇〇を食いちぎられそうな”ほどの痛みが描かれますし(これはほんと目を背けましたw)。
本作『サブスタンス』における”分裂”はおそらく出産のメタファーですよね。
命をかけて、激しい痛みに耐えて“新しい生命”を生み出す。まさに、女性の身体がもつ力であり、女性だからこそ描ける痛みなのだと思います。
そして本作では、そんな女性の身体性をベースに『永遠の若さと美』を追い求めることの恐怖が描かれました。
個人的には、“自らの欲望に飲まれ、若さに殺される”という展開に、どこか神話めいたものを感じてゾクゾクしてしまうのでした。
↓こちらから、本編の一部映像&予告が見られます。本作のイメージが結構つかめるかと思います★
♦︎ 選ばれし“背骨”とは? 『サブスタンス』デミ・ムーアが理想の候補者となる本編映像公開(ぴあ映画より)

