※当サイトはアフィリエイト広告を利用しています
スポンサーリンク

【PR】Netflixが2ヶ月無料!

【さよなら渓谷】夫婦ならば当たり前の行為が暗黙の確認だった…【ネタバレ・考察】

『MOTHER マザー(長澤まさみ)』の大森立嗣たつし監督による、2013年製作の問題作。どこにでもいる平凡な夫婦には、まさかの秘密があった…。まさに私好みの内容だった本作は、激しいベッドシーンも話題に。この記事は今から約10年前に書いたものなので、正直今の自分の感性とはかなり違っているかもしれません…笑 ただ当時は、年間トップ3にもランクイン。大興奮で母親にも勧め、母も面白かったと言っていたのですが、今思えばなに勧めてんだ…(・ω・)

作品データ

【製作年度】2013年
【製作国】日本
【上映時間】116分
【監督】大森立嗣
【キャスト】真木よう子、
大西信満 ほか
【鑑賞方法】U-NEXT、Hulu など
(鑑賞時にご確認ください)

あらすじ

緑が生い茂る渓谷で幼児の殺害事件が発生し、容疑者として母親が逮捕される。隣の家に住んでいる尾崎俊介がその母親と不倫していたのではないかという疑惑が、俊介の妻かなこの証言によって浮かぶ。事件を取材する週刊誌の記者、渡辺がさらに調査を進めていくうちに、尾崎夫妻をめぐる15年前の衝撃的な秘密にたどり着き……。(シネマトゥデイより)

年齢制限は?

R15指定なので、15歳以下の方はご覧になれません。

【PR】
\『さよなら渓谷』はU-NEXTで見れます/
U-NEXT

※配信情報は記事作成時のものです。
鑑賞時にU-NEXTサイトでご確認ください。

レビュー ( 2014・02・14の記事に加筆 )

1、衝撃の過去を抱える『夫婦』

(C)2013「さよなら渓谷」製作委員会

本作の予告を見たときにすでに面白そうで、これは絶対に見ようと決めていました。
そしていざ鑑賞してみると、想像以上の面白さに衝撃を受けました。こういうカラーは邦画でないと出せないですね…。

渓谷のある、緑豊かな町で起きた幼児の殺害事件。この事件を発端に、隣家で暮らす平凡な夫婦の衝撃的な秘密が明かされる。
…夫は、過去に起きた集団暴行事件の加害者の1人だった。それだけでなく、その被害者が現在の『妻』だったのです。

物語は、週刊誌の記者が夫婦の過去を探るパートと、”夫婦が出来上がるまでのパートを交互に映し出す。

この題材からアブノーマルな話なのかと思われそうですが、物語はそんな安っぽいものでなく、非常に奥が深く複雑で、繊細です。

なんなら究極の純愛のようにも見え、その危ういバランスにこちらもヒヤヒヤドキドキ…。例えようもない感情に振り回されるのですが、これはやはり“恋愛”なんだろうなと。

そしてこれほどにセンセーショナルな題材を扱いながらも、決して下品にならず美しい物語に作り上げた監督の手腕はすごいです。見終わったあとにその後の2人をあれこれ想像し、しばらく余韻に浸りたい作品でした。

本作の元となった事件があった

ここでは詳細は伏せますが、幼児殺害事件と集団暴行事件は、それぞれモデルとなっている事件があるようです。ただ、ストーリー展開に(おそらく)そこまでの関連性はなさそうです…。

2、夫婦が『出来上がる』まで

(C)2013「さよなら渓谷」製作委員会

まず、集団暴行事件と聞くと誰しもが思い描くイメージがあると思いますが、この場合は見ず知らずの相手をひたすら無理矢理に…というのではなく。男女数名で遊んでいて、ちょっといい感じになっている(ように私には見えた)けれども、女性にその気は全くない。

しかし男性たちは、その場のノリと勢いで1人の女性を暴行してしまいます。もちろん暴行には変わりないのですが、少なくとも私が想像していたようなものとは少し違っていました。

やがて彼女は結婚し、幸せな生活を送るかに見えたのも束の間、束縛が激しい夫に暴力を振るわれ、どうにも幸せを掴めない…。

そんなときに、暴行したメンバーのなかで唯一、彼女の元へやってきて謝罪をするのが、のちに『夫』となる人物。謝罪なんかで到底許されることではないですが、これにより彼女が多少なりとも救われたことも事実。

最初こそ相手にはしませんが、あるとき彼が置いて行った連絡先に連絡する。
何度も自殺未遂を起こしていた彼女は『…私が死んで、あんただけが幸せになるなんて許せない…あんたは一生私と苦しめばいい!』と、彼女なりの制裁。

そして男は、それなりに良い会社に勤め、婚約者もいた生活を捨て、渓谷がある田舎のボロ家で彼女と暮らすようになるのです。

『私たちは、幸せになるために一緒にいるんじゃない…』という台詞は、とても印象的。

3、そんな『夫』になぜ惹かれるのか

(C)2013「さよなら渓谷」製作委員会

それでもやっぱり、自分を乱暴した超本人と夫婦同然の生活を送るというのは、常識的に考えるとあり得ないこと。

ではなぜ、私がここまで共感したのかー。
夫は、普通に“いい人”なんです。…というと語弊がありますが、この事件さえなければ、どこにでもいそうな妻想いの夫であり、根っからの悪人という描き方をしていないのがなんともあざとい。

それに対比するように、元夫はDV男ですしね…。これならば、彼女が彼に惹かれても不思議ではないと思わせるようなキワキワの演出をしているんですよね。

もちろん根底には彼女に対するうしろめたさがあるのですが、言うことを聞き、たまにはマッサージもしてやり、不当なことをされても責めることをしない夫
これが、物語の冒頭で起きる幼児殺害事件のことです。

妻は、夫が幼児殺害事件に関わっているかのような虚偽の証言をします。単に夫を苦しめたかったのか、自身への忠誠という名の愛を確かめたかったのかは分かりません…。

しかし、ある日突然姿を消す妻-。

記者は夫に『…過去へ戻れるとしたら、妻と出会う前に戻りたいか。それとも、犯罪を犯しても妻と出会ったほうが良かったかー』と問います。

そして夫が、カッと目を見開いたところでエンド。この余韻は久々にゾクッとしました…。恐怖とかいうのではなく、恍惚とでもいいましょうか…。

真木よう子のエンディング曲が良い

エンディングで流れる真木よう子が歌う曲が、これまた柔らかく温かい余韻を残します。

4、『妻』がなぜ姿を消したのか…

記者を演じた大森南朋が良かった
(C)2013「さよなら渓谷」製作委員会

周りからは決して祝福されない、むしろ嫌悪感さえ抱かれそうな2人ですが、唯一2人の理解者として記者を据えたところは良かったです。

押しつけがましい演出がなく、記者がさりげなく『お互いが愛し合っているならもういいのでは』というようなことを代弁しているようにも思えました。

一方、姿を消した妻は、もうこれ以上夫といることに限界を感じたんでしょうね。
なぜなら、彼を愛し始めてしまっていたから

ようやく人を愛することができたかと思えば、究極の“好きになってはいけない人”。自身の中でプライドだってあったでしょう。

彼女の葛藤には、こちらも痛いほど共感してしまいました。これはやっぱり好きになってしまうでしょうね…”夫”を。

本作では、夫に監禁や誘拐をされていたわけではないですが、異常とも言える状況下で被害者が加害者に対して好意的な感情を持ってしまうと言う意味では、ストックホルム症候群に通ずるものがあります。

学生時代からこのテの話が好きだったので、こういうのかなり見てました笑。ただしここまで言っておいてなんですが、はなからこういった題材に嫌悪感のある方は、どうがんばっても本作にはノレないかと思います…。

ストックホルム症候群とは?

誘拐事件や監禁事件などの犯罪被害者についての臨床において、被害者が犯人との間に心理的なつながりを築くことをいう。(wikipediaより)

5、確かに凄かったベッドシーン

(C)2013「さよなら渓谷」製作委員会

激しいベッドシーンも騒がれた本作ですが、冒頭いきなりこのシーンから始まります。夫婦ならばごく当たり前のことですが、のちに夫婦の関係性が明らかになるとちょっと驚きます(!)

お互い『愛してる』などと口にすることさえなかった夫婦ですが、すべてはこのシーンに集約されていたのだと。
どう見たって(!)愛し合ってる者どうしのソレでしたよ、えぇ…。これが2人の関係性を表す、唯一の“暗黙の確認”だったのでしょうね。

そして、この役を体当たりで演じきった真木よう子は凄かった!今までまともに彼女の演技を見たことがなかったのですが、上手いですね。何かを秘めているミステリアスさと、荒んだ色気。

実際に痩せてしまったという真木よう子

インタビューで『役づくりではなくて本当に痩せてしまって。固形物を見ると吐くという状態になるくらいハードで大変だった』と語っており、なかでも”元の夫”演じる井浦新からのDVシーンがキツかったそう。(シネマトゥデイより)

そして、後半にいくに従ってどんどん男っぷりをあげていった”夫”を演じた大西信満…。
なんとあの『キャタピラー』の”軍神さま”じゃないですか(笑)!あのときは顔が(ただれていたため)ハッキリとは分からなかったのですが、こんな顔だったんですね!?カッコ良い人で驚きました。

『キャタピラー』に続き本作とは、なかなかの問題作への出演が続きますが、これ以降はどちらかというと脇役が多い感じでしょうか…。

まだある!ストックホルム症候群を題材にした作品

ストックホルム症候群の語源は、1973年8月、ストックホルムにおいて発生した銀行強盗人質立てこもり事件からきており、これを基にした作品がイーサン・ホークとノオミ・ラパス共演の『ストックホルム・ケース(18)』。ただ、犯人役がイーサン・ホークってのはカッコ良すぎて説得力がないw

さらにこちらも当時話題となり、シリーズがいくつも作られた『完全なる飼育』は、ストックホルム症候群を描いた代表とも言える邦画。私は1作目しか見ていませんが大好きな作品。犯人役を演じた竹中直人は、逆に説得力しかありませんw

⬇︎こちらも大西信満が出演した問題の反戦映画

【PR】
\『さよなら渓谷』と『キャタピラー』
はU-NEXTで見れます/
U-NEXT

※配信情報は記事作成時のものです。
鑑賞時にU-NEXTサイトでご確認ください。

U-NEXTは、毎月もらえる1200(円)ポイントで新作をレンタルできることはもちろん、全国ほとんどの映画館※でのチケット代に充てることもできます月額2189円(税込)と他の動画サブスクと比較するとお高めですが、月に1度でも劇場に行かれる方はお得かもしれません(※詳細はご確認ください)

【ランキングに参加しています。クリックしていただけたらはげみになります】

ブログランキング・にほんブログ村へ 映画ランキング
タイトルとURLをコピーしました