
Netflix版『新幹線大爆破(2025)』をレビュー。前半はネタバレなし、後半からはネタバレありで忖度なしの感想を語っていきます。パニックものも大好きな私ですが─まさかこんなにも、違う意味で爆発するとは…(・ω・)良いところもちゃんと拾いつつ『どうしてこうなった…?』な、爆発ポイントも語っていこうと思います。純粋に本作を楽しめた方は、ここで引き返してください…笑
作品データ
【製作年度】2025年
【製作国】日本
【上映時間】137分
【監督】樋口真嗣
【キャスト】草彅剛、斎藤工
のん、尾野真千子 ほか
あらすじ
走行中の新幹線に一定の速度を下回ると作動する爆弾が仕掛けられ、危機に直面した乗務員・乗客や鉄道会社、政府、警察の面々と、爆弾を仕掛けた犯人が繰り広げるノンストップの攻防戦を描く。(映画.comより)
年齢制限は?
年齢制限はないので、どなたもご覧になれます。
どこで見れる?
見放題 | 課金 | |
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Amazon プライム | ー | ー |
U-NEXT | ー | ー |
Netflix | ● | ー |
hulu | ー | ー |
Disney+ | ー | ー |
ゲオ宅配 レンタル | ー | ー |
レビュー ( 2025・04・28 )
1、新旧『新幹線大爆破』比較
言わずと知れた日本のパニック映画『新幹線大爆破(75)』から50年。なんと、Netflixがそのリブート作品を製作するということで以前からかなり楽しみにしていました。(厳密にはただのリブートではなかったわけですが…)
【オリジナル版(75)152分】あらすじ
舞台は、東京から博多へ向かう新幹線「ひかり109号」
約1500人の乗客を乗せて出発した直後、国鉄本社に『新幹線に爆弾を仕掛けた』という脅迫電話が入る。
しかも、爆弾は時速80km以下になると自動で爆発するという、シンプルにして最悪な仕掛け。
犯人グループは、元工場経営者の沖田哲男、工員の大城浩、元過激派の古賀勝の3人組で、国鉄に500万ドルを要求。
運転指令長の倉持はただちに運転士に連絡をとり、警察庁の須永刑事部長、公安本部長の宮下らと緊急対策本部を立ち上げる。
犯人たちは巧妙な手口で国鉄側を翻弄し、ついには500万ドルを手に。
一方で、爆破の恐怖に怯える1500人を乗せた『ひかり109号』は、息を呑む緊張感の中で広島駅を通過していくー。
キアヌ・リーヴス主演の『スピード(94)』のバスのエピソードの元ネタは『新幹線大爆破(75)』だった!
【リメイク版(25)137分】あらすじ
舞台は、青森から東京へ向かう新幹線「はやぶさ60号」
いつもどおり乗客を迎えていた車掌・高市和也。そんななか、『新幹線に爆弾を仕掛けた』と脅迫電話が入るところから物語は動き出す。
しかもその爆弾は、時速100kmを下回ると即座に爆発する仕組み。
高市たちは極限状況の中、乗客を守るために必死に対応する一方、犯人は爆弾解除と引き換えに1000億円を要求。
混乱は鉄道会社や政府、警察を巻き込み、はやぶさ60号は日本中を揺るがす存在となっていく。
JR東日本の特別協力を受け、実際の新幹線車両や駅施設で撮影されたというリアリティも話題に。
オリジナル版はどうだった?
実は私も、オリジナル版を見たのは4年ほど前。
新幹線アクションがメインなのかな?と思っていたのですが、意外にも犯人側のドラマ描写がかなり重厚。
スピード感やアクションで押すタイプではなく、ドラマ要素をじっくり積み上げることで重みを出していました。
それでも2時間半という上映時間をまったくダレずに見られたのは、やはり脚本と演出の力。
そして、本作が今も高く評価されている最大の理由は、ただのパニック映画ではなく、『新幹線に乗る一人ひとりの市民の命』を、現実と地続きに描き切ったからだと思います。
鉄道職員たちの汗と疲弊、上層部の板挟み、追い詰められていく犯人たち─。どのパートも嘘っぽさがなく、生々しいリアリティがありました。
……対して、リブート版はどうだったのかと言うと…。
2、Netflix版の良かったところ
爆破シーンの迫力
オリジナル版が作られた1975年当時は、当然CG技術などないので、アクション描写は基本的に現場のアイデア頼り。
それに比べると、リブート版では新幹線が爆発するシーンなどはやっぱり迫力が凄く、これは劇場で見たかったなぁと思ったところも。
ここは、今の時代の映像だなぁと素直に見応えを感じられました。
乗客たちのバリエーションの豊かさ
乗客たちのバリエーションも現代的で良かったです。
とりあえず文句言うクレーマー、YouTuber、話題の不倫議員、居場所を探す女子高生など。
『今、爆弾騒ぎが起きたら多分こんな人たちが巻き込まれるんだろうな…(・ω・)』という納得感はありました。
2時間強もあっという間
人間ドラマ、爆破アクション、司令室サイドのパートなど、絵面が適度に切り替わるので、2時間超えの上映時間も体感ではあっという間。
GWに家族で見る映画としてはちょうどよく、変に気まずいシーンもなく、安心して楽しめるエンタメ映画に仕上がっていたと思います。
無駄なシーンは一切省く!
そもそもの上映時間が長いため、あえてこういった構成にしたのでしょうがー。
尺稼ぎのような寄り道もなく、爆破予告→即座にお客様へ告知→関係者各位が続々と登場といった具合にサクサク話が進むので、良くも悪くも?展開は早く、テンポ良く進みます。
※ここから先はネタバレありで語っていきます。
まだ見ておらず『まずは作品を見たいかも…』という方は、ご覧になってから戻ってきてください…笑
そして、本作が楽しめてどうしようもなかったという方は、ここで引き返してください。笑
3、Netflix版の気になったところ
全員のキャラがテンプレすぎ
- 鉄道職員→必死だけど、ありきたりな使命感セリフ連発。
- 司令室サイド→上記に同じ。
- 乗客たち→それっぽい格好をした人たちが、それっぽい台詞を話します。
ほぼすべてのキャラクターたちが、ただ”役割をなぞるためだけ”に動いている印象でした…。
セリフが全部「どこかで聞いたことあるやつ」
- 「俺たちは守らなきゃいけないんだ!」
- 「アイツはいい奴なんだ!」
- 「絶対に止めるぞ!」
キャラの動きや台詞回しがわざとらしすぎて、「演技してます!」という劇団感…。
感情に訴えるようですべてが記号的なセリフにしかなっておらず。どのキャラにも”生身の実感がないので、胸に響かない(;ω;)
結果、役者たちも”もらい事故”
ゆえに、本来なら存在感抜群の俳優たちまで、ステレオタイプなキャラ付けの中で浮いてしまっており…。
それぞれ懸命に芝居をしているのは伝わるものの、『いや、これはたぶん誰がやってもキツイ…』と思わざるを得ない、”もらい事故劇場”。
前作との繋がりを担う重要な役どころでありながら、出演シーンが極めて少なかったピエール瀧が、最も被害が少なくオイシかったかもしれない(知らんけど)。
棒、突き刺さり事件
作中で特に衝撃だったのが、草彅剛の部下に起きた『棒貫通事件』。
列車事故の衝撃で、身体に鉄パイプのようなものがズボッと突き刺さり潔いほどに貫通。とんでもない出血量で明らかに致命傷レベルにもかかわらず、その後ほぼ放置。
そして、それはさておきな雰囲気で別のエピソードに移りー。ひと段落したところで、思い出したかのように高市が『…大丈夫だからな!』と声をかける超展開(・ω・)
本作の作風からも、まぁ助かるんだろうなとは思うわけですが。現場の『とりあえず大丈夫ってことにしておこう』感。
4、犯人の動機と事件の真相
衝撃の”犯人”の正体
中盤以降になると、主要人物がグッと絞られ(割愛)、主にスポットが当たるのは数名になります。
それでも、”犯人”には驚きましたよね…。
まさか、『イチ女子高生』だったとはー。
ただそうなると、疑問も出てくるわけで…。
何個もある爆弾を彼女がすべて持参して、仕掛けたの(重いよね)?
一体、いつ…?(見学の最中?)
そもそも………動機は…??
少女と父親の奇妙な関係
まず、犯人の少女と父親との奇妙な関係性。これが妙に”気持ち悪い”。
一見、ただの家庭内問題にも見えるのですが、父親が彼女に敬語を強要していたこと。また、彼女が発するセリフや表情からは、精神的にかなり支配的な関係があり、虐待があったことも分かります。
しかし、なんといっても彼女は、家に爆弾を仕掛けて父親を殺め…。
さらには、無差別爆弾テロまで起こそうとしているわけです。
それなのに、父親との関係性からどう”事件”に繋がるのか、どう少女に影響を与えたのかという最も肝心な部分がほぼ描かれないため、観客には疑問が消化不良のまま残される…。
嘘で塗り固められた世界が嫌になった云々…みたいなことも言っていましたが。
『…え、それだけで無差別爆破までする!?』
あまりに唐突で突飛な考えには、説得力がなく。ターゲットは父親だけでよくないの?という気も…(・ω・)
そして、ここで1つ重要な事実も判明。
少女の父親は、オリジナル版の犯人である、古賀勝を殺害した”刑事”だったのです。
そしてこれが、『もう1人の犯人の因縁』へと繋がってきます。
5、リブートではなかった?
もう1人の犯人
言っても、女子高生1人に”こんなこと”をするのは到底不可能…。
やはり、協力者がいました。
それが、ピエール瀧演じる爆破師の古賀。なんと彼の父親が、オリジナル版の犯人の1人である、古賀勝であった。
古賀勝は自害したのですが、少女の父(刑事)が『俺が射殺した!』と、ウソの手柄を立てて名声を得ており。
それを知った古賀が『ふざけんな』という具合にずっと怒りを抱えており、それが、少女のネット依頼に応じるきっかけになった…
……という、ものすごく小物感あふれる因縁だったのです(・ω・)
なので本作、ただのリブートだと思っていたら実はオリジナルの『続編』でもあったわけですね。
古賀を軸にしたストーリーにすれば良かったのでは?
SNSで知り合ったらしい2人は、それぞれの恨みが晴らせるということで、意気投合(?)
ただ古賀自身は、少女の復讐にはあまり興味がなさそうで『ま、俺も因縁あるし、爆弾作ってやるわ』ぐらいの軽いノリw そのため彼の出演シーンは極めて少なく、出てきても出てこなくても良いくらい薄い存在に…。
むしろ、前作との繋がりを考慮するのなら、彼を軸にしたストーリーにすれば良かったのでは?
なんとなくですが、本作『犯人は女子高生』という設定ありきで脚本を作っていったような気もします。そのほうが確かに、インパクトはありますしね。
どちらにしても、犯人側の背景や掘り下げが浅いので『共感できる絶望』には到底見えないという…。それなのに映画側は『シリアスな社会問題を描いてます!』って顔してくるので、ええええ…という。
6、『解決したよ』なラスト考察
もちろん、新幹線の乗客たちは全員助かります。
長らく棒が貫通したままだった、高市の部下ですが、無事助かってなによりです(・ω・)
少女に関しては、刑事が『これから君を担当する』と伝えるのみ。
彼女自身からは直接的な「後悔」や「開き直り」や「言い訳」などもあまり語られず…。(同級生たちを”皆◯し”しようとしてたんだよね?)
社会派サスペンスとしての厚みもなければ、娯楽アクションとしての爽快感もほぼなく…。
爆弾積んだ列車が走っているというのに、まったくハラハラしないという奇跡(爆弾積んでたの忘れてた)
オリジナル版が持っていた、大人の苦味、極限状況下の生々しさ、そうした重厚な空気感は一切なく。ステレオタイプなドラマをなぞっただけで終わってしまいました…(;ω;)
おそらく本作、リアリティよりも、事件そのものの『わかりやすさ』や『感情の爆発』に重点が置かれていたのだろうと。オリジナル版とは、そもそものターゲット層が違うのでしょうね。
しかし、リブート版の良かった点でも言ったように、これだけボロカス言っておきながら、時間が経つのはあっという間だったんですよ(これは本当)。
たぶん定期的に面白いイベントが起きてくれたので?私的に飽きることはなかったのだと。
──そんなわけで?『気軽にドキドキしながら見たい!』『イベント盛りだくさんで退屈だけはしたくない!』という方には、リブート版もアリなのではないかなと。
気まずいシーンもなし!安心して見られるエンタメ映画ではあるので、GWに家族みんなで見るにはちょうど良いかと思います(・ω・)
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