PR
当時、キャストとその内容からとにかく騒がれていたのですが、想像以上のストーリー展開に本当に!衝撃を受けました。しかも、犯人逮捕が話の核ではない『じゃないほう映画(本来の作品の趣旨ではない)』の先駆けでもあったんですね!これが今から30年も前の作品というのが信じられない…。
作品データ
【製作年度】1995年
【製作国】アメリカ
【上映時間】126分
【監督】デヴィッド・フィンチャー
【キャスト】ブラッド・ピット、モーガン・フリーマン ほか
【鑑賞方法】
Netflix、U-NEXT、Hulu など
(鑑賞時にご確認ください)
あらすじ
キリスト教の“七つの大罪”になぞらえた奇怪な連続殺人事件を追う二人の刑事を描いたサイコ・サスペンスで、アメリカ・日本ともに大ヒットを記録した。凝りに凝ったオープニングが象徴するように、デヴィッド・フィンチャーのスタイリッシュな画造りと、ブラッド・ピット&モーガン・フリーマンの渋い演技が光る一編。(allcinema ONLINEより)
年齢制限は?
R15指定なので、15未満の方はご覧になれません。
レビュー ( 2015・4・16の記事に加筆 )
1、90年代のサスペンスは凄かった!
1度目は劇場鑑賞し、このレビューは2度目の鑑賞時のものです。しかし2度目でも、まるで初めて見たときと同じように緊張しっぱなし!ラストを知っているにもかかわらず、胃が痛くなる始末。
名作ってやっぱり何度見ても変わらず名作なんですよね…。そして、自身の映画史初期にこの作品に出会えたことに感謝です。
私の地元の劇場では『セブン』と『12モンキーズ』が同時上映という、今思えばすごい2本立て。おそらく『12モンキーズ』が1本目だったとは思うのですが、そこまでの休憩もなく2本目が上映って…情緒がヤバすぎますw
キリスト教の『7つの大罪』をモチーフにした猟奇連続殺人事件。
そんな事件を追うのが、血気盛んな若手刑事・ミルズと退職間近のベテラン刑事・サマセット。このテのコンビって、本作がそのお手本なのではないかと。
そしてサスペンスではあるのですが、実は人間の弱さと欲を生々しく描いた作品でもあります。
アル・パチーノやデンゼル・ワシントンが候補に挙がっていた
企画段階では、アル・パチーノがサマセット役に、デンゼル・ワシントンがミルズ役の候補に挙がっていたそう!(wikipediaより)
パチーノは、ハマりそうな気もしますが?デンゼルは違うかなぁ!?笑。ミルズは血気盛んなタイプでなければならないので、デンゼル様だと落ち着きすぎているし、デンゼルショーになってしまうw
2、見たことのない殺害方法
7つの大罪は『暴食』から始まります。
銃一発で殺すことが出来るのに、なんとスパゲティを食べ続けさせるスパハラ死という、あまりに残虐かつ卑劣なやり口。
そして『強欲』『怠惰』と、ミルズたちをあざ笑うかのように犯行を重ねていく犯人。
…が、物語も中盤で意外なところから犯人を割り出し、なんとあと一歩というところまでミルズが追い詰めます(!)
しかし、ここぞ!というときに逆に犯人に銃口を突き付けられてしまうミルズ…。ここで犯人はミルズを殺すことも出来たのですが、あえてそれをせずに立ち去ります。
人間としては魅力的でも、刑事としては不完全であるミルズというキャラクター。
これが後々とんでもない悲劇を生むことになろうとは-。また、犯人の家を突き止めてしまったことにより、事態は大きく変わってしまうのです。
3、物語の真髄は犯人逮捕ではなく…
その後、第4、第5の殺人である『肉欲』『高慢』が立て続けに起き、『嫉妬』『憤怒』が残されている中…犯人がまさかの自首!
初めて見たときは『これ絶対、犯人じゃないだろう…!?』と思いました。それじゃ面白くないし、と。…しかし、物語の真髄はもはや犯人の逮捕ではないのです。
犯人が自首した時点で、物語は謎解きサスペンスから一転、ミルズを試す最大の試練の物語に変わってしまうのがこの作品の凄いところ。
最近私がよく言っている『じゃないほう映画(本来の作品の趣旨ではない)』の先駆けでもあったのですね。
そうして犯人に連れられ、迎えた『嫉妬』と『憤怒』の結末-。
2度目に見ても…箱の中身は見せないと分かっていても!見るのがしんどくてなぜか涙目に…。
そして当時は何とも思わなかった、むしろこれまで特別演技が上手いと思ったことのない(やめろ)グウィネス・パルトローがとっても良かった!ナチュラルで初々しい印象でした。
サマセットだけに妊娠のことを打ち明けるなど、彼のことをとても信用していた彼女…。結局ミルズにはまだ、妊娠のことを知らせていなかったのもこれまた切ない。
彼女をサマセットに絡ませたのは、ラストでの悲劇でより一層感情移入させるためだったのですね…。
本作の共演をきっかけに、ブラッド・ピットとグウィネス・パルトローが交際に発展、婚約にまで至りました。(結婚はしませんでしたが)
4、結局は犯人が『勝ち』なのか
刑事として犯人を生かすことが出来ず、結局『憤怒』に負けてしまったミルズ…。
しかし彼のキャラクターを読んでいた犯人は、こうなることを予測していたんですよね。
皮肉にも不完全なミルズのキャラクターが、犯人の完全犯罪に加担。自身が殺されることによって7つの大罪を完遂という…本当~に狂った犯人でした。
当時も思いましたが、このときのブラッド・ピットの、何度も犯人に銃口を向けては止め…でも向け…(!)という葛藤の演技は、もはや演技ではありません。
また犯人役を演じ、本作が代表作ともなったケヴィン・スペイシーも、新たな一面を見せ話題に。
外見はいたって普通で、言っていることも見方を変えれば決して間違っているわけではない…『見た目普通な知能犯』の先駆け的キャラクターでもありました。
映像や編集が、今見ても凄い!
さらに、これらのストーリーをより一層深いものにしたのが、陰鬱な雰囲気漂う全編暗めの映像。
そして当時も斬新だった、今見てもカッコよすぎるオープニングとエンディング。特に、通常は上へ上がっていくエンドロールが、逆に下りていくのは驚きました!
間違いなくデヴィッド・フィンチャーの…いや、映画史における最高傑作と言っても過言ではないかと。
ケヴィン・スペイシーのその後
ハリウッドを追放されたケヴィン・スペイシー、巨額の借金で家を失ったことを明かす。チャールズ国王の励ましを匂わせる発言も(SPUR .JPより)
『♯Me Too運動』以来、同じような罪で社会的にお亡くなりになられた方々がたくさんいますよね…。ただ彼の場合、昨年に無実を勝ち取ったのですが、俳優業復帰への道は厳しいそうです。
今年、シャロン・ストーン(66)やリーアム・ニーソン(72)らハリウッドスターたちが、ケヴィンの俳優業復帰を認めるよう求めたらしいですが…。
5、この頃のフィンチャーは凄かった
しかしやっぱり!フィンチャーは90年代が最もノッてましたね。なんたって『セブン』のあとに『ゲーム』『ファイトクラブ』ですよ!神掛かってます。
ちなみに、私が最後に見たフィンチャー監督の作品といえば『ゴーン・ガール』(これももう10年も前の作品なんですね!)。最新作である『ザ・キラー』はなんだかんだ見ていないのですが。
ちなみに最新作の情報はネットにはなさそうでした。
もうこんなサスペンスは撮らないんですかね…私も大好きな監督の1人ですし、またこんなサスペンスを作ってくれること期待してます!
犯人役の候補にミルズの上司役の俳優が挙がっていた!
2018年に亡くなられた、R・リー・アーメイ。
オーディション時はミルズの上司を演じたアーメイが犯人役を演じたらしいのですが…
R・リー・アーメイがジョンを演じて観せたが、フィンチャーやピット、フリーマンは「なんというか、容赦が無さ過ぎる」とコメント(wikipediaより)
…だそうで。確かに、見るからに悪人顔のアーメイ氏はあまりにガチすぎるw
【ランキングに参加しています。クリックしていただけたらはげみになります】