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【エコール】可憐なのに怖い…管理される少女たちの異色作【ネタバレ考察】

一見すると、森の中にある不思議な学校で少女たちが静かに暮らす、可憐で幻想的な物語。大きな時計の裏側が秘密の劇場への入口になっていたり、学校の地下通路が駅のホームへ続いていたりと、ダークな絵本のような世界観もたまらない…。――なのに、ずっと不穏で落ち着かない…。美しい映像描写に反し、少女たちが辿る残酷な結末とは―? R18指定になった理由なども含めて考察します。

作品データ

【製作年度】2004年
【製作国】ベルギー/フランス
【上映時間】121分
【監督】ルシール・アザリロヴィック
【キャスト】ゾエ・オークレール
マリオン・コティヤール ほか

あらすじ

人里離れた美しい森の奥深く。外界から隔離された大きな屋敷。ある日、ここに6歳の少女イリスが棺の中に入れられ運ばれてきた。そこは、6歳から12歳までの少女たちが暮らす謎めいた学校。大人は年をとった召使いと2人の女性教師だけ。男性はいない。そんな環境の中、新入生のイリスも他の少女たちと共にダンスと生物の勉強に明け暮れるが…。(allcinemaより)

年齢制限は?

公開時はPG12だったという情報もあるのですが、アマプラではR18指定となっています(詳細は記事内で)。

どこで見れる?

見放題課金
Amazon
プライム
U-NEXT
Netflix
Disney+
※配信・レンタル状況は 記事作成時 のものになります。鑑賞時にご確認ください。

レビュー( 2013・2・20の記事に加筆 )

1、唯一無二の独特な世界観

ただの”美少女映画”ではない

これまで配信にはなかった本作がアマプラで配信されたということで、10年以上ぶりに見返してみました。

初見では、その美しい映像と不思議な世界観ばかりに興味を惹かれていたのですが、改めて見るとかかなり恐ろしい物語なのだという事がわかりました。特にラストシーン…。

本作、ジャケットの美しいイメージだけの映画ではありません。中身はかなり不穏で、管理社会や選別といったテーマを含んだ寓話的な物語。

また、「ストーリーを追う」というよりも「空気感に浸る」映画でもあります。

起承転結、明確なカタルシスを求めてみると「…え、何も起きなくない?」「結局なに?」となります。しかし、この世界観が好きな人には刺さりまくる唯一無二の作品に。

監督はギャスパー・ノエのパートナー

本作の監督ルシール・アザリロヴィックは、”あの”ギャスパー・ノエの妻でもあります。なるほど納得というか、「独特すぎる感性を持つ者同士、そりゃ合うよね…」と思わされます。

おとぎ話のような美しい世界観

舞台は、外の世界から完全に切り離された、森の中にある“学校”。ここで暮らしているのは、6歳から12歳までの少女たち

数十人ほどの生徒たちは、校内に併設された寮で共同生活を送っていますが、教師も2人だけで、使用人も含めて大人はすべて女性。この学校には、男性の姿が一切ありません。

時代も国も明かされず、テレビやスマホのような現代的なものも一切登場せず。
細かな設定や説明を排除したことによって、現実の世界でありながらまるでリアリティを感じさせない童話のような物語が出来上がっています。

キャッチコピーにもある、「(彼女たちは)どこから来て、どこへ行くのか」という問いは、まさに本作の異様さを表しています…。

ダーク絵本な設定がたまらない

さらにワクワクさせられるのが、世界観の作り込み。

大きな時計の裏側が秘密の劇場への入口になっていたり、学校の地下通路がそのままどこかの駅のホームへ続いていたりと、とにかく秘密めいた仕掛けがたまりません。

列車には、彼女たち以外の乗客は存在せず、ここだけが別世界のような特別感…。子供のころ、初めて『おしいれのぼうけん』を読んだときのような高揚感。

また本作の特徴でもある、独特すぎる映像感覚。カメラはやたらと近かったり、ある角度からしか映さない

全体像を見せないカットが多く、観ている側はいつの間にか「見てはいけないものを見ている」ような気分になります。これは露骨というより、視線そのものを意識させるような演出

R18となっている理由

ここでは詳細は伏せますが、一部にセンシティブな映像表現が含まれていることが、アマプラでR18指定となっている理由のひとつだと思われます。

2、教育ではなく「管理施設」だった

少女たちが暮らす“学校”のルール

この学校について分かっていること、そして少女たちが守らなければならないルールは、実はそれほど多くありません。

  • 服や小物はすべて白で統一され、学年ごとに結ぶリボンの色が異なる(髪型はツインテールのみ)
  • 少女たちは、学校の敷地から一歩も外へ出ることを許されていない。
  • いわゆる「勉強」はなく、学ぶのは自然の摂理やバレエのみ。
  • 青いリボンを結ぶ年齢になると、校長に選ばれた1人だけが外の世界へ行くことができる。
  • 学校の地下には秘密の劇場があり、少女たちのバレエを観に来る客からのお金で、学校が成り立っている。

どれも表向きは静かで整ったルールですが、よく考えると引っかかるものばかり…。

また「服従こそが幸福への道」という教師の教えは、あまりに洗脳的です。

マリオン・コティヤールが出演

バレエ講師役で、メジャーになる前のマリオン・コティヤールが出演しているのですが、ナチュラルな美しさが際立ってます。そして、少女たちの置かれている現状に陰ながら涙するシーンも…。

「連れて来られる」少女たち

本作を象徴するシーンとして、少女たちが“まるで棺のような箱”に入れられた状態で、どこからか運ばれてくる描写があります。

自分の意思とは無関係にこの場所へ連れて来られ、理由も分からないまま、同じ生活を繰り返していく。最初こそ「いつ家に帰れるの?」などと問うたりもしますが、わりとすんなりとここの生活を受け入れます。

そして最年長になると「卒業」として、少女たちは一斉に外の世界へと放たれるのです。

一見すると穏やかで美しい世界。けれど、その内側にはずっと説明されない違和感が…。

子どもたちは「売られた存在」なのか?

もちろん、これに関しての説明はありませんが、それを匂わせるような背景も。

  • 親や保護者の存在が完全に不在
  • 教師たちは感情を持たず、指導者として生徒に接する。
  • 校長=外部から来る“選別者”
  • 「今年はきれいな子が二人いる」という商品目線の台詞

何らかの事情で“手放された子どもたち”、あるいは貧困・孤児・取引の対象になった子どもたちと考えるのが最もしっくりきます。


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3、美の選別と商品化

謎の”うなじ”チェック

エコールで、かなり違和感を感じる瞬間のひとつが、「青リボンの学年の選抜」です。

青いリボンを結ぶ年齢になると、少女たちは校長の前に立ち、身体をじっくり観察されます。注目されるのは、表情や才能よりも、うなじの長さ、首のライン、手、歯といった外見的な部分。

表向きはバレエの審査のようでいて、どう見ても「美しさの確認」。人格や努力ではなく、“見る価値があるかどうか”を測られている空気が漂っているんですよね…。

ましてや、うなじの長さってなに?という…聞きなれない謎の選別。

2つの”卒業”

青リボンの学年の1名の選抜は、最年長まで待たずに、“特別な需要のある場所”へ先に連れて行かれるための枠のようにも見えます。

地下の劇場に客が訪れることを考えると、この選抜が「保護」ではなく、取引に近いものである可能性も否定できません。

つまりこの学校では

  • 青リボンの年齢で”特別”に選ばれる子
  • 選ばれず、最年長で通常の”卒業”をする子

が、実は密かに振り分けられているんですよね…。

ここでは「守られている」ように見える少女たちも、実はずっと大人の都合で価値を測られ続けている存在なのだと、ここでハッキリしてきます。

4、卒業という”放流”

紫リボンは一斉退場

最年長になるとリボンの色が紫に変わります。この紫リボンの少女たちは、青リボンのような個別の選抜はありません。

ある日突然、全員まとめて「卒業」。地下の駅から列車に乗せられ、外の世界へと放たれます。

長いあいだ閉じ込められていた場所を出る…一見すると、やっと自由になれたようにも見えるシーンですが、ここには喜びも達成感もありません。

彼女たちはただ、順番が来たから出されただけ。それは退場であって、旅立ちとは少し違います。

自由ではなく、”役目”終了

…ここが、この映画の最も怖いところかもしれません。

少女たちは、

  • 社会のルールを知らない
  • 他人との距離感も分からない
  • 危険を避ける術も教わっていない

そんな状態のまま、突然“外”に放り出されます。

これまで徹底的に管理してきたのに、最後だけは驚くほど無責任。守っていたわけでも、育てていたわけでもないことが、ここでハッキリします。

卒業は、救済ではなくただの役目終了

この学校は、少女たちの未来を考えていた場所ではなく、一定期間、必要な状態で管理するための場所だった――そう思わせるラストなのです。

5、ラストの残酷さ…そして好奇の目

無菌室→汚染世界へ

長年閉じ込められていた学校を出て、ついに外の世界へ足を踏み出した少女たち。

噴水広場へとやってきた彼女たちは、靴や靴下を脱ぎ、あたりまえかのように噴水の中へと入って水浴びを楽しみ始めます

服装も、立ち振る舞いも、明らかに周囲とズレている彼女たちに向けられる周囲の視線。

ここで印象的なのが、少女たちに近づいてくる男の子たちの存在。彼らの視線は、優しさでも好意でもない「なんだこの子たち?」という好奇の目

これは恋愛の始まりではなく、管理されていた存在が、今度は社会の視線に晒される瞬間なんですよね。

学校の中では管理され、外に出たら消費される。場所が変わっただけで、彼女たちの立場は何も変わっていない。

その事実を突きつけるこのラストは、静かで、美しくて、かなり残酷です…。

だからこそ『エコール』は、物語としてだけではなく、感覚としても残り続ける映画なのだと思います。

同じ原作の映画化『ミネハハ』とは?

『エコール』と『ミネハハ 秘密の森の少女たち(05)』はジャケットが非常によく似ていますが、エコールが前年公開で、続編ではなく同じ原作をモチーフにした別作品

ミネハハは少女たちの年齢設定が高く、エコールで曖昧だった謎を比較的明かす一方、サスペンス性と残酷描写も強めで、LGBT要素があります。

オブラートに包んだ不思議さのエコールに対し、ミネハハはそれを剥がして生々しさまで見せましたが、個人的にはやはりエコールの世界観の方が好みでした。

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