
映画化を知ったときは思いましたよね。『…ビスケットが?意味わからんw』と(・ω・)しかしいざ公開が迫ると、大人が泣けるらしい!?という噂を聞きつけ、劇場へ…。もはや、たべっ子どうぶつとか関係なく(え?)単体のどうぶつアニメとしてのクオリティにビックリ…。” かわいいだけと思って油断してたら号泣した人間代表”として、『たべっ子どうぶつ THE MOVIE』ネタバレなしでレビューしたいと思います。
作品データ
【製作年度】2025年
【製作国】日本
【上映時間】90分
【監督】竹清仁
【声優】松田元太、水上恒司
髙石あかり、藤森慎吾 ほか
あらすじ
おかしと人間が暮らすスイーツランドの人気アイドル“たべっ子どうぶつ”。しかし、この世からおかしを排除して世界征服を企む“わたあめ軍団”が出現し、たべっ子どうぶつの次世代エース、ぺがさすちゃんがさらわれてしまう。戦闘力ゼロにもかかわらず、仲間を助けるために立ち上がり、過酷な救出ミッションに挑むたべっ子どうぶつたちだったが…。(allcinemaより)
対象年齢は?子供向け?何歳から?
本作に年齢制限はなく、もちろんどなたでも鑑賞可能です。…とはいえ「対象年齢は?」と聞かれると、少し難しいところで。
見た目や設定上は“子供向け”ではありますが、小学生以上であればストーリーもキャラクターの心情も、しっかり楽しめる内容になっています。
ただし本作には、大人が見ても心を揺さぶられるような感情描写や深いテーマが描かれているため、『すべての展開を理解できるかどうか』という点で言えば、“何歳から”とは一概には言い切れません。
実際に劇場では、2〜4歳くらいの小さなお子さんも何人か見かけましたが、中盤で『おうちかえる〜』という声が聞こえてきたりもしたので…笑
もちろんこれには個人差があるかと思いますが、上映時間は90分になるので、目安としては“集中して鑑賞できる年齢”がひとつの基準になるかもしれません。
どこで見れる?
5月1日(木)より劇場公開中!
▼上映劇場はこちらからどうぞ
たべっ子どうぶつ THE MOVIE 公式サイト
声優が豪華ですごい!
安心安定の大塚明夫や関智一などの大御所に加え、本業かというくらい声優としても定評のある藤森慎吾。
しかし私が今回最も驚いたのが、”ぺがさすちゃん”を務めた髙石あかり!!それを知っていて見たのですが、それでも髙石あかり感まったくなし!なんというか、声の出し方がもう声優さんのソレなんですよね…。
レビュー ( 2025・05・02 )
1、結論。今年いちばん泣けるアニメ
ギンビスから予想外の贈り物

…いや〜、驚きました、想像以上で。
事前に評判は聞いてはいたものの、とはいえビスケットだし、どうやって話膨らますねんwと。…半信半疑のまま予告編をチェックすると—
『いや、ビスケットちゃうんかい(・ω・)』
てっきりクッキー型の動物キャラがドタバタする話かと思ってたので、もうこの時点で裏切られた感MAX(でもこれが実は伏線)
そんなわけで、気づけば劇場へ─。
近年、“こねくりポリコレ自爆型”の某海外アニメに疲れつつあった中、まさか日本から、しかもギンビスから、こんな予想外の贈り物が届くとは…(;ω;)
(★記事の最後の章で、映画化にいたった経緯などを紹介しています)
あえて本気を出した映画化
正直、題材だけで注目されるのは間違いないですし、ちょっと可愛く仕上げて子ども向けに全振りしても、十分成立するはず。
でもこの作品、明らかに“分かってる側”が作ってます。『中身が良すぎて“たべっ子感”が追いつかない』というギャップに賭けてる節すらあるんです。
そして、そんな奇跡のミスマッチが、新しい日本アニメの傑作を生み出しました。
真のターゲットは大人だった!
もちろん、現役キッズでも楽しめる作りです。でも本当に狙っているのは、かつてたべっ子を食べていた私たちの“情緒”そのもの。
『子ども向けでしょ』と油断した大人を、お菓子の顔をした感情の獣がぶん殴ってきます笑。
絵本のようなビジュアルに隠れてるのは、ノスタルジーと切ない痛み。
- 子どもの頃の思い出
- 無垢な時間の終わり
- “忘れたふり”をしていた感情の掘り起こし
まさに、たべっ子ならぬ“泣きッ子どうぶつ”▼;ω;▼
ピンクの箱に泣かされる未来が来るとは
特に終盤の感動の追い打ちはひどく…。
『…そうだったんだね』で泣き、
『…え、そうだったの!?』で泣き、
頼むからやめてくれ…と。ハンカチの角で目頭を押さえすぎて、目頭に痛みが…(物理)。
もうあのピンクの箱を見るたび、どうぶつたちのがんばりを思い出してしまうし、平常心でたべっ子どうぶつを食べる自信がありません。(※子どもの頃はキディランド派だったのは内緒)
これはもう、ギンビスによって仕組まれた菓子罠だと思ってますw
2、サクッとあらすじ
イマどきの現代が舞台

(C)ギンビス (C)劇場版「たべっ子どうぶつ」製作委員会
森の中で切り株を囲み、どうぶつたちのゆかいな日常が描かれるのだと思っていたら…大まちがい!
物語の舞台は、どうぶつたちが現代社会で人間と共に暮らす“スイーツランド”。
そこでは、お菓子と人間が一緒に生活しており、人気アイドルである”たべっ子どうぶつ”たちは、1年間のコンサートツアーを終えて故郷に帰ってきます(まさかのツアー設定…笑)。
しかし、街の様子がどこかおかしい。
いたるところに謎のピンクのモコモコが張り付き、人影はなく…。
どうやら、たべっ子不在の間に『わたあめ軍団』が現れ、わたあめ以外のお菓子をすべて禁止!世界征服をもくろんでいた!
さらに、たべっ子メンバーの中でも圧倒的な人気を誇る“ぺがさすちゃん”が誘拐されてしまい…
たべっ子どうぶつたちは、彼女を救うために立ち上がる!!
…………このあらすじだけ聞くと正直『フツーじゃね?』って思いますよね?
でも今はそれで大丈夫です……笑。
3、たくさんの見どころ
キャラが動いて喋る!立体化した感動

これまでは『単なる可愛いお菓子』でしかなかったものが、しゃべり!動き!キャラクターが吹き込まれ、どうぶつ同士の絡みまで(言い方)見せてくれるわけですよ…。
しかも、”らいおんくん”や”さるくん”などすべてのキャラクターたちが『こんな声で、こんなことを言うだろうな?』が見事に具現化されています。
(ただ”かばちゃん”に関しては、一定の年齢以上の人はあちらの”カバちゃん”がチラつくわけですが…)
もちろん平面のペラッペラではなくしっかりと厚みもあるので、キャラクターの後ろ(とか横)ってこんな風になっていたのか!という妙な感動も。
3D映像がディズニークオリティ

映像が3Dということは知っていたものの、やはりあのピンクの菓子パケの平面イメージが強くw なのでこんなにも映像が美しいとは思わず、まずはそこに感動しました(なんだかかなり得した気分に)。
海外のようなお城や街並みは、どうぶつさえ出てこなければ?一見ディズニー映画かと思ってしまうほど。正直、たべっ子どうぶつでやるにはもったいないくらいの…(自粛)。
うまく言えないのですが、たべっ子どうぶつである必要がないのに、たべっ子どうぶつなのが最高!という、矛盾を愛する?作品なのです笑。
まさかの『人間』が登場!
あと、かなり驚いたのは『人間も出てくるんかい(・ω・)』ということ。
もちろんメインはお菓子たちですが、人間も物語のなかではかなり重要なキャラクター。
人間のビジュアルは、ミニオンでお馴染み”イルミネーション”にも近く。
日本人とも外人ともつかないビジュアルは、観客の没入を邪魔せず、感情を乗せられるデザインとして実はめちゃくちゃ計算されてた気がします。
笑える!ニヤリとさせるギャグセンス

このテの子供向けアニメにありがちな、しょうもないギャグがないのもポイントw
コメディは合うものが少なく、いつもほぼ真顔の私ですが(・ω・)?そんな私でも思わずニヤニヤしてしまう程度の笑いが散りばめられていました。
特に、わたあめで顔が埋め尽くされていたかばちゃんに誰も突っ込まないというスルー芸はレベル高いですwまさかの本人も無言というw(このシーンがめちゃくちゃ可愛い)
ギャグもシリアスも感動もイケるアニメはなかなか少ない!
敵の攻略法が新しい!ラストがやさしい理由

これまでに、洋画・邦画・アニメ含め、数々の敵に立ち向かう主人公たちの姿というものを見てきましたが…。
『…コレがあったか!こうくるのか!』と思わず笑ってしまうような展開は、子供の夢を壊さない、なんともギンビスらしい敵の攻略法!
…私も”コレ”をやられたらイチコロです(;ω;)
夢のコラボ炸裂!お菓子フェス
カラムーチョ、タラタラしてんじゃねーよ、よっちゃんイカ、ポリンキー(かなり良い役どころ)など、ギンビス以外のメーカーのお菓子の登場も盛りだくさんで、とっても楽しいです★
ちょっと可哀想な役どころのクマのグミ?の名前が分からなかったのですが…。あれも実際にあるものですよね?
ちょっとだけ、ディズニーの『シュガー・ラッシュ』っぽい世界観でした。
『お菓子業界全体を盛り上げたい』というギンビスの想いから実現したもので、メーカーの垣根を越えた取り組みとなっているそう。
4、子どもより大人が泣ける理由とは?
大人もドキッとする普遍的テーマ
たべっ子どうぶつの世界は、一見すると『かわいいキャラクターたちが繰り広げる楽しい冒険』のように見えます。
でもその中には、大人になった今だからこそ刺さる”感情の葛藤”がぎゅっと詰まっているんです。
たとえば—
- つい誰かを羨ましく思ってしまう気持ち
- 怖くても逃げ出さずに踏ん張る勇気
- 自分でも気づかないまま心に残っていた、小さな頃の傷あと
- すれ違っていたふたりが、少しずつ心を通わせて“親友”になっていくまでの時間
- 実はずっとそばで見守ってくれていた仲間の存在
- そして、驚くような真実が明かされたときに、それを否定せず受け入れてくれる優しさ
どれもセリフや演出で”ドン”と押しつけてくるわけではなくて、ふわっと静かに、でも確実に心に届いてくるんですよね。
あんなに可愛いキャラクターたちが、大人でも言えないような名言をサラッと吐くシーンに、思わず泣き…。
こんなにもメッセージ性が強く、深い物語だとは思わず驚きました…。
子供にとっては”いつか”のために
そして―もしかすると今は、小さな子どもにとってはちょっと難しく感じる部分もあるかもしれません。
でも、この作品に込められた感情や言葉たちは、きっと心のどこかに静かに残って、いつか何かに悩んだときにふと思い出せるものになるんじゃないか…そんな気がしています。
『これを見ておけば、きっとやさしい子になる』そう思わせてくれるような、やさしさの種がたくさん詰まった物語でした。
5、映画化はギンビス社長の夢だった!
ーそもそも、なぜ今たべっ子どうぶつが映画化されたのだろう?と、少し調べてみると。
- 1978年発売の老舗ビスケットで、発売から40年以上というロングセラー。しかし平成以降は地味な?存在だった…。
- …が!Z世代の間で2019年ごろからじわじわと再熱し始め、可愛すぎるとSNSで拡散。キャラグッズ・カフェコラボ・アパレル展開まで!(私もビレヴァンでグッズを手に取りました笑)
- 『たべっ子どうぶつ』のお菓子メーカーギンビスの三代目社長にとって、映画を作ること自体が長年の夢だったそうで、およそ5年間の計画を経て、映画化にいたったんだとか!
つまりこの映画は、単なる企業のプロモーションではなく、“本気の愛”と“長年の夢”がつまった1本だったということ。
その想いがあったからこそ、子どもたちだけでなく、かつて子どもだったすべての大人にも届くような、“あたたかくてまっすぐな感動”が生まれたのだと思います。
…で、泣いたあとにまず検索したのがグッズ。普通に集めたくなります(笑)。
▼つい欲しくなる、たべっ子グッズたち★