
今でこそコンプラということがよく言われますが、そんな言葉も聞き慣れない頃に製作された、にわかには信じ難い実話の映画化。電話1本で相手を警察官だと信じ込み、皆が『犯人』に従い、逮捕者まで出してしまう…。しかも、10年間に同様の事件が70件。一体なぜ、そんなことが起きたのかー。10年ぶりに見返してみたのですが、今も変わらず、やっぱり…相当な!胸くそでした…。
作品データ
【製作年度】2012年
【製作国】アメリカ
【上映時間】90分
【監督】クレイグ・ゾベル
【キャスト】アン・ダウド
ドリーマ・ウォーカー ほか
あらすじ
2004年、米ケンタッキー州のファーストフード店に警察官を名乗る男から電話があり、従業員だった少女が窃盗の濡れ衣を着せられ、身体検査と称した行為を強要された事件を映画化し、権威へ服従してしまう人間の心理を描き出したサスペンス。(映画.comより)
年齢制限は?
R15指定なので、15歳以下の方はご覧になれません。
どこで見れる?
見放題 | 課金 | |
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U-NEXT | ● | ー |
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hulu | ー | ー |
Disney+ | ー | ー |
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レビュー ( 2014・01・27の記事に加筆 )
1、元ネタは70件も起きた信じ難い事件

アメリカで実際に起きたという、あまりに信じ難い事件を基に作られた本作。
初めて鑑賞したのは10年ほど前で、当時も『映画で久々にこんなにも具合が悪くなった…』とレビューしていたのですが。
こちらのブログでレビューするにあたり、10年ぶりに見返してみたのですが…これはもう…。
今見てもまったく変わらず!相当な!…………胸くそでした…………。
現在Filmarksでは2.9と評価は低いのですが、本作の場合は映画に対してというよりも『実在の事件』に対する評価が多い印象ですね。
実話を基にした作品というのは、映画の出来云々でなく、事件に対する評価になってしまいがちです。
……私も、あまりにもな理不尽さに腹が立って腹が立って…。これが事実ということに、信じられない思いも…。
果たして、その事件の概要とはー。
アメリカ合衆国で2004年に犯人が逮捕されるまでおよそ10年間続いた一連の事件の総称。犯人はレストランや食料雑貨店に電話をかけて警察官を自称し、「警察への協力行為」の名のもとに店長らを誘導、女性店員に対し不当な身体検査をしたり、その他の行為をするよう仕向けた。(wkipediaより)
なんでも、狙われた店の多くは小さな田舎町のファストフードレストランだったそうで、一連の犯行は70件にも上ったのだそう(!)
本作では、Mでお馴染みのファーストフード店で起きた事件にスポットが当たっています。そしてこの事件による裁判で、同ファーストフード店が命じられた損害賠償額、なんと6億円…。
監督のクレイグ・ゾベルは『ザ・ハント(20)』を撮った人なんですね!まったくカラーが違います。ちなみにこちらは、ホラーかと思ったらブラックコメディのようなテイストで個人的にはあまりハマらず…笑
2、はじまりは1本の電話

物語は、”警察を名乗る男”からかかってきた1本の電話から始まります。
女性店長が電話に出ると『そちらの従業員の女性に、客の金を盗んだ容疑がかかっているので、その場で身体検査をして欲しい』という趣旨の内容。
一見、これを信じるのか…(!?)とも思ってしまうのですが、これが非常に巧妙な話術で、店長を含めお店の関係者すべてを信じ込ませてしまうのです。…もはや、洗脳ですね。
犯人側も、こう聞かれたらこう返すというしっかりとしたマニュアルがあるので、店長がおかしいと思って聞く質問にも間髪入れずに答え、すぐに別の質問を投げかける。
基本、ずーっとこの繰り返しで会話を誘導していきます。
また、話しながらところどころ吹き出すような素振りを見せる犯人が、本当に!腹立たしい…。自宅のキッチンで食事を作りながら電話に応じる手慣れたこと。
3、あり得ない身体検査

容疑がかかっているベッキーが、濡れ衣だと興奮状態で話すと『落ち着いて話せ』。
少しでも反論すると『こちらは法の番人なのだから、敬意を持って話せ』。
店長には『事件を穏便に済ませたい。連行すると一晩拘置され、連行されたら起訴される確率は9割。そこで脱がせて検査すれば話は早いし、彼女のためだ』と言って、検査まで持っていくのです。
また、『ベッキーの兄が麻薬がらみの事件に絡んでおり、現在彼女の自宅を家宅捜索している。警察がそちら(店)へ行くまでにベッキーを見張っていて欲しい』と、何も身につけていない状態で彼女を待機させ…。
女性店長をはじめ、他の従業員(男性を含む)、極め付けは女性店長の婚約者までもに彼女の『身体検査』をさせるのです。
その”通話時間”、およそ3時間半。
皆がずーっと、何かがおかしいと思いながらも!最終的にこんなところにまで行き着いてしまう恐ろしさ…。
4、店長が戦犯…?

一体どこまでが事実に基づいているのか分からないので、あくまで本作のなかでのことを言いますが。
…これに関しては、店長が戦犯ですよね(!?)
最初こそ、電話口で涙を見せ同情的な姿を見せていた店長ですが、次第に店が忙しくなってくるとベッキーへの態度も一変。
『…お願い、もう止めさせて(!)』と懇願する彼女に『もう少しだから。(警察がいつ来るかなんて)私だって知らないわよ!』とキレ始める。
変わるがわる、色んな人物を”検査”に送り込んでいく店長の姿は、もはや作業のよう。同じ女性なのに、なぜこんなことが出来るのでしょう…!?
女性が行う身体検査までは、百歩譲るとしても…何も身につけていない女性と男性を部屋に2人きりにさせるって、ど〜う考えても!絶対に!あり得ません。
ましてや、犯人に『誰か信頼できる人物を…』とそそのかされて、自身の婚約者まで呼び出すのです。
『ただ、見張りをさせるだけだ』という”警察”の言葉を信じて。
最終的にはやはり”見張り”を命じられた、店の業者の男性が『こんな命令は絶対におかしい!』と。
ようやく店長が警察へ確認の電話をし、事態は発覚することとなるのです。
5、犯人の素性

(C)2012 Bad Cop Bad Cop Film Productions, LLC
初めて見たときは、犯人は、ベッキーか店の関係者に何らかの恨みがある人物なのだと思っていたので。単なるイタズラだったとは驚きました…!
劇中での犯人は、まだ小さな子供もいる良き父という人物像で、それなりの企業に勤めているようでしたが。
実際の犯人はというと…。
アメリカの刑務所・収容所運営会社であるコレクションズ・コーポレイション・オブ・アメリカCCA)の従業員であったデビッド・スチュワート(当時37歳)が逮捕された (wikipediaより)
わざわざ現場を下見し、事前に入念にシナリオを練っていたのであろう犯人。ここまで手はずを整える労力に、ある意味感心。事件に繋がっただけでも70件ということを考えると、おそらくとんでもない数の電話をかけていたのでしょう…!?
なんと言っても、自身は”現場”を見ることがないのに、その場を想像して愉しむという…色んな嗜好の持ち主がいるんだなぁ(!?)と…。
6、店長も婚約者も刑罰

事件後、店長は部屋の防犯カメラの映像を見て、ベッキーと自身の婚約者の間に見張り以上の行為があったことを知り、婚約を解消したそう。
ラストのインタビューシーンで店長は『私も少なからず被害者。あの状況なら皆がそうする』と言っていましたが、うーん、いやぁ〜…これはなんとか防げた事案なのではないかと…。
ただしかし、全米では10年間に同様の犯罪が70件ですからね…笑!?逆に、10年間も警察が捕まえられなかったのもどうなんだ…という気もしますが。
もちろん映画では描かれていない部分もあるでしょうし、私が実際に犯人と電話で話したわけでもないので強くは言えません…。
正直、この作品から『…これなら騙される、仕方ない!』…とはなりませんでしたが。
これだけ多くの人たちが騙されたことを考えると、やはり警察という権威ある肩書には逆らえない『服従の心理』ということなのでしょうか…。
女性からしたら本当に耐え難い描写があるのですが、wikiを見てみると実際の事件はさらに驚愕で(!)のちに店長は監禁罪、婚約者も暴行罪で刑罰をくらっています。
被害女性が訴えた賠償金6億円
近隣のファーストフード店にも類似の電話があったようで、被害女性が自身のファーストフード店を訴えたのは『店側はいたずら電話の頻発を従業員に知らせない管理不足、危機対策の不備も問題にして(CNN.co.jpより)』ということだったようです。
劇中、弁護士に助言されているシーンがありましたが、彼女が受けた耐え難い屈辱の代償としては、6億円でも高くはない(!?)
店長を演じたアン・ダウド

店長を演じたアン・ダウドは出演作も多く、彼女の作品は8作品ほど見ています。
なかでも、私の2023年映画ベスト10にランクインした『対峙』。こちらでの彼女がなかなかにすごい演技力だったのですが…l。
『コンプライアンス』を見返すと、やはり彼女、演技は上手いですね…!キャラクターはアレでしたが笑
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