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『青い珊瑚礁』にハマったときに、無人島ものをあれこれ探していて発見したのが、フィービー・ケイツ主演の『パラダイス』と本作『流されて…』。『青い珊瑚礁』に関しては、48年度版を含めると4度も映画化されている人気作品…笑。いや~やっぱり無人島ものは面白い。
作品データ
【製作年度】1974年
【製作国】イタリア
【上映時間】116分
【監督】リナ・ウェルトミューラー
【キャスト】ジャンカルロ・ジャンニーニ、マリアンジェラ・メラート ほか
【鑑賞方法】U-NEXT、Hulu など
(鑑賞時にご確認ください)
あらすじ
無人島に流された男女の愛と性の極限を描いた、リナ・ウェルトミューラー監督の代表作。船旅の途中に遭難して無人島に流れ着いた上流階級の人妻・ラファエラとその使用人・ジェナリーノ。文明と隔絶された環境の中、やがてふたりの立場は逆転し…。(「キネマ旬報社」データベースより)
年齢制限は?
おそらくなさそうなので?どなたでもご覧いただけます。
レビュー ( 2013・03・05の記事に加筆 )
1、世界的ヒットの格差ラブコメディ
『青い珊瑚礁』と『パラダイス』が思春期の少年少女を主人公にしたのに対し、本作では30代?の男女が主人公となっています。
しかも上流階級の女性と使用人の男性という格差があり、そんな2人が無人島に漂着するのだから何か起こりそうな予感はプンプン。
なんだかエロティックなジャケットに、いわゆる大人のロマンスものなのかと思っていたら、全体的にコメディテイストでした(サムネイル画像の方がイメージに近いです)。これはちょっと意外だったのですが、逆に見やすくて面白かったです。
公開当時は世界的にヒットを飛ばしたそうで、日本でも1978年に公開されています。
ちなみに無人島で立場が逆転というと、カンヌでパルム・ドールを受賞した『逆転のトライアングル』が本作と設定がちょっと似ているなぁと思いました。
監督は女性として初めてアカデミー監督賞にノミネート
♦︎「女性版オスカー望む」に女性映画人が多数賛同! 多様性示す映画芸術科学アカデミー授賞式
(MOVIE Collection ムビコレより)
女性のノミネートは2024年現在までに6名しかおらず、2019年にはアカデミー名誉賞を受賞されたそうで、こんなに凄い方だったんですね!
2、無人島への漂着と、立場の逆転
地中海を船旅で楽しむブルジョワな仲間たち。
実業家夫人のラファエラは洞窟で泳ぎたいと言い出し、使用人ジェナリーノに無理矢理ボートを出させる。しかしボートが故障してしまい、無人島へと流れ着く2人…。
なんといっても見どころは、今まで散々ジェナリーノをこき使ってきたラファエラとの立場の逆転!
やれスパゲッティが茹で過ぎだの、シャツが臭うから着替えろだの。船上では完全なる女王様気取りで、見ているこちらもイライラするほど最悪だったラファエラ。
そんな彼女に我慢し続けてきたジェナリーノは『ウスノロのカボチャ』という言葉をきっかけに、とうとう島でブチ切れる(時代を感じさせる悪態…笑)。
『…このメ◯豚が!く◯ばっちまえ、売◯が!』などと罵る場面はさすがに吹きましたw(今なら絶対にアウトのやつです)
自力でエビやウサギなどを捕まえては食料を確保するジェナリーノに対し、何の知識もなく空腹で弱っていくラファエラ。
『…食いたければご主人様と呼べ!』と、立場が逆転。
ことあるごとにラファエラが引っぱたかれたりします。このあたりも、笑えるところと、ちょっと殴りすぎじゃね!?と引いてしまうほどw(今なら絶対にアウトのやつです)
マドンナ主演でリメイクも作られたが…
2002年には、ガイ・リッチー監督が当時の妻であるマドンナを主演に起用し『スウェプト・アウェイ』というリメイクも作られたのですが、ラズベリー賞を受賞してしまいました(・ω・)
マドンナと結婚したばかりだったし、許してあげてください(?)
3、Sな女性ほど隠れMの部分がある?
さて、完全に立場が逆転した2人ですが…。
ラファエラはというと、どっぷりジェナリーノに惚れ込んでいくではありませんか。
この直前に無理やり身体を奪われるシーンがあるにも関わらず、ですよ。
今まで何不自由なく暮らしていた彼女にとって、野性味溢れる男性との出会いは新鮮で、そのギャップにやられてしまったのでしょう。なんだかんだで私も落ちるかもしれません(・ω・)(?)
しかし、ラファエラの変化は面白すぎました。
冒頭では『…このサイアクな女が主人公?見る気しねぇw』とさえ思ったのに、徐々に可愛らしく見えてくる不思議…。
いわゆるSな女性でも、状況次第では容易にMになってしまうということも言えるのかもしれませんね。
むしろ自分ではSだと思っている女性こそ、潜在的に眠っているMな部分があるのかもしれません。今で言うツンデレ、みたいな?
こうして、男性からすると1度は憧れる(?)美女との服従生活が始まります。
4、シニカルな結末
何より驚いたのは、通りかかる船にも助けを求めず『あなたとこの島で暮らしたいから、船を呼ばなかったわ』とラファエラ。
実は『青い珊瑚礁』でも、島の生活を受け入れ、助けを呼ばなくなるシーンがあります。
こういうのって、島の生活に慣れると感覚が麻痺してしまったりして、現実世界に戻ることが考えられない思考になってくるのでしょうか…。
しかしジェナリーノは彼女の愛が本物か試すため、その後通りかかった船に助けを求めて2人は救出されます。
愛が本物ならば、また2人でこの島に戻ってくるつもりだったのです。
実は妻子がいたジェナリーノですが、妻子を捨てる覚悟で『またあの島で2人で暮らそう、手配した船で待っているから来てくれ』とラファエラに手紙を渡します。
しかし結局ラファエラは姿を現すことはなかったという…。それでも、ラストのラファエラの表情からすると、本当にジェナリーノを愛しているようにも見えましたが…。
嫁に罵られながら、すごすごと家路へと向かうジェナリーノの姿はなんとも哀れでしたが、これはこれでクスっとしてしまう良いエンディングでした(笑)。
女性のほうはあの状況だからこそ『好き』というマジックにかかっていたのかもしれませんが、男性は本当に彼女を愛していたんでしょうね。だからこそ、彼女の愛を試すようなことをしたのでしょう。
自身が助けを呼ばなければ、おそらくあのまま島での生活は続いていたでしょうに…。
5、演じた俳優たちのその後
マリアンジェラ・メラート(ラファエラ)
- 2013年の1月に71歳で、すい臓ガンにより亡くなられました。
- 中尾ミエにも見えたりしたのですが、とてもスタイルが良い女優さんでした
- 『流されて…』の2作目にも続投したようですが、やはり1作目のほうが評判は良かったようです。
ジャンカルロ・ジャンニーニ(ジェナリーノ)
- 近年ではダニエル・クレイグ版の007シリーズに、2作品ほど出演。
- 彼の実の息子が『スウェプト・アウェイ』の使用人を演じたようで、親子二代で同じ役を演じるってすごい!笑
6、まだある!無人島の恋愛もの3選
青い珊瑚礁(80)
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- 45年も前の作品だが、当時は色々とゆるかったので…
- 美しすぎるブルック・シールズが、15歳にして裸体を晒している(あ、男もですw)。
- 私は大好きな作品だが、ブルック・シールズが記念すべき?第1回ラジー賞を受賞…
パラダイス(82)
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- 『青い珊瑚礁』の2年後である82年製作。影響を受けているのか?(ジャケット似てるw)
- 監督は俳優でもあり、邦画『復活の日』に出演しているスチュアート・ギラード。
- 当時のアイドルフィービー・ケイツ(『グレムリン』のヒロイン)が、やはり17歳にして惜しげもなく〜以下略。
ブルー・ラグーン(91)
【鑑賞方法】U-NEXT・Amazonプライム(鑑賞時にご確認ください)
- 『青い珊瑚礁』の1度目のリメイク作(2012年に2度目のリメイク作あり)
- 主人公はなんと16歳のミラ・ジョヴォヴィッチ!実質?彼女のデビュー作。
- 私は未見だが、もちろん惜しげもなく〜以下略なので、ミラファンの方は必見。
『青い珊瑚礁』に関しては、1948年製作の同タイトルの作品がオリジナルのようなのですが(?)私も未見で、配信でも宅配レンタルでもほぼ取り扱いがないため、ここでは扱っていません。
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